時折、夢を見る。
外側から見る雲に包まれたひとつの星。それには美しい青色が広がっていた。ゆっくりと回る星を眺めていると、青色の中に様々な緑が浮いていた。
あれはなんだろう。 他の星も綺麗だけれど、あれはいっとう綺麗だね。 大人が言うには青色は海らしいよ。 海ってなぁに?
そんな話を同胞や友達とした。無重力のなかをふわふわと漂い、大人から聞いた未知なる世界に思いを馳せ、想像を膨らませるけれど検討が付かず揃って首を傾げる。
たまにいっとう綺麗な星から大きな塊が飛んできて、その塊に入っている生き物が自分たちの星のことを教えてくれる。大人たちもこうしてあの星のことを知ったのだろう。
「いつか行ってみたいな」
「でもわたしたち、おっこちちゃったから身体を守ってくれてる殻がなくなったら消えてなくなっちゃうって聞いたよ」
「それにまぁるい星たちは立体的でとっても高いから落ちたらぐっしゃり潰れるって言ってたよ」
「けど、そんな高い星から飛んでくる生き物がいるわ。だからきっと方法があるのよ!」
行ったら何してみたい? わたしは海が見たいなあ。 美味しい食べ物が食べたいな。ここは塵とかばかりで味がしないじゃん。 すてきな物語がたくさんあるって聞いたから読んでみたいなあ。
行く術なんてないけれど、考えることは自由だ。聞いた話をもとにしてみたいことを語らう。
むくりむくりと膨らむ夢だけでお腹がいっぱいになりそうだ。穏やかでふわふわとした幸せ。そのとき、大きくて長い緑の生き物が物凄い速さで近付いてきた。赤色に縁取られた大きな口を開き、捕食しようとしていることは明らか。とても恐ろしくて悲鳴をあげ、逃げようとする。
時折見る夢はいつも悲鳴と恐怖に掻き混ぜられるような形で終わる。起きたとき、汗でべっとりとしていていつも気持ち悪い。穏やかな夢を見ていたはずなのに、最後の恐ろしい感情が勝って内容を思い出すことができない。荒い息を整えるように深く吐き出し、汗を拭う。
「……はあ、最悪の気分」
ぽつりと呟いた言葉は誰の耳に届くわけもなく、空気の中に溶けていく。水面を揺らす潮風に映った朝空が憎らしく見え、ひと睨み。それで気分が変わるわけでもないので、隣で大の字になって熟睡する友人の頭を叩き、八つ当たりをするのであった。