盲目の愛
*此方で出てくる美容品の作り方は本当にアバウトです。
熱せられた水が、こぽこぽと音を立てて湧き上がる。
カルデアの一室に備えられた、名前専用の作業場には、多くの種類の花や草、木がその部位ごとに別れて保存されていた。人の歴史と共に研究を重ねられて来た植物学と医療が組み合わさり、自然の力による予防や改善が、薬とは違った方法で人の健康を支えることができるようになった。それは古来からなされて来た方法ではあるが、どのような機序で、どのように効果をもたらすのかという研究が進んできたのは、最近のことである。
名前は元々薬師の家系の出身であり、東洋や西洋の医学について学んできた経歴を持つ。だが、彼女が特に興味を示したの
は、天然物…所謂自然由来の素材を使った、体の病気に対するものではなく、精神的に人を健康にする方法について、であった。
そもそも人間は自然のままに生きてきた。自然と共に歩み、時には反発しあい、調和し合いながら、文明を築いてきた筈である。故に彼女は、その力をかりて、人の生きる力を高めようとしたのだ。だが人生にはふと転機が訪れることがあり、その時の選択でまた道が分かれるものだ。彼女は、薬師としてではなく、整体師としての職業を選ぶことになる。
そして今、ひょんなことから巻き込まれてしまった人理修復にマスターとして任務にあたると共に、職員専用の整体師としての業務も行っていた。…のだが、どっかの唯我独尊な王様により、英霊に対しても処置を行わざるおえなくなったのであった。
「んー、と。この組み合わせが好評だから、違うバージョンとしてこっちを…」
彼女の扱うものは、全て自分で調合したものである。
処置に使うものも始め、化粧水やら乳液やら石鹸やらも作り始めてしまった。…そう名前は凝性で、こだわりの強いタイプであったので、それらの評判が良く、某女王様がたやら女神様やらがこぞって貰いにくる程のものであった。故に在庫切れを起こすわけにはいかずに、こうして夜な夜な調合を開始しているのだ。
様々な抽出方法を、抽出する素材によって選ぶ。
それらを処理した後に、また試薬などを加えて形にしていくので、結構時間が掛かってしまうのだ。
だがそこは、研究者の性故か。時間を忘れて没頭する彼女に彼女の英霊たちが何度ため息をこぼしたかわからない。
「まあ、こんなものか」
混ざりあう、植物の香り。
今回のは少し甘過ぎたかもしれないと、彼女は丸いフラスコに入った桃色の液をくるりと回した。
そうしてその液にとある試薬を入れて、混ぜ合わせて…諸々の工程を行い、型に流すと…。
「リップクリーム…のつもりなんだけど、どうかしら」
あとは小瓶に詰めたそれが固まるのを待つだけ、と伸びをした彼女は、ちらりと実験台に目をやる。そこには当然であるが使った分だけの実験器具が乱雑に並び、洗浄されるのを待ちわびていた。片付けは大の苦手なんだけど…とぼやいた彼女が、手に付けていた手袋を脱ぐのと同時に、とんとんとんと軽いノックオンが律儀にも3回聞こえた。
名前は予想できるその訪問者の顔を思い浮かべ、面倒臭いといわんばかりに目を細めるが、観念したようにどうぞ、と一言呟く。そのまま放置したこともあったが、扉をぶち破られ居留守を使ったことがバレた挙句朝まで説教を食らったという痛い経験があるため、それ以来ちゃんと返事は返すようにしている。
「邪魔するぞ、…っ、なんだねこの匂いは…。甘ったるい菓子のようだ」
「夢見る乙女が纏う、魔法の香りよ」
「……眩暈がする」
「濃縮して抽出したからねぇ。まあそのうち嗅覚が疲労して慣れるわ」
赤い外套を揺らし入ってきたその英霊は、部屋を充満する香りに眉を顰める。そんな彼を横目に名前は大して気にも留めず、実験台を片付け始めた。その様子を見た彼…エミヤは、言おうとした言葉をため息に変えると、机の傍に備えられた洗い場へと移動する。そして慣れた手付きで、実験器具に触れると洗浄を始めたのだ。
「ふふ…洗い物に来たの?」
「キミを止めようとしても無駄なようだからね。
俺に出来るのは、手伝えることを手伝うだけさ」
付き合い方はもう熟知している、と言わんばかりに、揶揄うように言った名前の言葉を鼻で笑う。己のマスターの仕事は理解しているし、それに掛ける情熱も好ましいものだ。まあ身体に気を遣って欲しいと詰め寄りたい気持ちはあるが、それを素直に言ったところで聞くような女ではない。そう悟ったのはカルデアに彼が召喚されてから直ぐのことだ。ならば、と彼女の様子を常に気にして、手伝うことを手伝った方が有効手段であった。
普通に洗っても良い器具と、そうでないものの区別がつくようになり、専用の洗い方も名前から学んだエミヤは、今では立派な彼女の助手である。元々繊細な作業も器用にやってのけるエミヤは、彼女から少しずつ研究方法などを学んでいた。それが純粋な興味と俗にいうした心から来るものなのだが、そこは本人のみぞ知るということで。
「料理も研究と同じ。目的を決めて資料を探す、そしてレシピを組み立てて、作り上げる…。面白いでしょ?」
「ああ、非常に興味深いよ。…それで今日は何を作ったのかね」
「今日のは、前に作ったものの別バージョン…よ。
貴方に試験してもらうほどのものではないわ」
そして、彼にはもう一つの役割があった。
カルデアで彼女が研究を行うようになってから、初めて明らかになったことに関係することで。一言でいうと名前の調合したものは、人間に対する効果と英霊に対する効果が、違うのだ。彼女が作り上げるものだけが違う効果を及ぼす…とは限らないが、こんな例は初めてだという。そのことに彼女が非常に興味を示したのを、彼は知っていた。だからこそ自らその役目を買って出たのである。以来彼はずっと彼女の傍で助手と…実験体を兼ねた働きをしてきたのだ。
高身長を見上げ、ふと笑った名前に、エミヤは不満げな顔を見せる。
恐らく彼はその役目に誇り…というよりも甘美な優越感を持っているのだろう。その顔を見た彼女は、仕方ないと先ほどの小瓶を手にする。
「処置台に座って」
部屋の隅に置かれた処置台という名のベッドは、名前の仮眠用でもあるが、大抵は彼が座っていることが多い。いつものように白いシーツの敷かれたベッドに腰かけたエミヤは、彼女に再度視線を向ける。彼の前に立った彼女は、試薬で汚れた白衣を羽織り、相変わらずの読めない表情で、小さな瓶に細い指を這わせた。その表情や仕草に思わず目が行ってしまうのは、もういつものことだ。単純であるが自分も男だということが嫌でも思い知らされる、と伸びて来た手を見て思う。
白い手が、エミヤの頬に触れると軽く上を向かされる。
そして薄い男の唇に、柔らかな指先が触れたかと思うと、ぬるりとした感覚が唇を這った。
「リップクリーム、よ。香りも良いの」
「この部屋の中じゃ、わからんな」
「ふふ…そこは嘘でも肯定するのが、紳士よ?」
「マスターに嘘を吐くのは、趣味じゃないものでね」
指先に宿る熱が、体を焼くような熱に変換されていく。
熱いのか暑いのかわからないなと、温度による影響を受けない筈の英霊は、火照りを感じ始めた体を感じて目を閉じる。そういえばこの部屋に入ってから、段々暑くなってきた。とぼんやりと思った頃には、異変は始まっていて。
「体温の上昇、頬の赤み、発汗…。気分は?」
「……ああ、悪く…ないな」
「そう。リップクリームを塗布しただけなのに。確かにこの組み合わせはデトックス効果が得られる可能性もあるけど…、でもこんな少量じゃ」
つう、とエミヤの頬から首筋を指先で撫でると、手にした研究ノートにそれらの症状を書き込んでいく。
暑い、と零された呟きに、服を脱いでみて、と彼女が淡々と指示を出した。それに素直に従い、上半身に纏っていたものを解除すると、剥き出しになった肉体に名前は視線を向けた。
「体に異常は、ない。でもやけに汗が多いわね」
「この部屋に入った時から…暑いんだ」
「ふうん、なら…この匂いかしら」
ふうと唇から吐き出された熱い吐息に、焦点がぼやけてきた瞳を見る。じくじくとこみ上げる熱が暑さから来るものではないことを、エミヤは理解していた。彼は自分を覗き込む彼女を見つめる。うつくしい女だ、と改めて思った。
カルデアにはそれこそ美しさを司る女神もいるし、美しい女性ばかりである。しかし彼の目を奪うのは決まってこの名前であった。静かな美しさと、聡明さを感じさせる瞳、可愛らしい唇…どうやらいつも以上に頭は回らないらしい、ともう一度息を吐く。
「眠気は?」
「ないね、意識は少し…曖昧だ」
汗ばんだ肌はしっとりと濡れていて、筋肉のつまった分厚い胸板に触れると、じわりとした熱が名前の指先を焼いた。その時ぴくりと小さく跳ねた体を、彼女は見逃さない。擽るような力加減で筋立つ太い首筋を撫でると、とろりと細められた瞳が、熱を訴えるように彼女を見つめ、緩く唇が開いた。
「…これは、あれね。…媚薬になりうるものかも」
彼の状態を察した名前は自分の髪を掻き揚げた。非常に困った、というサインである。
暫く視線を彷徨わせた彼女は、こうなっては仕方ないと、腰を曲げて蕩けた灰色の瞳に視線を合わせて、1つ問いかけた。
「エミヤ、…貴方心に決めた人はいたかしら?」
「ああ、想い人ならいるさ」
「ある意味緊急事態よ、名前…言える?」
部屋に漂う匂いの所為か、はたまた塗布したリップクリームの所為か。それは今判断を付けることは難しかったが、少しずつだが確実に彼の体は熱を上げているのが良くわかった。なので、発散させた方が早いと結論付けた彼女がまず考えたのは、好意を寄せる相手の有無である。
「……っ、…それは…」
「言わないと、好きでもなんでもないただのマスターに…やられちゃうわよ」
「…っ」
大の男でも、その心の内を吐露するのに恥じらいを感じるのはわかる。国籍豊かな英霊に囲まれて改めて認識するが、やはり日本人の気質は物静かで奥ゆかしいものなのだ。それにより様々な美しい文化が生まれているし、国民性というものは大事にしないといけない…という考えは置いておいて、吐かせる為には積極的にいかないといけないと作戦を変えた彼女は、彼の耳元に唇を寄せた。
すると、遠慮がちにそしてなにかを堪えるように伸ばされた腕が、、名前の細い腰に回され、ぎゅうと抱き締められたかと思うと…。
「……俺がずっと、見てきたのはキミだけだよ。名前…。
その…好き…なんだ…」
熱に濡れた瞳に宿るその感情に思わず思考が止まった彼女の、ふっくらとした唇に、エミヤの唇が食むように合わせられた。ぬるりと彼の唇に塗られたクリームが彼女のそれにも付着する。合わせられた唇と漏れる吐息に、名前はとあることを悟った。すると、彼の唇を舌で割り、緊張故なのか萎縮した様子の舌を優しく絡め取った。びくりと跳ねた体と、口の端から滴る雫が、2人の熱を更に高めていく。
「こうなってしまったのも、私の所為だし。責任とってあげるわよ」
それは、彼の望んだ答えにはなりえないものだろう。けれどそれでも良かった。少なくとも今は。
エミヤの固い膝の上に乗った名前は、悪戯な笑みを彼に向けると、脱がせてとゆっくり彼の目を見上げる。
思わず喉を上下させた男は、視線を忙しなく動かしつつも彼女の白衣に手を掛けた。
****************
床に散った白衣の主は、ベッドに仰向けになった男に馬乗りになっていた。
褐色の肌を名前の髪が擽る。上から覗き込む彼女の顔は、最早マスターではない女のそれであった。
白く透き通るような肌と、己を映す瞳が、どうしよもなくエミヤを乱す。自分の心臓が異常な程脈打っているのがわかったが、もう制御できるレベルではなかった。
「…名前、」
「黙って」
突き出された舌が、筋肉の隆起した胸板から腹筋をいやらしく這いまわり、指先が擽るように逞しい体をなぞる。
柔らかな舌先から指先から生まれる刺激が、昂った体には堪らなかった。
そうして繰り返される軽い愛撫に、一点に集まった熱がどうしようもなく疼いて、彼の脳は煮えくり返りそうなくらいに、もどかしさを訴える。
「名前…っ、もう…っ」
「エミヤ」
もたらされる刺激では、足りない。とエミヤの口がはくりと震え、思わず彼女の体に手が伸びる…が。咎めるように呼ばれた己の名前に、ぴたりと動きを止めた。
普段から彼は名前を主として扱っている。それはマスターに対するそれではなく、まるでそう『女神』を相手にするような、崇拝に似た感情を持っているからであった。これについては、また後で語るとしよう。
それ故に、彼は名前の言葉を違えない。
「…っ…う、…」
「紳士ぶっているわりに、…随分野蛮なものを持っているのね」
下着すら取り払われた体はもう何も纏っていなかった。
彼女の体が後ろにずれると、そこには己ですら見たことのないくらいに膨張した男根が雫を垂らしながら反り返っていた。それを名前の爪先が優しく弾くと、脳味噌に直接電気を流されたのかと思うほどの、電流に似た快楽が走る。ちかちかと目の奥が点滅し、滴る白濁色の先走りがだらりと垂れ下がった。
「あ…っ、く…名前…」
「これじゃ、直ぐにイっちゃうんじゃない?」
喉を引き攣らせるように呻いたエミヤの顔を覗き込み、熱を込めた瞳を細めて笑う。
余裕を見せる名前の体も、彼と同じくらいに火照っていて、身に着けていた下着に指を掛けるとそれらを全て脱ぎ払った。女性の嫋やかな曲線を描く体は、バランス良く筋肉は付いていても柔らかくつくられており、少し照度の落とされた部屋の明かりを受けて、艶やかに浮き立つ。
直ぐにでも、抱き締めてその体を貪りたい衝動に駆られ、エミヤは腹筋に力を込めると一気に体を起こした。その反動で押し倒された名前が今度はベッドに仰向けに転がされる。彼女の頭を挟んで両側に付かれた手と、天井を見る隙間がない程に近づいた彼の顔に、ふわりと笑った。はあはあと、荒い吐息が彼女の頬を撫でる。
再び名前の唇にエミヤのそれが重なり、一度離れたかと思うと、頬や首筋に軽い音を立てて彼女の肌を啄む。すると、一度彼の瞳が彼女のそれとぶつかった。そして、恍惚にも似た笑みを浮かべると、名前の形の良い胸を褐色の手で軽く掴むと、先程彼女が彼にしたようにねっとりと舌を這わせ始める。
触り心地の良い白い肌に思わず夢中になり節立った指先で触れると、ぷくりと膨れた2つの突起を舌で絡めとるように弾く。その刺激に体を跳ねさせる名前が愛おしくて仕方なかった。
「名前…」
「ん…、いいわ…。気持ちいい…」
白い喉を軽く逸らせ、眉に皴を寄せる名前に口付けると、エミヤはその指をつうと下へと這わせた。そして辿り着いた女の神秘の場所に、優しく触れると柔らかな茂みに隠れた蕾を指の腹で撫でた。そうすると、彼女の腰が軽く浮いて、薄らと濡れたそこから彼女の甘い香りが零れる。その匂いがまた彼を誘うようで。思わずその茂みを掻き分けて中へと指先を入れると、ねっとりとした粘度の高い液が、彼を中へと導いた。
「…凄く、濡れているな」
「ふふ…。いやらしい女だと思った?」
「いいや…。最高だよ」
多少ぎこちなさはあるものの、人差し指を根元まで中へと入れると、柔らかな肉の壁とざらざらとした感覚がエミヤを襲う。ゆっくりとその指を動かして、彼女の中を探るととある1点を指先が押したとき、きゅうと肉壁が収縮して、彼女の足が小さく伸ばされた。
「エミヤ、…もういいわ…」
仰向けのまま足を軽く折り、小さく太ももを広げた名前に、エミヤは一度身を引く。そして彼女の足をぐっと引いて己の方に引き寄せると、彼女の足を押し上げて、いきり立つ男根の先端を滴る密が湧き出るそこへとあてがった。
固いそれが、自分の最も敏感な所に触れるのを感じて、名前は反射的に腰を引いてしまうが大きな手で押さえられ、覆い被さるように拘束される。落ちて来た唇に、そっと目を閉じると…。ずるりと大きな固い熱の塊が、柔い肉を裂いていくのがわかった。
「…ん…ちょ、っと…っ、もう少し…やさしく…ぁ…あ…」
「すまない…名前…っ、もう…限界だ」
反り返った肉の棒が、彼女の肉壁を押し上げると、ぞくぞくとした快楽が彼女を襲う。こぽりと溢れて来た液が潤滑油の役割を果たし彼女の痛みを押さえた。ぐぐと彼が根元までそれを差し込むと、きゅと彼女の背筋が反り返る。突き出された胸の先端を食むと、彼はゆっくりと腰を引いて打ち付け始めた。
そして彼女から漏れる声が快楽に喘ぐものに変わると、本能のままに腰を叩き付ける。ずるりと抜けて入るそれに、名前はただ身を震わせて、エミヤの背にしがみ付いたのだ。
「あ…っ、ああ…!ん…、」
「っ…く、名前…名前…っ!!」
ぐちゃりと淫靡な水音が立つ、それは彼のものか彼女のものか。
気が付けば部屋に充満していた薬草の甘い匂いは、2人の淫らな体液の匂いに代わっていた。
広い背中にしがみ付いた彼女は無意識の内にその爪痕を刻み付ける。そしてエミヤは、その滑らかな胸元に吸い付いて己の痕を残した。
ぐぐ、と突き立てられる肉の棒が、彼女を刺激して肉の壁を大きくうねらせる。そのきつくも気持ちの良い収縮と、ざらりとした壁に敏感な先端が触れて優しく潰される刺激に、エミヤは大きく息を吐いた。
ちかちかとした光が、快楽の頂点へと至りそうになることを、脳に告げる。本能の行為だろうか、名前はその長い足をエミヤの腰に絡ませると、快楽に流れ出た涙をそのままに、彼の目を見つめた。
「…っ、…名前…っ、」
可愛らしいその、仕草と顔…名前という存在。それに食いしばっていた何かが壊れるのを感じて、振り下ろす腰の速度を速めると、頬を伝う汗をそのままに、彼女に深く口付けた。
「…っ…あ、あああ!!…も、…えみや…っ!!」
「ああ…、いく…ぞ、名前…っ、一緒に…っ」
痙攣したように震える彼女の足と、高くなっていく嬌声に、込み上げて来たその感覚に男根がぐと膨らむような、そんな感覚に襲われたかと思うと、エミヤは大きく腰を上げて、根元まで一気に彼女の中へ押し込んだのだ。
すると名前の体が大きくふるえ、声なき声を漏らし大きく目を開く。それと同時にエミヤの体がぶるりと震えると、風船が弾けるように彼女の中へと白濁を流し込み始めた。下腹部に感じる熱に名前は腰を跳ねさせる。びく、びくと射精の衝撃で小さく弾むエミヤの体を抱き締めると、もう一度キスをした。
「……っ、…名前…」
褐色の、熱い手が名前の髪を、優しく撫でると、彼女は彼の胸にそっと顔を埋めた。
*終わり*
熱せられた水が、こぽこぽと音を立てて湧き上がる。
カルデアの一室に備えられた、名前専用の作業場には、多くの種類の花や草、木がその部位ごとに別れて保存されていた。人の歴史と共に研究を重ねられて来た植物学と医療が組み合わさり、自然の力による予防や改善が、薬とは違った方法で人の健康を支えることができるようになった。それは古来からなされて来た方法ではあるが、どのような機序で、どのように効果をもたらすのかという研究が進んできたのは、最近のことである。
名前は元々薬師の家系の出身であり、東洋や西洋の医学について学んできた経歴を持つ。だが、彼女が特に興味を示したの
は、天然物…所謂自然由来の素材を使った、体の病気に対するものではなく、精神的に人を健康にする方法について、であった。
そもそも人間は自然のままに生きてきた。自然と共に歩み、時には反発しあい、調和し合いながら、文明を築いてきた筈である。故に彼女は、その力をかりて、人の生きる力を高めようとしたのだ。だが人生にはふと転機が訪れることがあり、その時の選択でまた道が分かれるものだ。彼女は、薬師としてではなく、整体師としての職業を選ぶことになる。
そして今、ひょんなことから巻き込まれてしまった人理修復にマスターとして任務にあたると共に、職員専用の整体師としての業務も行っていた。…のだが、どっかの唯我独尊な王様により、英霊に対しても処置を行わざるおえなくなったのであった。
「んー、と。この組み合わせが好評だから、違うバージョンとしてこっちを…」
彼女の扱うものは、全て自分で調合したものである。
処置に使うものも始め、化粧水やら乳液やら石鹸やらも作り始めてしまった。…そう名前は凝性で、こだわりの強いタイプであったので、それらの評判が良く、某女王様がたやら女神様やらがこぞって貰いにくる程のものであった。故に在庫切れを起こすわけにはいかずに、こうして夜な夜な調合を開始しているのだ。
様々な抽出方法を、抽出する素材によって選ぶ。
それらを処理した後に、また試薬などを加えて形にしていくので、結構時間が掛かってしまうのだ。
だがそこは、研究者の性故か。時間を忘れて没頭する彼女に彼女の英霊たちが何度ため息をこぼしたかわからない。
「まあ、こんなものか」
混ざりあう、植物の香り。
今回のは少し甘過ぎたかもしれないと、彼女は丸いフラスコに入った桃色の液をくるりと回した。
そうしてその液にとある試薬を入れて、混ぜ合わせて…諸々の工程を行い、型に流すと…。
「リップクリーム…のつもりなんだけど、どうかしら」
あとは小瓶に詰めたそれが固まるのを待つだけ、と伸びをした彼女は、ちらりと実験台に目をやる。そこには当然であるが使った分だけの実験器具が乱雑に並び、洗浄されるのを待ちわびていた。片付けは大の苦手なんだけど…とぼやいた彼女が、手に付けていた手袋を脱ぐのと同時に、とんとんとんと軽いノックオンが律儀にも3回聞こえた。
名前は予想できるその訪問者の顔を思い浮かべ、面倒臭いといわんばかりに目を細めるが、観念したようにどうぞ、と一言呟く。そのまま放置したこともあったが、扉をぶち破られ居留守を使ったことがバレた挙句朝まで説教を食らったという痛い経験があるため、それ以来ちゃんと返事は返すようにしている。
「邪魔するぞ、…っ、なんだねこの匂いは…。甘ったるい菓子のようだ」
「夢見る乙女が纏う、魔法の香りよ」
「……眩暈がする」
「濃縮して抽出したからねぇ。まあそのうち嗅覚が疲労して慣れるわ」
赤い外套を揺らし入ってきたその英霊は、部屋を充満する香りに眉を顰める。そんな彼を横目に名前は大して気にも留めず、実験台を片付け始めた。その様子を見た彼…エミヤは、言おうとした言葉をため息に変えると、机の傍に備えられた洗い場へと移動する。そして慣れた手付きで、実験器具に触れると洗浄を始めたのだ。
「ふふ…洗い物に来たの?」
「キミを止めようとしても無駄なようだからね。
俺に出来るのは、手伝えることを手伝うだけさ」
付き合い方はもう熟知している、と言わんばかりに、揶揄うように言った名前の言葉を鼻で笑う。己のマスターの仕事は理解しているし、それに掛ける情熱も好ましいものだ。まあ身体に気を遣って欲しいと詰め寄りたい気持ちはあるが、それを素直に言ったところで聞くような女ではない。そう悟ったのはカルデアに彼が召喚されてから直ぐのことだ。ならば、と彼女の様子を常に気にして、手伝うことを手伝った方が有効手段であった。
普通に洗っても良い器具と、そうでないものの区別がつくようになり、専用の洗い方も名前から学んだエミヤは、今では立派な彼女の助手である。元々繊細な作業も器用にやってのけるエミヤは、彼女から少しずつ研究方法などを学んでいた。それが純粋な興味と俗にいうした心から来るものなのだが、そこは本人のみぞ知るということで。
「料理も研究と同じ。目的を決めて資料を探す、そしてレシピを組み立てて、作り上げる…。面白いでしょ?」
「ああ、非常に興味深いよ。…それで今日は何を作ったのかね」
「今日のは、前に作ったものの別バージョン…よ。
貴方に試験してもらうほどのものではないわ」
そして、彼にはもう一つの役割があった。
カルデアで彼女が研究を行うようになってから、初めて明らかになったことに関係することで。一言でいうと名前の調合したものは、人間に対する効果と英霊に対する効果が、違うのだ。彼女が作り上げるものだけが違う効果を及ぼす…とは限らないが、こんな例は初めてだという。そのことに彼女が非常に興味を示したのを、彼は知っていた。だからこそ自らその役目を買って出たのである。以来彼はずっと彼女の傍で助手と…実験体を兼ねた働きをしてきたのだ。
高身長を見上げ、ふと笑った名前に、エミヤは不満げな顔を見せる。
恐らく彼はその役目に誇り…というよりも甘美な優越感を持っているのだろう。その顔を見た彼女は、仕方ないと先ほどの小瓶を手にする。
「処置台に座って」
部屋の隅に置かれた処置台という名のベッドは、名前の仮眠用でもあるが、大抵は彼が座っていることが多い。いつものように白いシーツの敷かれたベッドに腰かけたエミヤは、彼女に再度視線を向ける。彼の前に立った彼女は、試薬で汚れた白衣を羽織り、相変わらずの読めない表情で、小さな瓶に細い指を這わせた。その表情や仕草に思わず目が行ってしまうのは、もういつものことだ。単純であるが自分も男だということが嫌でも思い知らされる、と伸びて来た手を見て思う。
白い手が、エミヤの頬に触れると軽く上を向かされる。
そして薄い男の唇に、柔らかな指先が触れたかと思うと、ぬるりとした感覚が唇を這った。
「リップクリーム、よ。香りも良いの」
「この部屋の中じゃ、わからんな」
「ふふ…そこは嘘でも肯定するのが、紳士よ?」
「マスターに嘘を吐くのは、趣味じゃないものでね」
指先に宿る熱が、体を焼くような熱に変換されていく。
熱いのか暑いのかわからないなと、温度による影響を受けない筈の英霊は、火照りを感じ始めた体を感じて目を閉じる。そういえばこの部屋に入ってから、段々暑くなってきた。とぼんやりと思った頃には、異変は始まっていて。
「体温の上昇、頬の赤み、発汗…。気分は?」
「……ああ、悪く…ないな」
「そう。リップクリームを塗布しただけなのに。確かにこの組み合わせはデトックス効果が得られる可能性もあるけど…、でもこんな少量じゃ」
つう、とエミヤの頬から首筋を指先で撫でると、手にした研究ノートにそれらの症状を書き込んでいく。
暑い、と零された呟きに、服を脱いでみて、と彼女が淡々と指示を出した。それに素直に従い、上半身に纏っていたものを解除すると、剥き出しになった肉体に名前は視線を向けた。
「体に異常は、ない。でもやけに汗が多いわね」
「この部屋に入った時から…暑いんだ」
「ふうん、なら…この匂いかしら」
ふうと唇から吐き出された熱い吐息に、焦点がぼやけてきた瞳を見る。じくじくとこみ上げる熱が暑さから来るものではないことを、エミヤは理解していた。彼は自分を覗き込む彼女を見つめる。うつくしい女だ、と改めて思った。
カルデアにはそれこそ美しさを司る女神もいるし、美しい女性ばかりである。しかし彼の目を奪うのは決まってこの名前であった。静かな美しさと、聡明さを感じさせる瞳、可愛らしい唇…どうやらいつも以上に頭は回らないらしい、ともう一度息を吐く。
「眠気は?」
「ないね、意識は少し…曖昧だ」
汗ばんだ肌はしっとりと濡れていて、筋肉のつまった分厚い胸板に触れると、じわりとした熱が名前の指先を焼いた。その時ぴくりと小さく跳ねた体を、彼女は見逃さない。擽るような力加減で筋立つ太い首筋を撫でると、とろりと細められた瞳が、熱を訴えるように彼女を見つめ、緩く唇が開いた。
「…これは、あれね。…媚薬になりうるものかも」
彼の状態を察した名前は自分の髪を掻き揚げた。非常に困った、というサインである。
暫く視線を彷徨わせた彼女は、こうなっては仕方ないと、腰を曲げて蕩けた灰色の瞳に視線を合わせて、1つ問いかけた。
「エミヤ、…貴方心に決めた人はいたかしら?」
「ああ、想い人ならいるさ」
「ある意味緊急事態よ、名前…言える?」
部屋に漂う匂いの所為か、はたまた塗布したリップクリームの所為か。それは今判断を付けることは難しかったが、少しずつだが確実に彼の体は熱を上げているのが良くわかった。なので、発散させた方が早いと結論付けた彼女がまず考えたのは、好意を寄せる相手の有無である。
「……っ、…それは…」
「言わないと、好きでもなんでもないただのマスターに…やられちゃうわよ」
「…っ」
大の男でも、その心の内を吐露するのに恥じらいを感じるのはわかる。国籍豊かな英霊に囲まれて改めて認識するが、やはり日本人の気質は物静かで奥ゆかしいものなのだ。それにより様々な美しい文化が生まれているし、国民性というものは大事にしないといけない…という考えは置いておいて、吐かせる為には積極的にいかないといけないと作戦を変えた彼女は、彼の耳元に唇を寄せた。
すると、遠慮がちにそしてなにかを堪えるように伸ばされた腕が、、名前の細い腰に回され、ぎゅうと抱き締められたかと思うと…。
「……俺がずっと、見てきたのはキミだけだよ。名前…。
その…好き…なんだ…」
熱に濡れた瞳に宿るその感情に思わず思考が止まった彼女の、ふっくらとした唇に、エミヤの唇が食むように合わせられた。ぬるりと彼の唇に塗られたクリームが彼女のそれにも付着する。合わせられた唇と漏れる吐息に、名前はとあることを悟った。すると、彼の唇を舌で割り、緊張故なのか萎縮した様子の舌を優しく絡め取った。びくりと跳ねた体と、口の端から滴る雫が、2人の熱を更に高めていく。
「こうなってしまったのも、私の所為だし。責任とってあげるわよ」
それは、彼の望んだ答えにはなりえないものだろう。けれどそれでも良かった。少なくとも今は。
エミヤの固い膝の上に乗った名前は、悪戯な笑みを彼に向けると、脱がせてとゆっくり彼の目を見上げる。
思わず喉を上下させた男は、視線を忙しなく動かしつつも彼女の白衣に手を掛けた。
****************
床に散った白衣の主は、ベッドに仰向けになった男に馬乗りになっていた。
褐色の肌を名前の髪が擽る。上から覗き込む彼女の顔は、最早マスターではない女のそれであった。
白く透き通るような肌と、己を映す瞳が、どうしよもなくエミヤを乱す。自分の心臓が異常な程脈打っているのがわかったが、もう制御できるレベルではなかった。
「…名前、」
「黙って」
突き出された舌が、筋肉の隆起した胸板から腹筋をいやらしく這いまわり、指先が擽るように逞しい体をなぞる。
柔らかな舌先から指先から生まれる刺激が、昂った体には堪らなかった。
そうして繰り返される軽い愛撫に、一点に集まった熱がどうしようもなく疼いて、彼の脳は煮えくり返りそうなくらいに、もどかしさを訴える。
「名前…っ、もう…っ」
「エミヤ」
もたらされる刺激では、足りない。とエミヤの口がはくりと震え、思わず彼女の体に手が伸びる…が。咎めるように呼ばれた己の名前に、ぴたりと動きを止めた。
普段から彼は名前を主として扱っている。それはマスターに対するそれではなく、まるでそう『女神』を相手にするような、崇拝に似た感情を持っているからであった。これについては、また後で語るとしよう。
それ故に、彼は名前の言葉を違えない。
「…っ…う、…」
「紳士ぶっているわりに、…随分野蛮なものを持っているのね」
下着すら取り払われた体はもう何も纏っていなかった。
彼女の体が後ろにずれると、そこには己ですら見たことのないくらいに膨張した男根が雫を垂らしながら反り返っていた。それを名前の爪先が優しく弾くと、脳味噌に直接電気を流されたのかと思うほどの、電流に似た快楽が走る。ちかちかと目の奥が点滅し、滴る白濁色の先走りがだらりと垂れ下がった。
「あ…っ、く…名前…」
「これじゃ、直ぐにイっちゃうんじゃない?」
喉を引き攣らせるように呻いたエミヤの顔を覗き込み、熱を込めた瞳を細めて笑う。
余裕を見せる名前の体も、彼と同じくらいに火照っていて、身に着けていた下着に指を掛けるとそれらを全て脱ぎ払った。女性の嫋やかな曲線を描く体は、バランス良く筋肉は付いていても柔らかくつくられており、少し照度の落とされた部屋の明かりを受けて、艶やかに浮き立つ。
直ぐにでも、抱き締めてその体を貪りたい衝動に駆られ、エミヤは腹筋に力を込めると一気に体を起こした。その反動で押し倒された名前が今度はベッドに仰向けに転がされる。彼女の頭を挟んで両側に付かれた手と、天井を見る隙間がない程に近づいた彼の顔に、ふわりと笑った。はあはあと、荒い吐息が彼女の頬を撫でる。
再び名前の唇にエミヤのそれが重なり、一度離れたかと思うと、頬や首筋に軽い音を立てて彼女の肌を啄む。すると、一度彼の瞳が彼女のそれとぶつかった。そして、恍惚にも似た笑みを浮かべると、名前の形の良い胸を褐色の手で軽く掴むと、先程彼女が彼にしたようにねっとりと舌を這わせ始める。
触り心地の良い白い肌に思わず夢中になり節立った指先で触れると、ぷくりと膨れた2つの突起を舌で絡めとるように弾く。その刺激に体を跳ねさせる名前が愛おしくて仕方なかった。
「名前…」
「ん…、いいわ…。気持ちいい…」
白い喉を軽く逸らせ、眉に皴を寄せる名前に口付けると、エミヤはその指をつうと下へと這わせた。そして辿り着いた女の神秘の場所に、優しく触れると柔らかな茂みに隠れた蕾を指の腹で撫でた。そうすると、彼女の腰が軽く浮いて、薄らと濡れたそこから彼女の甘い香りが零れる。その匂いがまた彼を誘うようで。思わずその茂みを掻き分けて中へと指先を入れると、ねっとりとした粘度の高い液が、彼を中へと導いた。
「…凄く、濡れているな」
「ふふ…。いやらしい女だと思った?」
「いいや…。最高だよ」
多少ぎこちなさはあるものの、人差し指を根元まで中へと入れると、柔らかな肉の壁とざらざらとした感覚がエミヤを襲う。ゆっくりとその指を動かして、彼女の中を探るととある1点を指先が押したとき、きゅうと肉壁が収縮して、彼女の足が小さく伸ばされた。
「エミヤ、…もういいわ…」
仰向けのまま足を軽く折り、小さく太ももを広げた名前に、エミヤは一度身を引く。そして彼女の足をぐっと引いて己の方に引き寄せると、彼女の足を押し上げて、いきり立つ男根の先端を滴る密が湧き出るそこへとあてがった。
固いそれが、自分の最も敏感な所に触れるのを感じて、名前は反射的に腰を引いてしまうが大きな手で押さえられ、覆い被さるように拘束される。落ちて来た唇に、そっと目を閉じると…。ずるりと大きな固い熱の塊が、柔い肉を裂いていくのがわかった。
「…ん…ちょ、っと…っ、もう少し…やさしく…ぁ…あ…」
「すまない…名前…っ、もう…限界だ」
反り返った肉の棒が、彼女の肉壁を押し上げると、ぞくぞくとした快楽が彼女を襲う。こぽりと溢れて来た液が潤滑油の役割を果たし彼女の痛みを押さえた。ぐぐと彼が根元までそれを差し込むと、きゅと彼女の背筋が反り返る。突き出された胸の先端を食むと、彼はゆっくりと腰を引いて打ち付け始めた。
そして彼女から漏れる声が快楽に喘ぐものに変わると、本能のままに腰を叩き付ける。ずるりと抜けて入るそれに、名前はただ身を震わせて、エミヤの背にしがみ付いたのだ。
「あ…っ、ああ…!ん…、」
「っ…く、名前…名前…っ!!」
ぐちゃりと淫靡な水音が立つ、それは彼のものか彼女のものか。
気が付けば部屋に充満していた薬草の甘い匂いは、2人の淫らな体液の匂いに代わっていた。
広い背中にしがみ付いた彼女は無意識の内にその爪痕を刻み付ける。そしてエミヤは、その滑らかな胸元に吸い付いて己の痕を残した。
ぐぐ、と突き立てられる肉の棒が、彼女を刺激して肉の壁を大きくうねらせる。そのきつくも気持ちの良い収縮と、ざらりとした壁に敏感な先端が触れて優しく潰される刺激に、エミヤは大きく息を吐いた。
ちかちかとした光が、快楽の頂点へと至りそうになることを、脳に告げる。本能の行為だろうか、名前はその長い足をエミヤの腰に絡ませると、快楽に流れ出た涙をそのままに、彼の目を見つめた。
「…っ、…名前…っ、」
可愛らしいその、仕草と顔…名前という存在。それに食いしばっていた何かが壊れるのを感じて、振り下ろす腰の速度を速めると、頬を伝う汗をそのままに、彼女に深く口付けた。
「…っ…あ、あああ!!…も、…えみや…っ!!」
「ああ…、いく…ぞ、名前…っ、一緒に…っ」
痙攣したように震える彼女の足と、高くなっていく嬌声に、込み上げて来たその感覚に男根がぐと膨らむような、そんな感覚に襲われたかと思うと、エミヤは大きく腰を上げて、根元まで一気に彼女の中へ押し込んだのだ。
すると名前の体が大きくふるえ、声なき声を漏らし大きく目を開く。それと同時にエミヤの体がぶるりと震えると、風船が弾けるように彼女の中へと白濁を流し込み始めた。下腹部に感じる熱に名前は腰を跳ねさせる。びく、びくと射精の衝撃で小さく弾むエミヤの体を抱き締めると、もう一度キスをした。
「……っ、…名前…」
褐色の、熱い手が名前の髪を、優しく撫でると、彼女は彼の胸にそっと顔を埋めた。
*終わり*