結局寮にも戻らず天文学の授業にも出席せず、私は外を歩き回っていた。ちょうど手頃な切り株があったので腰かける。
あんな明白にして、みんな気付いてしまったかもしれない。明日からどんな顔して会えばいいのだろう。「昨日はごめんねー」って笑顔で謝れば大丈夫だろうか。
ジェームズは頭良いくせに意外とそう言うのには鈍感だから、きっと大丈夫だろう。リーマスは、また私のことを嘲笑っているのだろうか。
もう少ししたら寮に戻ろう。
きっとリリーの質問攻めに会うかもしれないけれど、上手くはぐらかして寝よう。明日何でもなかったような顔をして「おはよう」って挨拶をすれば、きっとみんな普通に返してくれる。突然帰っちゃったのはお腹の調子が悪かったとでも言えばいい。
「………此処にいたんだ…」
「…ッ……」
「…結構探したよ?」
どうしてこう、一人になりたい時に来るのだろう。探して欲しいなんて頼んでいないのに、見つけて欲しいなんて思ってもいないのに、私はそんな悲劇のヒロインでも何でもないのに。
追い掛けてくるなんて、馬鹿だ。
「よく分かったね」
「城内で探しててふと窓の外を見たらね」
「…そっか」
「あー、疲れた」
「ならやめれば良かったのに」
「うん。でも、探さなきゃって思った」
「なんで?」
「…泣いてたような気がしたから」
「違うよ。急にお腹が痛くなったの」
「それは失礼。聞かない方がよかったね」
「女の子にこんなこと言わせないでくれる?」
「うん、ごめんね」
その「ごめんね」は、どの「ごめんね」だろう。色んな意味を含めての「ごめんね」に聞こえて、何故か心がチクチクと痛かった。
空を仰ぎ星を見る。リーマスに教えてもらったおかげで、ある程度どれがどの星か分かるようになった。天文学の勉強は、とても楽しい。
星を見上げ、隣に気付かれないようにこっそり泣いた。私は今、とてもスッキリした気持ちでいた。
「なまえ」
「何?」
「何処を好きになったの?」
「…まっすぐでとても一途で、いつも周りをワクワクさせて、友達思いで何かあったらすぐ駆け付けてくる。そんなジェームズだからこそ、私も含めて周りは惹かれたんだよね」
「………話してくれてありがとう」
「ううん、私の方こそ。ありがと、リーマス」
「どういたしまして」
暗くて分からないけれど、笑顔だった気がする。私も自然と笑顔になる。星が瞬き夜空を着飾る。
「帰ろう」と差し出された手を、今度は手に取り握り返した。
手に伝わる温度と、少しの緊張。
心臓が早鐘を打つ。
穴の空いた心に、一滴の雫が溢れた。
王子様は来ないけれど
私の心は満たされていた
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