君と見た、色鮮やかな風景。
花冠を作り、君の帽子を彩った。とても小さなものだけれど、君はとても喜んでいて、私も嬉しかった。
この日々が永遠に、永久に続くんだと思いながら。
現実から目を背き蓋をして、私はまだ大丈夫だと自分自身を誤魔化して。
「ごめんね」なんて、勝手な言葉。
君にとっても私にとっても。
あの時のことを、私は今でも後悔している。
「………欠片なんて、残さなければよかった…」
オズにキャベツ畑を見せられた後(ちょうどその時キャベツから生まれる赤ん坊を見てしまい、信じざるを得なかった)、私が生まれたと言う黒いキャベツを見に行った。「此処だヨ」
クロウの言う通り、確かに見覚えのある風景だ。しかし、肝心の黒いキャベツが何処にもない。刈り取ったはずはないのにキャベツの葉が何処にもなかった。
「クロウ、本当に此処だったのか?」
「ホントだヨ!」
「私もこの池に見覚えがあります」
指を指した池は不思議な程青々としていてちょっと気味が悪い。なんでこんなに綺麗な色なんだろう。普通はこんな色にならないと思うんだけどな。
「この世界はお前の知っている常識は一切通用しない。用心しておけ」
横でボソッとオズが呟く。
何故あなたはそれを知っているの。
問い掛けるも「気にするな」の一点張り。
いや、そういうの逆に気になるからやめて。
腑に落ちないけれどこれ以上此処にいても何もならないとオズが判断し、お城に戻ることに。
え、待って、色々と心配なこと聞きたいんだけど。
何一つ問題は解決はしていないけれど、衣食住について悩んでいると「俺の城にいれば万事解決だろ」
生活面に関しては速解決した。
どうしようもないことだし、お言葉に甘えてしまおう。
「スミレ」
「どうしたのクロウ」
お城に戻り少し疲れたから休もうと客室のベッドで横になろうとした時、ノックもなしに喋るカカシは入って来た。怒りたくても相手はカカシだ。いや、カカシだから怒るべきなのか…。
「次からはノックしてね」
「ノック?」
「部屋に入る前は必ずコンコンってノックをするものなの」
「ワカッタヨ」
コンコン。
今じゃなくて!!
「…それで、クロウは何しに来たの?」
「枕、欲しい?」
「え? 枕? そう言えばないのよね。欲しいっちゃ、欲しいかな」
「それじゃボクが枕になってあげるヨ!」
「……………はい…?」
え、枕?
枕って頭の下に敷く枕だよね?
頭の上でクエスチョンマークが量産されていく。
その間にクロウは一人で勝手にベッドに上がり本来枕があるポジションを陣取った。だから、ちょっと待って!!
自分のお腹をポンポン叩き「ボク、良い枕だヨ! きっとスミレも気に入るヨ!」
うん、あのね、まずは人の話を聞こうかクロウ。
確かに枕は欲しいけどクロウが枕になる必要ないから。頭を乗せたら中身藁なんだしぺちゃんこになっちゃうでしょうよ。うん、その後のクロウのお腹を想像すると遠慮したい。
「いいからホラ!」
クロウは半ば強引に私の頭を掴んで見事に枕になった。
頼んだ覚えはないのよクロウ。
「あれ……」
以外と落ち着くこの枕。
藁だから勝手なイメージで良い枕の印象はなかったのに(そもそも藁を枕にしたことは一度もない)普通の枕よりも寝心地いいかも…。
「ボクの枕ナラ絶対よく眠れるヨ!」
「…うん、そうかも。このまま枕にしていいかな」
「いいヨー。おやすみスミレ」
「おやすみ、クロウ」
歩き出して最初の夜が訪れた。
きっと一人だったら先へは進めていない。けれど大事な家族がいつも一緒だから大丈夫。安心して前に進める。
先程から空をじっと見上げているクロウに声をかける。「眠らないの?」
とても可笑しな彼が言う。「カカシは眠らないヨ」
「そうなんだ……ねえ、じゃあ、カカシは夜、何してるの」
「朝がくるのを待ってるんだヨ」
「ずっと?」
「ウン、ずっト。じっとしてると、そのうち、空が明るくなってくるんだヨ。それを、ずっと待ってるノ」
「カカシって大変なのねえ……」
「別に大変じゃないヨ。じっとしてれば、そのうち朝はくるかラ」
「そのじっと待ってるって言うのが大変じゃない。私は耐えられそうにないわ」
「そう……かナ?」
どの辺りが大変なのか分からないと言うように、クロウは首を傾げる。そりゃ当たり前のようなものだ。だって彼は、カカシだ。カラス達が作物を荒らさないように畑を守るカカシだ。
だから、じっと朝を待つことが大変だと感じることなんてない。
「ねえクロウ」
「なあに?」
「………ありがとう…」
私を待っていてくれて、ありがとう
まだ夜明けは来はしない
彼に眠りが訪れるとしたら、その時はきっと………