「ふふん、女の子に縄をかけるのは初めてだったけどなかなか上出来じゃない?」

そう思うでしょ?と満足げにわたしを見下ろすメイヴちゃんは今日もかわいい。しかしながら何故こんなことになってしまったのか。
わたしは少し、ほんの少しの好奇心でメイヴちゃんの部屋に置いてあった縄に興味を持ってしまっただけなのに。「この縄何に使うの?」と聞いたのがいけなかった。まさかその縄が自分にかけられるなんて、思いもしなかった。

「す、すごい、けど……」
「なによ」
「もう、取ってほしいなぁ」
「はぁ?なに言ってるのよ」

体にぴっちりと絡まる縄が少し動く度にぎちぎちと食い込んでくる。腕や胸、お腹、下半身に走る縄はとても元々一本だったとは思えない。色々な所が複雑に絡み合って、結ばれてねじられて、不思議な模様を生み出している。
縄によって自由を失ったわたしは、ぬいぐるみみたいにごろりとベッドに転がっている。天蓋付きの、お姫様みたいなメイヴちゃんのベッドだ。わたしの部屋の無機質な備え付けのベッドと何もかもが違っている。
そろそろとメイヴちゃんを見上げると、少し機嫌が悪くなったようで、目を細めてこちらをじとりと睨んでいる。

「だって、その、ちょっと痛いし……この、股のとこ、なんか縄が……食い込んで……」
「あら、でも顔を見る限りうれしそうだけど」
「そんなことない……もん……」

べろりとピンク色の唇を舐めたメイヴちゃんはわたしの耳にその美しい口許を寄せた。さらさらとした髪の毛が目の前に落ちてきて、白いベッドシーツにピンク色の池ができた。
メイヴちゃんは面白そうにわたしに優しく囁いた。

「好きなくせに」

ぞわぞわとしたものが耳から頭のてっぺん、爪先まで広がっていく。思わずびくっと体を跳ねさせると股に通された縄が体を刺激する。だめ、だめ。なんだか、おかしい。
くすくすと笑いながら耳元から離れていくメイヴちゃんは髪の毛をなびかせながら、いつもの黒い鞭を手に取った。

「メイヴ、ちゃん?」
「たっぷり可愛がってあげるわ。私の愛しいなまえ」

ヒュウ、と鞭が空を切る。この部屋いっぱいに広がるメイヴちゃんの甘い香りのせいなのか、体に食い込む縄のせいなのか、わたしの体はおかしくなってしまったみたいだ。下半身がきゅんきゅんと喜ぶのを感じながら、ベッドでメイヴちゃんを見つめた。
うーん……それにしてもやっぱり今日もメイヴちゃんはかわいい。メイヴちゃんサイコー!



20170909
いばらさんより「好きなくせに」