あの時、私に出来たことを考える。私は彼女がこの世界から消えてしまった瞬間、一体何が出来たのか。

『ねぇ、"ここ"は本当に息苦しいね。あたしが息継ぎしようとしてもね、みんながあたしの鼻と口を塞ぐの。まるで、』

 世界に死ねって言われてるみたい。
 からからと笑う彼女に私の手は届かなかった。触れることさえ出来なかった。

「無力だ」

 変わり果てた彼女は自身に流れる赤を身に纏いただ横たわる。
変わり果てた彼女の顔を荒れた指でなぞって私は笑った。

「ねぇ君は満足かい」

 彼女がさよならを告げた唇は、恐ろしく冷たかった。



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