…あたしは今、どうしてこんな状況に陥っているのでしょう。
「ぶぁっはっはっはっは!!」
「シギヒョン、あんまり笑わない方が身のためだと思いますけど。」
「ぶはっ、そ、そうだ、ぞ、シガ…くくっ、あんま、笑って、ぶっ、やるな…。」
「お前ら歯ァ食いしばれー。」
「「ぎゃぁあああ!!」」
「言わんこっちゃない…。」
あたしの今の状況を簡単に説明しましょう。
ウォンシクにツインテールにされました。
(簡単過ぎたかな。)
妹がいるからなのか、ウォンシクは手先が器用で髪の毛をいじるのも得意。
放課後の今、委員会か何かで呼ばれているらしいジェファンとホームルームを終えていないハギョン先輩とテグン先輩を待つ暇潰しとして、遊ばれているんだ。
ここはダンス部の部室。
マネージャーであるあたしが大会スケジュールや、その大会に向けての練習を組み立てているときに遊ばれた。
それで勝手にやって爆笑するとか、こいつらしばいて良いかな?
「テグニヒョンって子ども好きだし、今のなまえなら可愛がってもらえるかもよ。」
「必死に笑いを堪えた顔で言われても説得力ないっつうの。」
「だってお前、それ、ぶふっ、似合ってねぇよマジ、ぶぁっは!」
「お前らまだ殴られ足りないみたいだな。」
「ヌナ、いつもとキャラ違いますけど。」
この野郎!、と叫びながらウォンシクとホンビンに正義の鉄槌をくだす。
痛いなんて言っているけど、そんなものをこのあたしが気にするわけがない。
いつもとあまり変わらないやり取りに、サンヒョクは呆れるだけ。
しかも怒っているあたしにはあまり関わりたくないのか、殴られているホンビンとウォンシクを見捨てて自主練習を始めた。
うん、良い子だよね、サンヒョクって。
でもなんだか関わりたくないですオーラ出されると、寂しいかな!
「ごめんね、遅くなっ……え、何してるの。」
「へ?あっ!は、ハギョン先輩!」
「わー!なまえちゃん似合ってるよ。」
「ジェファナ!」
ウォンシクとホンビンを絞めていると、ハギョン先輩とジェファンがやって来た。
どうやら用事は終わったらしい。
ハギョン先輩はあたしたちを見るなり目を丸くして驚き、表情を険しくしていった。
あ、これはハギョン先輩が怒ってる感じだ。
「シギヒョンとビニヒョンはなまえヌナで遊んで怒られていました。」
「あっ、てめ、ヒョギ!」
「裏切り者!!」
「遊んでた………?ふたり、そこ座って。」
「「……………はい。」」
マズい怒られる、と思っていると、思わぬところ、サンヒョクからの助け船。
サンヒョクのおかげであたしはハギョン先輩の説教から逃れることが出来たので、マネージャー業に取り掛かることにした。
あとでサンヒョクにお礼しないと。
そして、シャープペンシルを持って気付いた。
テグン先輩がまだ、ここに来ていない。
テグン先輩だけ用事…終わってないのかな。
そんなことを思いながらもマネージャー業に専念していると、数十分経ってから再びダンス部の扉が開かれた。
ちなみにあのふたり、まだ怒られているよ。
「…遅くなっ………………。」
「テグン先輩、お疲れ様で……テグン先輩?」
視線を下げ、いつものあのアンニュイな雰囲気を醸し出しながら現れたテグン先輩。
きっと用事がなかなか終わらなくて、イライラしていたんだろう。
そんなテグン先輩の気苦労を労おうと声を掛けたんだけど…。
目が合った瞬間、テグン先輩はあたしを見ながら固まってしまった。
ん?、と一瞬は考えたが、すぐにひとつの予想が浮かんで来る。
ウォンシクがやった、ツインテールが原因で先輩は固まってしまったんだ。
似合わないのにこんなことをするから、テグン先輩も固まっちゃったんだよ!
あとでウォンシクにはあたしからも怒る!
「に、似合わないですよね!すぐにいつもの横結びにするので!はい!」
テグン先輩が固まっているのは、あたしのツインテールが似合わないから。
そう思ったら急に恥ずかしくなってしまって、こんな姿ではいたくなくなった。
あたしだって、好きな人からは可愛いと思われたいような女の子。
ウォンシクが、"今のなまえならテグニヒョンも可愛がってくれるよ"なんて言うから少しだけ期待しちゃったけど…。
やっぱり、似合わないことはするものじゃないんだよね。
身の程を思い知らされましたわ…。
「…テグン先輩?」
慌ててツインテールを解こうとすると、テグン先輩から止められる。
何かを言うでもなく、ただ、その行動を止めるだけのテグン先輩。
心なしか顔が少し赤くなっているのは…あたしの気のせい、なんだろうか。
いやでも、気のせいなんかで赤く見えたりするわけないよね。
もし見えたら片方がなんらかの病気だわ。
「…かわいい。」
「え?」
「かわいい、し…似合ってるから。…別にそのままで、良いと思う…。」
「っ!」
う、わ…。
どうしよう、どうしたら良いの?
顔だけでなく、耳まで真っ赤に染めながら"かわいい"と言ってくるテグン先輩。
そんなテグン先輩の反応を見てしまうと、こっちだっていろんな意味で顔が赤くなる。
かわいい、なんて。
そんなことを言うような先輩じゃないと思っていたけど、言われると…嬉しい。
お互い真っ赤になりながら俯いていたから気付かなかったけど、ニヤニヤしながら残りのメンバーがこっちを見ていた。
もちろん、それに気付いたテグン先輩が他の人たち(特にハギョン先輩)を蹴飛ばしたけどね。
…かわいいって言ってもらえるのなら。
ツインテールも悪くはない、のかも…。
想定外のキミでした
ツインテールが似合い過ぎている可愛い子。
(そんな、蹴らなくても良いじゃん…。)
(ムカついたから。)
(短気発言!テグナって意外と短気だよね。)
(…もう1回蹴ろうか。)
(ごめんなさい。)
(ほらななまえ。言ったろ?)
(素晴らしいくらい説得力なかったけどね。)
(結果良ければ全て良し、ってね。)
(シガ、ビナ捌いて良い?)
(オッケー。)
(俺、魚じゃないからね!?)
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