Beautiful - side.BEAST
「ヤキモチ妬きめ。」
今回のミュージックビデオは、ドラマ仕立て。
何故か学生のストーリーだった。
高校を卒業して何年か経っているメンバーも居るのに、これじゃコスプレだ。
僕とドンウンの末っ子組は良いとしても、歳上組は…いや、案外似合っていたか。
そんな今回の学生ストーリーのミュージックビデオは、僕と転校生のギグァンが親しくなっていくという内容。
親しくなっていく、と言うより、恋人同士になっていく、の方が正しいけどね。
ジュンヒョンはこれの台本を見せられてからずっと、不貞腐れている。
これは監督が決めたことなんだし、ジュンヒョンの方がボスっぽくてギグァンの方がイジメられっ子っぽかったんじゃない?
これはふたつのミュージックビデオに分けられるもので、個人的にはもうひとつで殴られているギグァンがジュンヒョンだと、すごく嫌だ。
違和感しか感じられない。
どんなにそういうことを言ってもジュンヒョンの機嫌は直らなくて。
ドラマストーリーの撮影が終わってからも、ジュンヒョンは拗ねていた。
本当、ヤキモチ妬き過ぎだよ。
「ねえ、ヤキモチ妬きさん。どうしたらキミの機嫌は良くなるの?」
「…なまえからキスしてくれたら。」
「嫌だ。そういうのはナシ。今はみんなが居るんだって、解ってる?」
ジュンヒョンが不機嫌なままじゃ、ギグァンだって気にするだろう。
それよりも、こんな重っ苦しいような撮影現場の空気、僕が嫌だ。
機嫌を直すために、「どうしたらキミの機嫌は良くなるんだい?」と訊くと、僕からキスしたら直るんだと言われた。
こいつは、馬鹿なんだろうか。
今はセットチェンジをしているからか、周りは少しだけ慌だたしい。
とは言え、いくらなんでもこんなところでそんなことをしたら、バレてしまう。
「嫌だ」と断っても、「バレない」と押し切ろうとしてくるジュンヒョン。
バレないと思えるその度胸、感心するよ…。
「どうせみんな、見てねぇよ。」
「…ワガママ。」
「なまえよりはマシだろ。」
「いや。ジュニョンは僕より酷いね。」
一歩も引かないジュンヒョンに溜息が出た。
ジュンヒョンはきっと、解ってるんだろう。
結局僕が折れてしまう、ということを。
周りを見渡して、誰も見ていないことを確認したあとすぐにジュンヒョンにキスをする。
それは一瞬だけのもので、どちらかと言うとキスではなくて当たっただけの感じだった。
「…下手くそ。」
「な…っ!僕は見つからないように、ッ!」
見つからないように最速でやったのが悪かったのか、ジュンヒョンは馬鹿にしたように笑いながら下手くそと言ってきた。
別に男性経験が皆無なワケじゃないのに、下手くそと言われたら腹が立つ。
そんなジュンヒョンに言い返すと、言い返している途中で唇を奪われた。
それはさっき僕がしたような、喧嘩のような当たるだけのキスじゃない。
ちゃんと…ジュンヒョンから愛されてるって伝わってくるような、そんなキス。
「キスはこうやるんだよ。」
「キスはこうやるんだよ」とニヒルな笑みを浮かべて言うジュンヒョンを殴ってやりたい。
僕だって、出来ないわけじゃないのに。
それからのジュンヒョンは、かなり上機嫌で撮影に挑んでいた。
いろいろと解りやす過ぎるジュンヒョンに呆れて溜息が溢れたことは…言うまでもない。
(なまえにご機嫌とりしてもらったの?)
(いや?かわいかったから許しただけ。)
(かわいかった?何が?)
(何かしてもらったの?)
(なまえからキ)
(ヨン・ジュニョン!!)
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