12:30 - side.BEAST




久しぶりに喧嘩した。



「そんなに無理なら、僕じゃなくて違う人に任せたら良いだろ。それともなに?キミが他のメンバーと変わる?」

「そういう、わけじゃ…。」

「じゃあなんだって言うんだ?こんなに感動もしないくだらない映像、初めて見たよ。」



みんなが休憩している中、僕とドゥジュンはお互いに向き合い、嫌な空気を出していた。
嫌な空気が流れているのは僕が原因だけど、そもそもはドゥジュンが原因なのだ。

12:30では、またドラマ仕立てのミュージックビデオが使われる。
その配役で、ドゥジュンと僕が監督から直々に選ばれたんだけど…。

仮撮りした映像を観ても、僕に対してドゥジュンの愛情が見られない。
これでは僕だけがドゥジュンを愛しているみたいで、監督も難しい顔をしていた。

メンバーだって、反応は薄い。
ドゥジュンに演技のことを言うのは気が引けるのか、何も言っていなくて。
だから僕はドゥジュンとふたりだけにしてもらって、こうして揉めているのだ。



「ドゥジュン、キミはちゃんと演技が出来る人間だと思っていたよ。」

「っ、おまえは、いつもジュニョアが相手だったよな…っ。そりゃ感情も入りやすいっ。」

「だから?」

「俺はジュニョアと付き合ってた頃のおまえも覚えていて、レオと良い空気になってるおまえも知ってる…っ!そんなの、俺だってやり辛いに決まってんだろ!!」



ドゥジュンは、僕に本音をぶつけて来る。
確かに、ドゥジュンが言うように、ジュンヒョンと組むことも多々あった。

だけど、その相手が何もジュンヒョンばかりじゃないことなんて、ドゥジュンだって知っているはずなのに。
そもそも、ジュンヒョンがきちんとした相手だったのはFICTIONだけ。
あとの相手はギグァンだったり、相手が不明だったりするのに。

だけどきっと、ドゥジュンは気持ちが複雑になっているんだろう。
相手が知らない相手だったならまだしも、僕は宿舎で共同生活もしていたからこそ、いろいろと知られているから。



「それがなに?そんなこと言って、演技であっても僕を恋愛対象として見ることから逃げているだけでしょ。」

「それ、は…そうかも、しれないけど…。」

「僕が実際に誰を想っているか、なんて、演技する中で関係あるの?恋人が居る女優だって、キミが共演した中にはもしかしたら居たかもしれないじゃないか。」



さっきも言ったように、解っていた。
ドゥジュンが、僕という人間を恋愛対象として見れない…ということは。

だけど、だからってそれで「はいはい」なんて言って甘やかすことはしない。
そんなことを言ったところで、結果逃がしてあげていることと変わらないのだから。



「僕が嫌なら、先に言えば良かったんだ。今さら無理だって避けたところで、周りに迷惑をかけることにしかならない。」

「……………。」

「ドゥジュン。キミが望むのなら、僕はキミに僕を捧げても良い。それくらいの覚悟は決めているつもりだよ。」



もしも身体を繋げなければ彼が無理だと言うのなら、一日ズラしてもらうしかない。
さすがのドゥジュンも、身体を繋げたら嫌でも女として意識するだろうからね。

ドゥジュンが望むのなら、僕はそれくらい簡単にやってのけてやる。
それはドゥジュンだから…同じグループのメンバーだからこそ、言っているんだ。
それが…僕の意思は、ドゥジュンに伝わってくれているだろうか。



「…ごめん。俺が悪かった。年下のおまえにそんなことさせたくもないし、言わせたくもないのに…、駄目なリーダーだよな…。」

「…出来る?僕を、ちゃんと異性として見ることが出来るの?」

「出来る。おまえは、俺の女だもんな。」



…どうやら、ドゥジュンにはきちんと伝わってくれたらしい。
なんだかちょっと違うけど(僕はドゥジュンの女じゃないし)、まあ良いだろう。

このあと再開した撮影を終えて確認すると、先程よりもドゥジュンが僕に愛を向けてくれていることが確認出来た。
その出来映えは監督も納得だったらしく、満足そうに微笑んでいる。

本当、うちのリーダーは真面目過ぎて困る。
そんなところもまあ、リーダーとして気に入ってはいるんだけどね。






(うわぁ…なんか、大人って感じ…。)

(…俺がやっても良かったのに。)

(ジュニョン煩い。そしてしつこいよ。)

(曲と合わせたら綺麗なんだろうなぁ…。)

(やっぱりヒョンは凄いですね。)

(…まあ、なまえのおかげだけどな。)

(ふん。感謝してよね。)



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