Say No - side.BEAST




「お前、人形みたいだな。」



初めて、人からそんなことを言われた。



「なに、文句あるの?」

「いや…。ミュージックビデオでこんなに綺麗に仕上げるの、ここじゃなまえくらいだなって思ったんだよ。」



僕はBEASTとは…いや、韓国とは違った。
何が違うか、と言うのは僕のミュージックビデオの撮り方だ。

BAD GIRLではパートが無かったから歌やラップで引き抜かれることはほとんどなかったが、今回のSHOCKとSay Noでは僕のパートが格段に増えたので引き抜かれる。
そのときの歌い方が、違うんだ。

いつも兄の背中を追い掛けていたからか、観るのはいつも兄が居るグループで。
ずっと兄やそのメンバーを観ていた。
だからなのか、みんなとは違って感情的に歌うことをせず、見栄えを気にしたんだ。

ドゥジュンから遠回しにそれを言われ、確認のために歌っているシーンだけをひとり、フルで見せてもらった。
確かにメンバーと比べたら、ひとりで浮いているようにも見える。

だけどドゥジュンは責めるわけでもなく、感嘆としたようにも呟いていた。
韓国のやり方に合わせよう、とは思わないが、やはり気にはなる。



「なまえくらいだな。伝わる感情よりも見栄えを気にしている奴は。」

「…それじゃ駄目?」

「大丈夫だろ。それもおまえの個性だしな。国籍だって違うんだし、俺は良いと思うけど。」



ひとりで観ていると、いつの間にかジュンヒョンも来ていたらしい。
ジュンヒョンの目にも僕は別物として映っていたらしく、見栄えを気にしているのは僕くらいだと言ってきた。

誰が観ても、そう思う。
メンバーがそう思うのであれば、世間もそう思うことは間違いない。

珍しくも弱気な声になりながら、「それじゃ駄目?」とジュンヒョンに訊くと、ジュンヒョンは首を横に振った。
そしてさらに、認めてくれたんだ。
それも僕の個性なんだ、と。



「現に監督だってOK出してるし。髪色もいつも個性的なんだから、今さらこんなこと気にしなくても別に大丈夫だろ。」



認められることが、嬉しかった。

監督がOKしているのだから大丈夫、と言っているジュンヒョンも。
これでOKを出してくれた監督も。
認めてくれているんだろう。

兄から無理だと言われた地で、初めて見て解る認められ方をした。
別にアンチを気にしていたわけではないし、僕を好きでいてくれるファンも居る。
だけどそれだけじゃ不安だった僕に、ちゃんと言葉でそれを言ってくれたジュンヒョンが有り難いと、心から思った。



「は?え?おま、なんで泣いてんだ?」

「え…?」



気が付いたら、僕は泣いていたらしい。
それくらい、嬉しかったんだろう。

正直僕には、アンチが多かった。
ファンが増えたと言えど、やはりアンチの方が目立つし多く見えるわけで。

仲間内だけど、認めてくれる存在が身近に出来たことで、僕はたぶん、やっとスタート地点から進むことが出来たんだ。
やっと…やっとジン兄に近付ける。

僕が泣いたことで慌て出すジュンヒョン。
そこで丁度メンバーが出て来たらしく、ジュンヒョンはみんなから責められていた。






(ヒョン!何してるんですか!)

(いくらなんでもイジメは駄目だよー。)

(俺は何もしてねぇよ!)

(いくらなまえがかっこいいからって…。)

(そんなことで泣かすか!!)



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