会話記録と思い出
ドゥジュン兄さんに言われて全員で自分の部屋を片付けていたら、懐かしいものを見付けた。
昔、練習生時代の頃に使っていた携帯。
画像なんかを見てみると、そこには好きな女優さんやアイドルの画像だけでなく、当時の友人たちと撮った写真があった。
今現在残っているのは、このフォルダーに居る人物の10分の1にも満たないくらいだろう。
みんな自分自身のデビューを見限ると、次々に練習生を辞めていったんだ。
懐かしい顔があるな、と思っていると、最後の方に1枚だけ…今でもよく見慣れている顔が写っている写真があった。
それはなまえとのはじめて撮ったツーショット写真で、馬鹿みたいに喜んだ記憶がある。
他に面白いものはないか…と、なんとなくメールを開いてみる。
多分この頃は…なまえとのメールは小分けにしていたはず、なんだけど…あ、あった。
To : なまえ
買い物行こうよー!
From : なまえ
キミと行く必要性が解らない。
そうだ。
この頃はまだ、なまえも今みたいに僕を受け入れてくれていなくて。
何をするにしても誘っていた僕のことを、ばっさりと切り捨てていた。
確か、当時は僕の名前すらなまえに呼んでもらえていなかったはず。
そう考えると、最初からちゃんと名前を呼ばれていた兄さんたちはズルい…(特に今で言うとジュンヒョン兄さん)。
To : なまえ
今日習ったところ掴めなくて…教えてくださいミンス様(T_T)
From : なまえ
解った。
僕となまえとのメールのやり取りに、長文というものは一切なかった。
いつも短く終わらせられるなまえのメールは、返さなくても良い、と言われているみたいで。
だから変に続けることもなく、なまえも打ち解けてくれたんだろう。
ほら、なまえって人見知りだしガツガツ来るタイプって苦手な方だからさ。
「ねぇドンウナ。終わった?」
「あ…終わってない。どうしたの?」
「あっそ。ヨソプがゲームに負けた罰で僕にごはんを奢ってくれるから、ドンウナも一緒にと思ったんだけど。忙しいなら別に」
「え、行く!」
「…まあ、待ってるから早く終わらせなよ。」
携帯メールを懐かしむように見ていると、なまえが部屋に入って来た。
なまえがヨソプ兄さんと何をしたのかは解らないけど、どうやらヨソプ兄さんはなまえにごはんを奢るハメになったらしい。
可哀想に、とは思うけど、昔を思い出したからこそなまえが自らこうして僕を誘ってくれることがすごく嬉しくて。
だからヨソプ兄さんに悪いとは思ったけど、便乗させてもらうことにする。
昔は向かってこなかった笑顔も。
昔は返ってこなかった言葉も。
今では全部、きちんと僕に来るんだ。
なまえを直接守れる立場には居られないし、なまえもその立場に立てる人を選んだけど。
僕は僕にしか出来ない方法で、なまえのことをこれからも守ろうと思う。
携帯を見て思い出したこと。
僕の親友は、壁の高い人間でした。
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