閑話休題 ( 6 / 6 )




「え、言っちゃったの!?」

「ドンウナ、煩い。ここは家じゃないんだ。」

「あ、ごめん…。」



ライブが終わり、各自解散ということで久しぶりにドンウンと飲みに来た。
そこでアルコールが入って上機嫌になったついでで、この前自分がジン兄の妹だと明かした、ということを教える。

ここがバーだと言うことを忘れていたのか、大声を出して驚くドンウン。
静かにするように言えば、ドンウンは慌てて口に手を当てて黙った。

このことを言及するかどうかは、社長には何も言われてないし訊かれてもいない。
どうせ、「いつか勝手に言うだろう」とでも思っているんだろう。
あの人は僕に対してだけ、いつも放任主義だ。



「反応は?どうだったの?」

「…まあ、大丈夫だと思うよ。この前久しぶりにファンカフェ覗いて来たけど、そこも運営再開するらしいしね。」

「そっか…。なら良かったね、なまえ。」



反応が気になったのか、ドンウンは真っ先にファンの反応を訊いてきた。
社長から「助けてやってくれ」、と言われた手前…気にはなるんだろう。

昔のアンチのような人は居ないのだと簡単に告げると、ドンウンは安心したように微笑んだ。
…本当、昔からこいつのこの笑顔には弱い。

持っているグラスを軽く揺らし、氷が溶けて出て来た水を馴染ませ、喉に通す。
味が薄くて美味しくはないが、今は何かを飲まなきゃ喉が干からびそうだった。

そう、つまり…酒に強い僕も珍しく、少しばかり酔っているらしい。



「ねぇ、ドンウナ。」

「んー?」

「僕が全部をキミに明かしたとき…、正直キミは、どう思った?」



酔いがあるから、なのだろうか。
訊くことのなかったことを質問として言葉にして、ドンウンに問い掛けていた。

これが解ったからと言って、何になるのか。
それは解らなかったけど、ずっと訊いてみたいと思っていたことがようやく訊ける。

問い掛けたあと、ドンウンは顎に手を当てて、当時を思い出すかのように考え込んでいた。
…別に、そこまで考え込まなくても良いことだと思うけどね。



「僕はショックもあったよ。だってなまえ、黙ってたから。それに、途中までずっと男の子だと思ってたから。」

「…そっか。まあ、男だと思っていたのはおバカなドンウナのミスだけど、うん…。やっぱり秘密は良くないよね。」



正直なところ、ジン兄の存在まで明かして良かったのかと悩んでいる部分もあった。
ジン兄は関係ないのに、もしかしたらジン兄に何かがあるかもしれない。
何かがあったあとで気付いても遅いからこそ、言ったあとだが…今こうして気にしている。

だけどドンウンの言葉を訊いたら…黙っていた方が良くないんだと思わされた。
ファンかドンウンかで言えば、もちろん、事実を明かしたときの親密レベルはドンウンの方が高かったけどね。

KAT-TUNに兄が居る、とまで言えば、顔立ちが似ている僕らのことだ。
すぐにジン兄が兄だと気付くだろう。

それが吉と出るか凶と出るか…。
それはまだ、誰にも解らなかった。






(なまえ、今日宿舎来るの?)

(なんで?)

(車、宿舎の駐車場に置きっ放しだよね?)

(…あ。忘れてた。)

(久しぶりに一緒に寝る?)

(今一緒に寝たら外野が煩いに決まってる。)

(………確かに。)



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