輝いた一つ星




キラリとなまえの首元が光った。ネックレスが反射したのだろうか。そうだとしたら珍しいこともあるものだ。昔はそうでもなかったけれど、今じゃ首回りに何かを着けることを酷く拒むなまえがネックレスなんて。



「それ、どうした?」

「…それ?」

「ネックレス。」

「……ああ。」



新曲のミュージックビデオ撮影、それからティーザー画像の撮影でスタジオを訪れたときに反射したそれを指差し、問う。一瞬なんのことか解っていなかったが、首元をトントンと叩いてネックレスと言えば、理解したように小さく「ああ」と呟いた。

なまえも忘れていたのか、首元のそれを手で確認したあと「外すの忘れてた」と溢す。その表情が優しいものだったから、それが誰からの贈り物なのかすぐに理解した。あの人からの贈り物なら、そりゃ着けるよな。



「ジョンウニヒョンから貰ったの?」

「…よく解ったね。これじゃあジョンイニには嘘も吐けそうにない。」

「だっておまえ、今ネックレスとか嫌いじゃん。それでも着けるってなれば、ヒョンから貰ったものしかないだろ。」

「探偵さんみたいだよね、ジョンイニは。」



ジョンウン兄さんから貰ったものか、と言えば言葉こそは驚いたようなのに、表情は変わらないなまえ。変わらない表情のまま俺には嘘を吐けないって言うけど、そもそもこいつは俺やテミンに嘘は吐かないし、嘘を吐くこと自体を酷く嫌っている。

けれど兄さんとの恋愛は知られてはいけないもので、メンバーに隠しながらの恋愛に心を痛めている。でもこいつは、俺やテミンには隠さない。だからこそ動揺の色も見せないんだろうけど。バレることは想定内か。



「貰ったのは、指輪だけ。このネックレスチェーンは、ぼくが用意したんだ。」

「なんで?」

「…オッパは、隠さず指に嵌めてるから。それならぼくが隠さなきゃだめでしょ?」



なるほど、と思った。兄さんの性格からしても、兄さんはバレても良いと思っているんだろう。たぶんだけど、兄さんはそれだけなまえのことを守りきる自信があるんだ。

でも、なまえは怖い。恐れている。デビューしたばかりのアンチは本当に酷く、この界隈に関わっている人だけでなく一般人ですら認知されるほど。それを自分だけじゃなく、兄さんにまで飛び火しないかを恐れているんだと思う。俺の予想だけど。



「でも、これじゃ衣装と浮いちゃうね。ぼくちょっと、楽屋に戻って置いてくる。」

「良いじゃん別に。そのままで。」

「…?このままじゃ、映り込んじゃうよ。」

「見せ付けりゃ良いじゃん。」

「そんな簡単に言うけど…。」



ネックレスを置くため、楽屋へ戻ろうとするなまえを引き留める。するとなまえはひどく不思議そうな表情を浮かべた。

ジョンウン兄さんがなまえを守る覚悟をしているのなら、俺やテミンの方がよっぽど昔から覚悟を決めている。親友は親友が守ってやるんだ。側にいるから、特に。

一番辛い状態のときの支えにはなってやれないけど、でも、俺たちだって守れる。おまえひとりくらい、守ってやれる。いや、守ってみせる。デビュー組で分けられたときから、俺も、もちろん他のメンバーだって、それは決めていた。特に中国組。



「おまえは幸せそうに微笑んで、王子様になってれば良いんだよ。」



そう。おまえは笑ってれば良い。おまえは知らないだろうけど、俺もテミンも、メンバーたちもおまえに救われたことがある。だからなまえのことを傷付けるものすべてから守りたいと思うんだ。

王子様になってれば良い。そう言えばなまえは小さく笑って、「ジョンイニは変なこと言うんだね」と言った。そうだ。そうやって笑っていれば、みんな安心出来る。

俺たちは、おまえの悲しむ顔は見たくない。




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