荒野に咲く華




「きゃああ!」

「テミナ煩ェ。」

「恥ずかしいからやめて…。」



今日、13人目としてぼくのティーザーが公開された。それをテミンとジョンインと一緒に観ているんだけど、テミンが煩い。

女の子みたいに「きゃああ!」と叫んで、テミンは恥ずかしくないのだろうか。叫ばれてる当事者のぼくはすごく恥ずかしい。誰かこの子を止めてくれないだろうか…。

ぼくのティーザーは、真っ暗な景色の中にぼくがひとりで立ち、その中でブレイクダンスをする。ジョンインはハンお兄さんやセフンと組んで踊ってるけど、ぼくはひとり。それがすこし寂しいと思ったことは秘密。



「やー、かっこいいななまえ。 いや、これからはリンシナだっけ?」

「褒めてくれるのは嬉しいけど、テミナは反応が大げさ過ぎ…。恥ずかしいよ。」

「質問してるんだけど!無視!?」

「煩ェよテミナ。」



当事者であるぼくよりもひとり勝手に盛り上がっているテミン。ジョンインからも煩いと言われているけど、テミンは気にもしていない。ちょっとは気にした方が良いと思う…。

短いティーザーはすぐに終わり、「かっこいいー」と言いながらまた再生を始める。もしかしてこの動画の再生回数って、テミンだけで増えてるんじゃないの…?有り難いことではあるけど、何度も言うように恥ずかしい。



「ヒョンには言ったの?」

「…ううん、まだ…。」

「早く教えてあげないと!」

「おまえはお節介ババアか。」

「うーん…。」



テミンからお兄さんにはデビューのことを伝えたのかと聞かれて、言葉に詰まる。そりゃもちろん、すぐにでもデビューのことはお兄さんに伝えたかった。でも、連絡をしてしまえばお兄さんに会いたくなってしまうから、なんとなく躊躇してしまう。

未だに「今から連絡しようよ!」なんて騒ぐテミンはジョンインに任せて。いつジョンウンお兄さんに伝えるかを考えながらも自分のティーザーを見つめる。

ぼくは、EXOに存在する異質。ずっと待ち望んでいたデビューは嬉しかったし、今までの苦労が報われた、とも思ったけど。ぼく以外の人につくファンの人の反応が怖い。

すでに"アンチコメント"、というものは上がってきている。いくらぼくがグンお兄さんの妹だからと言っても、男12人の中に女がたった1人だけ存在するとなれば、途端に話しは変わってしまうんだ。

デビュー組みとして呼ばれたとき、練習生になって間も無いジョンデ兄さんやベクヒョン兄さんは、ぼくの存在に戸惑っていた。他の兄さんたちやセフンは優しいから、ぼくのことを受け入れてくれるだけ。だからジョンデ兄さんやベクヒョン兄さんの反応が、世間が感じるごく普通の反応なんだ。



「…何考えてるか知らないけど、俺はおまえとデビュー出来て嬉しいよ。」

「ジョンイナ…。」

「え、何か気にしてんの?別に良いじゃん、今さらなまえのこと女として見ないよ!」

「それは失礼だろ。」

「それはぼくに失礼だと思う。」



デビューを言い渡された日は、ただただ嬉しくて、喜んでいた。でもこうしてメンバーとして発表されると異質な存在としてデビューすることが恐ろしく思えて。本当にぼくなんかが居ても良いのかと考えさせられた。

でも、決まったものはもう覆せない。だからどんな結果であっても、ぼくはEXOに異質な存在として居なければならないんだ。

どこかはぐらかすかのような言い回しでぼくとのデビューを喜んでくれるジョンインも、ぼくとはふざけてばかりのテミンも。みんなすごく、心強い。もちろんメンバーもね。

これからきっと、ぼくは苦労を重ねる。今までの練習生の期間よりも大きな苦労を。でも仲間にジョンインが居れば、みんなが居てくれたら、それも乗り越えられる。

なんとなくだけど、そう思った。



「まあ、まずは韓国組みのメンバーともっと距離を縮めような。気まずいのモロバレ。」

「うっ…。」

「え、なまえってジュンミョニヒョンやチャニョリヒョンにも慣れてないの?」

「ハングーグとかイーシングーグたちとは、結構話すんだけどね…。」

「それノーカンでしょ。」



…まあ、うん。ぼくはまず、ジョンインの言う通り、メンバーと距離を縮めないとね。




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