小さなモンスター
「がおー!」
「…どうした?」
帰ってくつろいでいると、仕事終わりのなまえが帰宅した。珍しくちょっと早く帰ることが出来たけど、なまえは多忙で。だから時間も結構遅いんだが…おかしい。
何がおかしいか、と言えばなまえのテンションだ。帰るなり「がおー」なんて言う。今日はハロウィンでもなんでもないのに。
「ぼくは、モンスターなんだよ。」
「………?ああ。」
理解出来ていない俺を見て、自分を「モンスターだよ」と言うなまえ。なんのことやらさっぱりだったが、そうか、なるほど。
つい最近、カムバックを果たしたなまえのいるEXO。そう言えばそれのタイトルは、モンスターだったな。それのことか。いやでもモンスターで「がおー」は無いだろ。
「随分とかわいいモンスターだな。」
「むぅ…。ぼくはかわいいじゃなくて、かっこよくて強いモンスターだもん。」
どうやら、このお姫様は俺の「かわいい」発言がお気に召さなかったらしい。拗ねるように頬を膨らませるが、そういうところがかわいいんだって、解ってないんだろうな。
どこからどう見ても、かわいいモンスターに違いはない。世間じゃ王子様と呼ばれ、事務所の人間も王子と呼ぶなまえだけど、俺からしてみたらただのかわいいお姫様だ。
拗ねるなまえを抱き寄せて、額にキスをひとつ。ついでに「かっこいいかっこいい」と言えば機嫌も治ると思ったのに、適当に言ったのがバレたのかまた不服そうに頬を膨らませた。だからかわいいんだって。
「機嫌が悪いなまえは嫌だ。」
「…だって、オッパがかわいいって言うから悪いんだもん…。ぼくは、王子様なんだ。」
「でも王子様ななまえでも、俺から見たらかわいいお姫様なんだから、仕方ないだろ?」
「…オッパの特別?」
「うん、特別。誰よりもかわいい。」
「………じゃあ、良いや。」
例え周りに王子様と呼ばれていても、俺からしてみたら誰よりもかわいいお姫様なことに変わりはない。だからそう言えば、なまえは満足そうに微笑んだ。単純。かわいい。
俺の胸にグリグリと頭を押し付けて甘えるその様は、モンスターよりも小動物で。かわいいかわいいモンスターの旋毛に、もう一度だけキスを落とした。