あなたの特別がいい




f(x)や少女時代に囲まれてデレデレ、ニヤニヤしてるお兄さんは嫌い。知らない事務所のガールズグループや女優さんと対面して、だらしない表情を浮かべているお兄さんはもっともっと嫌い。見るのも嫌だ。

今日だって、祭典に出るからガールズグループはたくさんいて、お兄さんは顔見知りなのかなんなのか、いろんな人と話してる。ぼくとはまだ、一度も話していない。



「…そんな不機嫌そうにすんなって。」

「そうだよ!せっかく俺とも一緒に踊れるんだから、もっと喜んでよー!」

「テミナ、話しが変わるから黙ってろ。」

「ちぇ。」

「むむむ…。」



楽屋に入る前にそんな景色を見てしまったから、ぼくの機嫌は最高に悪い。アンチが多い以上(いや、居なくてもだけど)仕事には絶対に引きずりはしないけど。

でも、メンバーしか居ない楽屋でくらい拗ねたって良いじゃないか。イレギュラーでテミンも来てるけど、テミンは気にしない。だってぼくとお兄さんのこと、知ってるから。

ぼくの様子を見かねてか、呆れたようにジョンインから「不機嫌そうにすんな」と窘められる。ジョンインから見ても、ぼくは相当不機嫌そうだったんだね。



「ヒョンは深く考えてないって。」

「深く考えてたら浮気だもん。」

「まあ、ヒョンは浮気なんて絶対にしないでしょ。あんなになまえだいすきオーラ出してて浮気した日には、俺だって軽蔑するよ。」

「…むぅ。」



ジョンインの言う通り、お兄さんのあの行動にやましい気持ちなんて無い…と思う。あったら問題だけど。でも、だけど、ぼくはまだ子どもだから、嫌なものは嫌なんだ。

テミンはからかうのをやめて、真面目な表情で「浮気なんて絶対しないでしょ」と言っている。浮気じゃなくても嫌なんだもん。



「…オッパは、ぼくのオッパだもん…。」



この界隈、人との繋がりは大切だと思う。だから必要な関わりだって頭では解っているんだけど、受け入れたくなくて。

でもたぶん、一番嫌なのは…ぼくと話してないのに、他のグループの人たちとは楽しそうに話すこと。だからすごく嫌。しかもガールズグループなんだから、なおさら嫌だ。

お兄さんの特別になりたい。ぼくだけのお兄さんでいてほしい。ぼくだけを見つめてくれる恋人が良い。そう思うことは、ぼくのわがままなのかな…。なんて。



「なまえ。」

「!…オッパ?」



どれだけ親友ふたりにフォローされても、ぼくの心はまったく晴れない。しばらく放っておいた方が得策か、と言わんばかりにふたりはぼくから離れていった。いつもであれば寂しいって思うけど、今は有り難い。

ちょっと頭でも冷やそう。そう思ったと同時に聞こえた、だいすきなお兄さんの声。だいすきだけど、今は会いたくない…かも。



「機嫌悪いのか?」

「…知りません。」

「俺に怒ってるのか…。何に怒ってるの?」

「さあ、何を言っているのか解らないです。韓国語、難しいです。」

「………そういうとこ、ハンギョニヒョンとそっくりだな。」



付き合いが長いからか、ぼくの不機嫌な理由が自分だとすぐに解ったジョンウンお兄さんはすごい。でも、それくらいじゃぼくは許したりしないもん。だから昔、グンお兄さんから教えてもらったトボけたフリをすればジョンウンお兄さんも頭を抱えた。

いつもはジョンウンお兄さんに甘いぼくだけど、今日は簡単に許さない。ぼくだって、いっぱい悲しかったんだから。



「言ってくれないと、解らないだろ?だから俺に、ちゃんと理由を教えて?」

「………。」

「なまえ…。」



…ああ、本当に。ジョンウンお兄さんはズルい。ズルすぎる。

ぼくだって悲しかったのに、どうして今、お兄さんが悲しい顔をするの?そんな顔をさせたくないから、胸だって痛くなる。付き合いが長いと、こういうとき不利になるなあ…。



「…オッパ、ぼくと話してないのに、他の女の人たちと…楽しそうだった。」

「え?」

「わがままだって、解ってるけど…ぼくと一番に話してほしかった…。オッパの特別が、ぼくだってほしい…。」



素直に言ったら、嫌われるかもしれない。嫌がられるかもしれない。ぼくなんかとは別れたいと思われるかもしれない…。

でもお兄さんのあんな顔は見たくなくて、






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