最近、見舞い品というものが多く運ばれるようになった。
日本や韓国のレーベル、そして事務所だけでなく…どこから情報が漏れたのか、もしくはTS事務所が流したのか、ファンと呼ばれる人たちからもプレゼントが届いている。
そんな中に紛れ込んでいた、あるひとつの小さな見舞い品。
他とは違う、小さな小さな箱に入ったプレゼント。
差出人は不明だけど、書かれている住所はいつも同じ。
この住所がなんなのかは解らないけど…でも、見覚えもある。
そして…いつからだろう。
きっとこの差出人不明のプレゼントが届くようになってからだ。
そのときから、わたしはよく昔の記憶の断片を見るようになった。
「っ、」
ああ、今日も…か。
『これ美味そう。』
『当たり前。わたしが作っているのよ?しかも−−の好きな味付けにまでしてるんだから、美味しそうじゃなかったら困るわ。』
『確かに。あーもう、可愛すぎ。』
『ちょ、−−!』
今日見た過去の映像は、誰かの家でご飯を作っているわたしと…それを待っている誰か。
相変わらず、名前の部分は聞き取れなくて解らない。
だけど、頭痛は最初の頃よりも酷くはなくなっていた。
後ろから高い身長で包まれる身体。
それに安心しているのが、第三者のように見ているわたしにでさえも伝わってくる。
きっとこの記憶の人は、わたしの恋人だったんだ。
今どうなっているかは解らないし、相手も解らないからなんとも言えないけど…きっと恋人。
相手は、誰なのか。
気にはなるけど…今のわたしには、知ることが出来ない。
「ジュノンだったら良いのに…。」
思わず出て来た言葉に、焦る。
慌てて口に手を当てるけど、こんなところに誰かが立ち聞きしているなんてあり得やしないのに。
わたしは何を慌てているんだか…。
気になることは、たくさんある。
記憶の相手も、プレゼントを贈ってくる相手も。
全部気になるけど、今は医師に言われた通り無理に記憶を起こすことはすべきではない。
いつか自然に思い出すだろうな、なんて思いながら瞼を閉じた。
届けられる贈り物
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