◎ 勝負だからこそ決めるんです
ヨン・ジュニョンという男は、すごい奴なんだと思う。
2014年にやっていたSHOW TIMEでは見事なポンコツぶりだったし、何故か色弱まで言ってしまうようなテレビで空振りよろしく頑張る男だけど。
それでも、すごいと思ったんだ。
なんでかって?
それはもう、決まってるでしょ。
"あの"なまえと付き合ってること自体がすごいんだよ。
「ねぇヨソパ、訊いてるのー?」
「訊きたくないけど訊いてるってば。」
「じゃあ早く答えてよー。こっちとこっち、どっちが良いかな?」
知らねぇよ、と全力で叫んでやりたい。
今なまえは、何故か俺たちの宿舎に立てこもっている。
しかもジュンヒョンも居なければ他のメンバーも居ないから、えーヨソパだけなのー…仕方ないなぁ、と嫌々なまえに言われて話に付き合ってるんだけど…。
嫌々なら言ってくるな。
俺だって付き合いたくないんだから。
なまえが言っているのは、ジュンヒョンとのセックスのときの勝負下着はどっちが良いか、というもの。
そんなものどうでも良いし、シースルーと紐パンしか選択肢のないなまえを全力で殴ってやりたかった。
チョイスにセンスが感じられねぇ。
「もー、これでジュニョアとの熱い夜が決まるんだから真剣に考えてよねッ!」
知らねぇよ(2回目)。
そんな下着なんかで夜が決まるんだなんだのと言われても知ったこっちゃない。
ましてやジュンヒョンの好みの女下着なんて知りたくもないし。
そもそもお前たちの夜の事情なんか、果てしなく興味無いんだけど。
個人的にはシースルーだったらジュニョアも興奮すると思うんだけどヨソパは興奮する?、なんて真面目に訊いてくるなまえにパンチを決めたい。
ジムに通っている手前、一般人にそんなことをするのはタブーだからプライドに掛けて絶対にしないけど…。
これはもう、手が出てもおかしくない。
「えー。どうしよう。ねぇヨソパー。」
「あーもう煩いな!」
「あらやだ。ヌナはそんな子に育てた覚えはありませんよ!」
「誰がヌナだ!育てられてないし!」
なまえがシースルーを履いてようが履いてなかろうが興味ない!、と叫びたいのを我慢しつつ、引かれるんじゃない、と答えてあげるあたり優しいよ俺。
それもそうだよねー、なんて言いながらもシースルーを諦める気配はなく、やっぱり引くー?、とまた訊かれる。
だから本当に、お前たちのことで俺を巻き込むのは止めてくれ。
そもそもなまえ。
お前なんでここに居るの?
TEEN TOPは仕事じゃないわけ?
(…何やってんだよ。)
(あ、ジュニョアおかえり!)
(…悪いヨソパ。アイス奢るわ。)
(うん。ハーゲンね。)
(ゲッ。…まあ良いけど。)
(ねぇねぇ、ジュニョアはどっち派?)
(帰れ。チャンジョが探してたぞ。)
(あ、遅刻しちゃう。)
(…本当に何してんだよ。)
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