お買い物デート


はい、毎回恒例になってます。
今日はウギョル3回目の収録です。

今日、わたし以外のメンバーは久しぶりに練習と言うスパルタ時間はお休みらしい。
せっかくのオフなら、わたしも休みたかったけど…多分わたしにウギョルの収録があるから、みんなは休みになったんだろう。
この一週間のハードスケジュールのお陰でだいたいの振り付けは覚えて歌も完璧になったから、あとはもう詰め込んでミュージックビデオを収録するだけだし。

それにしても、今日のウギョルの収録はいったいどんな感じなんだろう…。
前回は遊園地だったし…って、そう言えば、今日の夜にわたしとヒョンスンオッパのウギョルが放送されるんだ。
反応が怖い、な…。



「なまえ!ごめんね、遅くなって。」

「ううん…、大丈夫。」



今日は無駄に朝早くから集合を掛けられていたからなのか、収録ギリギリに姿を現したヒョンスンオッパ。
ヒョンスンオッパの到着を見たウギョルの監督さんが、収録スタートの声を全員に掛ける。

どういう内容なのかな、と思っていたら早速ミッションカードがヒョンスンオッパに手渡される。
カメラを回すのが速いな、と少し感心しつつ、差し出されたのでヒョンスンオッパと一緒にミッションカードの内容を覗き込んだ。



「今日はお互いに初のプレゼントをしましょう…ですか。」

「え、これって僕となまえが別行動ってことなのかな?」

「多分……あ、別行動…だって…。」

「えー、つまんない。」



ミッションの内容は、お互いに初のプレゼントをしましょう、というもの。
恋人になった記念としてプレゼントを渡す、ということなんだろう。

あ、そっか。
だからここに来る途中、マネージャーからお小遣いを渡されたんだ。
なるほど、理解しました。

そしてヒョンスンオッパは別行動になるのかと気にしていたので、ちょっとスタッフさんの方を見ると、手書きのカンペに、別行動で!、とある。
やっぱり別行動だよね。

ヒョンスンオッパは別行動ということに不満があるらしく、いつものようにつまらなさそうにしている。
オッパ、流石に無表情は…テレビ的にもNGだと思うよ…。



「早速…ヒョンスニオッパと別行動でプレゼント決め…。ですね…。」



不機嫌そうなヒョンスンオッパを宥めてから、別行動に入る。
プレゼントってその人のセンスが現れるし、テレビで放送されちゃうから気を付けないとなぁ…。

まず最初に入ったお店は、アクセサリーショップ。
正直な話、テグンとカモフラージュのためのみんな以外にアクセサリーは贈りたくない。

だけどこれも一応テレビ的に考えて、の行動。
ある程度見渡して物色するフリをしながら、適当な頃合いで店を出た。

でもアクセサリーじゃないとなると、プレゼントするモノに困ってしまう。
アクセサリーは一番無難で、一番選びやすいモノ。
だからまだ簡単に考えられるけど、他のモノとなると難しい。



「次は…あそこのお店に入ります。」



次に入ったのは、小物なんかも扱っている雑貨屋さん。
プライベートや仕事、例えば練習室動画の収録のときにも使えそうなものとかだったら便利だよね。
ビーストが次いつカムバックするのか知らないけど…。

さっきのアクセサリーショップよりも慎重にモノを選ぶ。
この中で決めちゃった方が良いかな。
あんまりもたついて、もしヒョンスンオッパを待たせても悪いし。

けどなかなかピンと来るものが無い。
別の店を探すかどうか考えていると、良いモノを発見した。



「わたしは、これとこれにします。」



いわゆる一目惚れなるものをしてヒョンスンオッパのプレゼントを買った。
わたし的にはセンスが良いと思うんだけど…どうなのかな。

でもやっぱり、恋人なのにアクセサリーじゃないっていうのは失敗だったかなー、と考えてしまう。
友だちとしてソナ、ジウン、ヒムチャン、ヨングク、ハギョン、テグンにアクセサリーを渡してるのに、どうして恋人にはアクセサリーを渡さないんだろう、とか思われていたら怖いな…。
まあ、後悔したところでもう手遅れなんだけどね。



「あ…。」



集合場所に集まると、そこには既にヒョンスンオッパが居た。
ヒョンスンオッパは何かを飲みつつベンチに座って、ボーッとしている。

ボーッとするなんて、ヒョンスンオッパらしいな、と微笑ましくなった。
わたしももうテレビは解っているつもりなので、普通に声を掛けたりは絶対にしない。
まあ、性格的に派手なスキンシップとかは出来ないんだけど…。



「ヒョンスニオッパ。」

「わ!びっくりした…。」

「ドッキリ…成功、かな?」

「もー…。なまえってテレビで見るよりも、意外とお子さまなんだね。」

「ヒョンスニオッパにだけは、言われたくない…です…。」



わたしが選んだのは、後ろからこっそり近付いて驚かす作戦。
こっそりこっそり近付いて、ポンと肩に手を置きながら名前を呼ぶと、ヒョンスンオッパは驚いて立ち上がった。

もしかして、職業柄でファンかと思っちゃったのかな?
驚き方が尋常じゃない(お化け屋敷はあんなに平気そうだったのにね)。

もー、とむくれながらも、ちょっと笑ってるヒョンスンオッパ。
テレビで見るよりも意外とお子さまなんだね、と言われたけど、ヒョンスンオッパにだけは言われたくないよね。



「あれ…またミッションカード…。」

「今度はカフェに入ってプレゼント交換をしよう、って。」



もうヒョンスンオッパに慣れたのか、普通にそんな会話をしていると、ミッションカードがヒョンスンオッパに手渡される。
ヒョンスンオッパはそれをサラッと読み上げてから、だったらあそこに行こう!、と呼んだ瞬間にわたしの手を掴んで走り出した。

え、あの、どこに行くんですか。

走ること10分。
ダンスなんかのために鍛えているとは言っても、やっぱり10分も男の人のペースで走るとかなり疲れる。

着いたのは大きなビルの近くにある、普通のカフェ。
食事のときもそうだったけど、ヒョンスンオッパって意外と普通の飲食店が好きだよね。



「ここ、僕たちの事務所がやってるキューブカフェ。」

「あ、ここが…。そうなんだ…。」



カラン、と鈴の音を鳴らしながらカフェの中に入り、適当なところに座る。
カメラマンさんたちもちゃんと着いて来ていたらしく、収録は続行。
みなさんお疲れ様です。

何を飲もうかな、とメニューを見ていると、ヒョンスンオッパがこのカフェの説明をした。
キューブカフェというものがある、と言うのは訊いていたけど、ここがそうだとは思いもしなかったな。

だけどそうか。
キューブカフェが近くにあるって解っていたから、ヒョンスンオッパは道に迷うことなく(恐らく)全力疾走でここに来たんだ。



「じゃあまず、僕からのプレゼント。開けてみて。」

「え…、これ…。」

「可愛いでしょ?なまえに似合うと思って。即決しちゃったんだ。」



注文して、注文した飲み物が届いたときヒョンスンオッパからプレゼント交換が始まった。
初めは言い出しっぺから、と言わんばかりにプレゼントを取り出して、わたしに渡して来る。

開けてみて、と言われて包装紙を剥いで中身を取り出すと、箱で。
箱を開けるとそこにはシンプルで綺麗な…だけどどこか可愛らしいピアスが入っていた。



「僕とお揃い。ホラ。」

「あ…、本当だ…。」



僕とお揃い、と言って見せられたのはヒョンスンオッパの耳。
そこにはわたしが貰ったピアスの色違いのものが着けられていて、なんとなく…なんとなくだけど、テグンの顔が脳裏を過った。

駄目駄目。
今は仕事で、ウギョルなんだから…。
テグンのことは極力考えないようにしないと、辛くなっちゃうし。

こんなプレゼントを貰ってしまうと、逆にわたしのプレゼントが渡し辛くなってしまう。
少し戸惑いはあったけど、おずおずとそれを差し出すとヒョンスンオッパは喜んで包みを受け取った。



「開けて良い?」

「うん…。その、たいしたものとかじゃ…、無いんだけど…。」

「わ、オシャレ!僕、こういうデザイン好きだから嬉しい!」

「良かった…。」



ヒョンスンオッパは受け取るなり、開けて良い?、と訊いてきた。
それに肯定するついでに、たいしたものとかじゃない、と釘を刺してはみたものの、恐らく訊いてはないだろう。

まあ良いか、と思いながら傍観していると、ヒョンスンオッパはわたしのプレゼントを取り出した。
そして見るなり、オシャレ!、だの、こういうデザイン好き!、だのと言ってもらえて安心する。

ヒョンスンオッパにプレゼントしたのは、ヘアバンドとリストバンド。
ちなみにわたしも色違いのモノを買ってみた(番組的に買ってみたけど、ヒョンスンオッパもお揃いを買ってたから逆に買ってて良かったよ…)。



「ありがとう。大切にする。」

「こちらこそ…。ピアス、本当に可愛い…。ちゃんと…着けるね。」



無事にプレゼント交換が終わり、キューブカフェで軽く食事をしてから収録は終わった。
予想外にも早く終わったので、残りの半日はわたしもオフ。

久しぶりにゆっくり出来る…。

オフになったことが嬉しくて、すっかり忘れていた。
今日がわたしとヒョンスンオッパのウギョル特別編の第一話放送日、だということを…。

わたしはウギョルが放送される時間には、ぐっすり眠っていた。
だから気付かなかったんだ。
翌朝練習のために起きて携帯を見て、着信やメッセージの量に驚いた。



−−−ねぇ、今なにしてるの?






((本当に、忘れていたんだ。))

((誰よりも愛しい人の気持ちを。))

((考えられて、いなかったんだ。))






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キューブカフェの入り口に鈴の音があるかは知りません、ごめんなさい。何


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