ネクスト


前回のあらすじ。
ビーストの宿舎からシークレットの宿舎に移動します。



「やっぱりシークレットも充分宿舎大きいよー!」

「そうかなぁ…。」



そんなこんなでシークレットの宿舎に到着しました。

シークレットの宿舎は最上階とかではなく、真ん中らへんの階。
みんな事務所から帰って来ていると思うし、片付いているだろうから…多分大丈夫だよね?

そんな不安を抱えつつ宿舎に向かう。
ヒョンスンオッパはわたしに、ビーストのときと同じようにしてほしいとわざわざ頼んできた。
頼まれたのなら、やっぱりやらなきゃ駄目だよね…?

カメラにわたしだけが映るようにしてから、宿舎のチャイムを鳴らす。
すると数分と経たないうちにパタパタとスリッパの足音がしてきて、ガチャリとドアが開いた。



「なまえ、なんでわざわざチャイム鳴らしたの?普通に入って来たら良かったのに。それよりウギョル…はい?」

「こんにちは。僕はビーストのヒョンスンです。」

「………。」



出迎えてくれたのは、親友のソナ。
ソナが文句を言いつつわたしを中に入れようとしたときだった。

ソナはウギョルのスタッフさんとヒョンスンオッパの存在に気付き、その場でフリーズしてしまう。
ヒョンスンオッパが挨拶をしているというのに、ソナは固まったまま。

そして少しして意識が戻ったらしく、ドアがパタリと閉められる。
そして聞こえたのは、足音。
あれ、これデジャヴ?



「…多分、こっちも結構汚い…。」

「僕たちより絶対綺麗だから。」



さっきのビーストの宿舎を彷彿とさせられるソナの行動。
マネージャー、言ってなかったんだ。

ヒョンスンオッパにこっちも結構汚いと言うと、絶対綺麗だから、と笑顔で言ってくれる。
お願いします、女の子の宿舎に理想を抱かないでください。
多分、フォーミニッツの宿舎は綺麗なんだろうけど…。

でもそれより気になったことがある。
靴が…異様に多かったんだ。
つまり、誰かが来てるってことなんだけど…嫌な予感しかしない。



「どうぞー。ヒョンスンさんいらっしゃい。」

「おじゃましますー。」



今度出迎えてくれたのは、シークレットのリーダーヒョソンオンニ。
ヒョソンオンニ、リーダーだからってそんな出迎えなくても…。

ヒョンスンオッパを案内しながらリビングに向かう。
リビングに着いた瞬間、見えたのは驚くべき光景だった。



「ヌナ、俺訊いてない。」

「なんで…デヒョナが…。」



やっぱり、嫌な予感は的中。
そこに居たのはビーエイピーのメンバー全員だった。

ヨングクとジョンオプ以外のメンバーはなんだか不機嫌そうで、ジョンオプは困っている。
あ、もしかしてメッセージ返してなかったのも悪かったのかな…。



「メッセージも返さないなんて…。オッパはリンをそんな子に育てた覚えはありません!」

「いや、チャナに育てられた覚えも無ければオッパでも無いからね。」

「えっと…。はじめまして、かな?僕はなまえの彼氏で野獣ビーストのヒョンスンです。」



せっかくヒョンスンオッパを連れて来たと言うのに、ヒムチャンのふざけたノリでペースは乱されてしまう。
ヒムチャンのボケに冷静に突っ込んだあと、ヒョンスンオッパは自分から自己紹介をしてくれた。

ここはわたしが振らなきゃいけない話題だったのに…。
ヒョンスンオッパ、ごめんなさい。



「えっと…。わたしの彼氏…の、ヒョンスニオッパ…。」

「なまえ照れてる?もうそろそろ慣れてよー。ね?」

「ちょ!ヒョンスンさんリンとの距離近いです!駄目!」

「これ以上リンに色気が出ちゃったらどうするんですか!」

「ちょ、ソナもジウナも…ちょっとは落ち着いてよ…。」



改めてヒョンスンオッパを紹介してみると、本当の恋人では無いのになんだか気恥ずかしい。
けれどその気恥ずかしさの中にも、テグンに対する罪悪感はあった。

本当は、テレビを通して恋人だと公表したいのはテグンなのにね。
秘密恋愛って…不便ばっかり。

照れてるわたしに気付いたのか、さっきみたいに至近距離で照れたのかと訊いてくるヒョンスンオッパ。
するとヒョンスンオッパとの距離はベリッと剥がされ、わたしの前にソナ、わたしの後ろにジウンが立ちはだかって文句を言っていた。

ふたりとも、言ってることが少しおかしいけど…。
大丈夫ですかね。



「あ、デヒョンくんだよね?なまえの弟さんの。よろしくお願いします。」

「あ、はい…。いろいろと不甲斐ないヌナですが別れても文句は言わないであげてください。」

「ちょっとデヒョナ。」



ヒョンスンオッパはソナとジウンをすり抜けて、今度はデヒョンを見付けて自己紹介をする。
デヒョンだけは本当の家族なんだ。
やっぱり、ちゃんと挨拶はするよね。

デヒョンはさっきまであんなに喚いていたのに、いざヒョンスンオッパに挨拶されると思いっきりわたしのことを悪く言っていた。
いくらヒョンスンオッパが先輩で、デヒョンにとってもヒョンだからって態度変わりすぎじゃない?



「デヒョナも弱いね、ヌナ。」

「デヒョニヒョンがああなのはいつものことじゃないですか。」

「でもやっぱり、気にしてるみたい。デヒョニヒョン、ちょっと顔が険しいですもん。」

「そりゃそうだろ。あいつお前のこと大好きなシスコンだし。」

「…いつの間に。」



ボーッとヒョンスンオッパとデヒョンのやり取りを見ていると、後ろからヨンジェの声が聞こえてきた。
慌てて振り返ると、そこにはヨンジェだけでなく、ジュノン、ジョンオプ、ヨングクまで揃っていて。
4人が4人とも、呆れたようにデヒョンを見ていたことには触れないでおくことにする。

あとからキッチンからハナオンニとヒョソンオンニとヒムチャンがケーキと紅茶、珈琲を持って来た。
まあ、やっぱりこれはテレビだから、文句は言いつつもちゃんとヒョンスンオッパを迎えるみたい。
ヒムチャンとデヒョンは相変わらずブスッたれているけどね。

それからケーキを食べながら、みんなで会話をしていく。
ケーキも食べ終え、いい時間になるとヒョンスンオッパは帰り、わたしはそのまま宿舎に残るようにと言われた。

今日の収録はこれで終わりらしい。
じゃあね、と手を振って宿舎から出て行くヒョンスンオッパを外まで見送って、わたしも中へと戻る。



シークレットの宿舎には、なんと予定外の特別ゲストが居ました。






(ヌナ!レオさんには言ったの!?)

(ちょ、デヒョナ!)

(それ、今は禁句なのよ。)

(あの子喧嘩しちゃったみたいで。)

(え、それってマズいんじゃ…?)

(…わたし、寝るね…。)



テグンに、会いたい。


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