応援に来ました
カムバックは順調に進み、カムバック一発目のステージ以降ウギョルの撮影は本当になかった。
まあ、カムバック中は忙しいから…ウギョルに時間はあんまり割けられないから仕方が無いと思う。
カムバックから2週間。
わたしたちシークレットは、まだこのカムバック曲では1位を取ることは出来ていなかった。
1位を目標ではいたけど…やっぱり、現実は厳しいな。
今日はとある番組でのステージ。
カムバックの活動もあと半分ほどで終わる、というとき楽屋に訪れた来客。
「なまえヌナ!」
コンコン、とノックが聞こえ、扉が開いたと思ったらデヒョンとジュノン、それからヒムチャンが中に勢い良く飛び込んできた。
ちなみに、名前を呼んできたのは実の弟、デヒョン。
ヒムチャン、デヒョン、ジュノンに次いで入って来た残りのメンバー。
なんだか少し痩せ細っているように見えて、ちょっと切なくなる。
ビーエイピーもかなり忙しかったから疲れたのかな。
久しぶりだし…甘やかしてあげないといけないよね。
「ジョンオパ。元気だった?お菓子あるけど…食べる?」
「ありがとうございます、ヌナ。」
「あれ?俺が一番に来たのに、なんでヌナは反応してくれないの?」
甘やかしてあげないと、と一目散に向かったのは、ジョンオプのところ。
ジョンオプは性格からなのか、隅に居てちょっぴり目立たない。
もっと出て来たら良いのに、と思いながらもソナとジウンが置いていたお菓子を掴んでジョンオプに差し出す。
するとジョンオプは微笑みながら、ありがとうございます、と言ってそれを受け取ってくれた。
(文句を言ってるデヒョンは無視。)
「なまえー、今回の曲、ちょっとセクシー過ぎると思うんだけど。特に一番最初のソロパート!」
「チャナ煩い。ソナ、ジウナ、この人どっかにやって。落ち着きたいし。」
「俺の扱い!」
お菓子をあげて、よしよし、と頭を撫でてから先程まで座っていたソファーに戻ると、すぐさまヒムチャンの文句が飛び交って来た。
これからステージだと言うのに、どうしてこんなにも騒々しいんだか…。
ソナとジウンにヒムチャンを退かしてもらい、いつものようにひとり閉じ籠ってイメージトレーニング。
ソロの振り付けは、そろそろ自由にしても良い頃合いだろう。
そうなると、もっとウケの良い…、反応の良くなるフリーダンスにした方が良さそうだ。
フリーの部分の振り付けを考え、軽く身体を動かす。
何度か行えば勝手に身体が覚えてくれたので、これなら大丈夫そうだった。
「はいはい。ビーエイピーも来てくれてありがとう。でもそろそろ出番だから…みんな行こう。」
「もうそんな時間か…。頑張れよ。」
「うわっ、ちょ、グガ…!」
ヒョソンオンニの呼び掛けで、ひとり閉じ籠ったイメージトレーニングが終了する。
もうこんな時間になったんだ。
1位はもう、取れないだろう。
でも1位よりも、ファンの人を魅了することの方が…ファンのみんながわたしたちを応援していて良かったって思ってもらうことが大切だから。
だから今日も頑張ろう。
そう思っていると、不意にヨングクから乱暴に頭を撫でられた。
ヘアセット、ストレートだからまだ良いけど崩れたら怒られるのに。
「グガばっかりなまえとイチャついてズルい!俺も!」
「ヒムチャニヒョンは先に俺と行きましょうねー。ジュノンも手伝って。」
「はーい。」
「ヨンジェ!ジュノア!やめろー!」
セットが崩れるからやめてよね、とヨングクを軽く叱っていると、ヒムチャンが横から入って来る。
少し興奮したような状態で、グガばっかりなまえとイチャついてズルい!、などと馬鹿なことを言い出した。
ヒムチャン。
わたしは別に、ヨングクとイチャついてないからね。
そんな喚くヒムチャンを引っ張るのがしっかり者のヨンジェ。
デヒョンと違って出来た子だなぁ、と感心してしまう。
ヨンジェがヒムチャンを引っ張り、他のメンバーも一緒になって楽屋を出て行った。
あたしたちも行こう、というハナオンニの言葉で少しの緊張を抱きながらもステージに向かう。
やっぱりこの緊張は、いつまで経ってもなくならない。
「なまえ。」
「なんですか?ハナオンニ。」
「これ、デヒョナから。良い弟ね。」
「?」
ステージに立つ前に、ひとつ前のグループの演奏待ちでステージ裏へと待機するわたしたち。
そこでも軽くソロパートのフリーを確認していると、ハナオンニから軽く肩を叩かれる。
どうしたのかと訊けば、そのまま手渡された裸のネックレスと紙切れ。
ハナオンニはこれはデヒョンからのだと言って、3人の元へ行った。
デヒョンから、って…。
そう言えばさっき、デヒョンがハナオンニに何かを渡していたかも。
そのまま直接渡したら良かったのに、どうしてそんな回りくどいことをいちいちやるんだか。
でも、ネックレスのプレゼントは本当に嬉しい。
今回の活動曲に良く似合う、大人っぽいシンプルなデザイン。
そのネックレスを着けてから、一緒に渡された紙切れに目を向ける。
簡単に読めないようにちゃんと四つ折りになっているそれ。
何を書いているのかと思って紙切れを開いてから、驚いた。
「なまえ、行くよ!」
「あ…うん。」
驚きのあまりに、涙が溢れ出しそうになってきた。
メイクが落ちたら困るので泣かないように我慢していると、出番なのだとソナに呼び掛けられる。
…全力を尽くして、頑張らなきゃ。
頑張らないといけない理由があるからわたしは頑張る。
−−−この前はごめん。
素直じゃない、シャイな彼の気持ち。
−−−今日、見に行ってるから。
このネックレスは、今日のおまもり。
−−−カムバックのプレゼント。
(全く、自分で渡せば良いのに…。)
(デヒョニお疲れ。)
(デヒョナ、さっき何渡してたの?)
(不器用なヒョンからの頼まれ物。)
(不器用なヒョン?グガ?)
(なんでだよ。)
(ヒムチャニヒョン、馬鹿ですね。)
(こらジュノア。駄目だよ。)
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