仲直りの
ドキドキする。
泣きそうになった。
意地っ張りで、人見知りで、わたしと同様カメラが苦手な彼。
だけどわたしに向けてくれる優しさが大好きで、だから愛せた。
そんな彼からの、もう何個目になったか解らないカムバックのプレゼント。
お互いがカムバックしたとき、いつも記念でプレゼントしていた。
それをギュッと握り締めて、ステージに立つ。
不思議と気持ちがいつも以上に楽になって、いつもよりも気持ち良くソロパートを踊れたし、歌も歌えた。
これも全部、意地っ張りで素直になれない彼のおかげ。
「なまえ!?」
「オンニ!ちょっと…行かなきゃいけないところがあるので行ってきます!最後のステージまでには戻って来るので、待っててください…!」
ステージを終えて、すぐに関係者席へと走り出す。
そんなわたしを見てハナオンニは驚いたように声をあげたが、それに対して言葉を返すだけで足を止めたりすることはしなかった。
早く行かなきゃいけないんだ、と思ったから。
だから急いで向かった。
息を荒げて関係者席へと辿り着く。
そこにはもちろんマスコミなどのメディアも居たけど、気にしているほど余裕は残されていなくて。
みんな驚いていたけど、わたしは周りを見渡してからある人と目が合って、再び走り出した。
ーーーレオくんは出たよ。
そう告げたのは、ウギョルの相手でもあるヒョンスンオッパ。
ヒョンスンオッパはビーストのみんなで見に来てくれていたみたいで、その中でも存在感が一際目立っていたからすぐに見付けられた。
「やっぱりレオくん、か…。」
ヒョンスンオッパの呟きは、わたしの耳に届くことは無かった。
ヒョンスンオッパからテグンは出たと訊いて、向かったのはわたしたちシークレットの控え室。
恥ずかしがり屋のテグンが来るわけない、とは思いながらも、そこなら不要なマスコミたちの目も避けられる。
だから可能性としては一番高かった。
バンッ!、と音を立てて控え室の扉を思い切り開く。
遅いわよ、とソナが言って奥の方を指差し、隅で壁にもたれて目を閉じているテグンを示した。
よくあの音で目を開けなかったよね、とは思いつつ、中に入って行く。
あたしたち飲み物買ってくるわ、と言ってみんなは控え室から出て行った。
今ここには、わたしとテグンだけ。
テグンは未だに気付いていないのか、目を閉じたまま。
意地っ張りで素直になれないテグン。
だけど、わたしにも非はかなりあったのにテグンから素直に謝ってくれた。
だからわたしも、素直にならなきゃ。
「っ!…なまえ…。」
「テグナ…。ごめん、ごめんね、テグナ…ッ。本当に…ごめんなさい…。」
「…俺も、ごめん。」
目を閉じたままのテグンに、バッと勢い良く抱き着く。
するとテグンは当たり前に驚いたらしく、ビクッと身体を震わせた。
目を開いたのか、わたしの名前を小さく呼ぶテグン。
それは喧嘩したときみたいに尖っていなくて、いつものような、優しくてふわりとした声だった。
ーーーごめんなさい。
テグンに必死に謝ると、テグンはわたしを強く抱き締め返して、また謝ってくれた。
ああ、わたしはやっぱり、テグンの温もりしか好きじゃないし、こんなにドキドキすることが出来ないみたい。
「ヒョンスニオッパに妬いてくれたんでしょう?珍しいこともあるのね。」
「…煩い。」
「ッ!」
しばらくして、テグンの顔を見上げながらヒョンスンオッパに妬いてくれたんでしょう?、と言う。
するとテグンは顔を真っ赤に染め上げて、それを誤魔化すかのようにキスをしてきた。
噛み付くようなキスだけど、どこか甘さと優しさが含まれていて。
なんだかすごく、心地良かった。
もう少ししたらメンバーはここに戻ってくるはず。
だからテグンも怪しまれないようにすぐ関係者席に戻らなくてはいけないのに、なかなか離れる勇気が出なくて。
久しぶりのテグンの温もり。
それは不安定だったわたしの心を、ひどく安心させてくれた。
(…オンニ、いつ入る?)
(今入ったらレオさんが面白そう。)
(ヒョソナ、それは絶対駄目。)
(でも、仲直り出来て良かったね。)
(…本当。安心したわ。)
(やっぱりなまえの隣には…。)
(うん。レオさんがよく似合う。)
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