キミが好きでした


リンは…、なまえは、良くも悪くも素直な子だと思う。
もともとリンとして活動しているなまえのファンだった僕。
だからファンとしてなまえとのウギョルは嬉しいものもあった。

だけど、同業としてのファンだからこそ、解ったものもある。

それはなまえに、同業の恋人が居る、ということ。
なまえの行動や些細な動きが、一時期のジュニョンに似ていたから解ったっていうのもあるんだけどね。

最初はそんなこと特に気にすることも無かったし、仕事として上手くやれたら、と思ってた。
けど、いろんななまえの顔を見ていたらもっと見たくなって。

気付いたら、好きになっていた。

だから本音を言うとビーストの宿舎にも連れて行きたく無かったし、近付くメンバーに牽制もしたんだ。
僕が本気なんだって、せめてメンバーにだけでも伝わったら良いのに、という一心だけで。
(見事伝わってたけどね。)

なまえに恋人が居るのは、あくまでも僕の予想に過ぎない。
だから確信めいたものが欲しかった。
それで、カマかけてみたんだ。



「今、本当はカメラは無い、僕が好きでこうやって抱き締めてるって言ったら…なまえは困る?」



カムバックした日、秘密のウギョル収録で来ていた僕。
カメラが無いのを確認してなまえを抱き締め、そんなことを言ってみた。

そしたらなまえの瞳には、戸惑いの表情が見えたんだ。
だからそこで確信した。
なまえには恋人が居るのだと。

ネットで調べてみたら、なまえの恋人の存在はファンでさえも疑っていた。
それは友だちであるソナちゃんとジウンちゃんだけでなく、同い年のレオくん、エンくん、ヒムチャンくん、ヨングクくんにとお揃いのアクセサリーをよく着けていたから。

みんなは同級生で腐れ縁でもあるエンくんや、仲良しのヨングクくんを予想していたらしい(ヒムチャンくんは性格的に黙っていられないから、みんな候補から除外していた)。
だけど僕は、みんながあまり親しくしているところを見たことが無い、なんとなくでお揃いをしているであろうレオくんが怪しいと思ったんだ。

その予想は、後日シークレットのステージで明らかになる。

ステージに出て来たなまえを見ると、なまえの胸元には見覚えのないネックレスが着けられていた。
此処にはあの噂されているビーエイピーもヴィクスも居る。
誰かからの贈り物かな、と思って周りを見てみると、そこにはみんなとは違う視線を送るレオくんとエンくんが居て、僕はふたりのどちらかなんだろうなと思った。

そして、終わった直後に席を立ったレオくん。
エンくんと何かを言っていたけど、それまでは聞こえなくて。
だけどそのあとすぐに此処に慌てて現れたなまえを見て、ああ…恋人はレオくんだったんだな、と悟った。

近頃のなまえには元気が無かったから恋人が居るとしたら、喧嘩したんだろうということはすぐに解っていて。
なまえと目が合った瞬間にレオくんのことを言うとなまえがまた走り去ったから、その場に居たメディアのことも考えて僕も立ち去る。
メディア潰しにはなるでしょ。



「やっぱりレオくん、か…。」



自分でもびっくりするくらい、悲しげに飛び出した言葉。
レオくんだと解った瞬間、ちょっと悲しかっただけだったからそんなにダメージは無いと思っていたんだけど…。
そんなことは無かったらしい。

次のウギョル収録日、なまえは僕を見て少し戸惑いを見せた。
どうしてレオくんのことを言ったのか聞きたいの?
それとも、僕が関係者席を立ったことを聞きたい?

解らないけど、多分前者が気になっているんだろう。
特別それには触れないように会話をしていると、収録が始まった。

そして収録が終わったあと、なまえから呼び出される。
内容は予想していた。
聞きたいことを訊くんだろうな、と。

すると予想通り、なまえはどうして僕がレオくんについて言ったのかを僕に訊いてきた。
しかも真っ直ぐ僕を見つめながら。
だから僕なりに、誤魔化しを交えつつ笑って言ってあげた。



「レオくん、隣のエンくんにちょっと出るって言ったんだ。たまたまそれが聞こえて、それでなまえが入って来たから他にあそこを出た人は居ないから予想で言ったんだよね。」



我ながら適当過ぎると思った。
だけど良い意味でも悪い意味でも素直ななまえは、それを信じ込む。

なまえと別れて残されたのは、胸に突き刺さる痛み。

多分、仲直りしたんだろう。
いつもみたいに何かを気にする素振りも無かったし、落ち込んでもいなかったから…多分だけど。

なまえがレオくんと上手くいっていることは、良いことだと思う。
だけど良いことだと思いつつ、あのまま別れてしまったら良かったのに、なんて最低なことを思ってしまう僕が居るのも否定出来なくて。



「…僕って最低なのかも。」



なまえの幸せを願いつつ不幸まで願ってしまう僕は、相当の最低な奴。
告白なんて出来るわけもなく、僕の失恋は確定してしまった。






(ヨソパ…。ジュニョア…。)

(…泣きたいなら泣きなよ。)

(俺たちは見てねぇから。)

(っ、う…ふっ、っ!)

(あーあ、目が腫れるな。)

(ドゥジュナに怒られるぞ。)

(うっ、せ…っ。)



僕は本当に、キミが好きでした。


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