俺のヌナ
今日はシークレット先輩たちとの仕事で、とあるテレビ局に来ている。
ヒムチャニヒョンたちはヒョソンヌナやハナヌナたちと話していて、なにやら楽しそう。
そんな中、ひとりポツンと孤立しているのは、俺のヌナ。
別に、ハブられてるとか、そんなことじゃない。
ただ単純に、ヌナは今ひとりで居たくて、それをヌナたちもヒョンたちも解っているから、無理にあの輪の中に入れようとはしないだけなんだ。
「なまえヌナ。」
「あ、デヒョニ。来てたの。」
「ん、みんな来てるけど。」
「あら、本当だ。」
ひとりポツンとソファーに座って読書をしていたなまえヌナに近付き、ポンポンと肩を叩く。
ひとつの物事に集中すると、周囲を気にしなくなっちゃうのは、なまえヌナの悪い悪い癖。
俺が肩を叩いたことで、本から集中が離れたらしく、周りをキョロキョロと見渡していた。
そっか今日はビーエイピーと一緒なんだった、と小さく呟いたあと、ヌナはソファーから立ち上がる。
きっと、お気に入りのもとに行ってしまうんだろう。
「ジョンオパ。」
「なまえヌナー。」
ほら、予想的中。
なまえヌナはお気に入りであるジョンオパの名前を呼び、近付く。
ジョンオパはジョンオパで、名前を呼ばれるなりへにゃっと笑って、なまえヌナに寄り添った。
はたから見れば、ジョンオパとなまえヌナは恋人のように見えるだろう。
でもそれは違って、ヌナとジョンオパには、なんとも言い表し難い、俺ともまた違う愛情があるんだ。
と、俺は思ってる。
普段はボーッとしてるけど、ヌナはステージに立つと、途端にカリスマオーラを放つ人になる。
カメラが苦手だからなのか、なんだかミステリアスな雰囲気をバンバン醸し出しているところも、ヌナのカリスマポイントのひとつ。
まあ、アイドルで考えたらカメラが苦手、だなんて、致命傷でしかないと思うんだけど。
「デヒョニ、そのお菓子頂戴?」
「え、ヌナが食べんの?」
「んーん、ジョンオパがお腹空いたみたいだから。あげる。」
「あっそ。」
ヌナを見ていると、なまえヌナは俺の手元にあったお菓子を見て、頂戴とおねだりして来た。
甘いものやスナック菓子という、菓子類全般を嫌うヌナから考えるとそのおねだりは珍しくて。
え、と驚いていると、なまえヌナはジョンオパが空腹を訴えかけるからなのだと言った。
そうだ、ヌナはジョンオパに対して、とことん甘いんだ。
あっそ、と素っ気なく返しながらも、ヌナに持っていたチョコレート菓子を手渡す。
ジョンオパ、デヒョニが食べて良いんだって、と言いながらジョンオパにお菓子を渡すなまえヌナ。
デヒョニヒョン、なまえヌナ、ありがとうございます、とふにゃふにゃの笑顔でジョンオパはお礼を言うものだから、なんだかんだで俺もジョンオパには甘いのかも、と思う。
ジョンオパのことが大好きなヌナ。
それが、俺の大切で大事な、肉親。
なまえヌナだ。
(デヒョニ。)
(なに、ヌナ。)
(んーん。)
(ヌナが甘えん坊モードだ。)
(なんだよそれ!デヒョニ変われ!)
(ヒムチャニヒョンは嫌だ。)
(ヒムチャニは嫌。)
(えぇっ!?)
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