拒まれる恐怖心
摂食障害かもしれない、と疑いを持ち始めて数日。
なるべく食べるようにはしているけれど、よく食べていたときの半分…それ以下しか食べることが出来なかった。
だけど食べないよりはマシ。
少しでも食べているから、なんとか体力はまだ限界になっていない。
身体の方は…駄目かもしれないけど。
「…なまえ、痩せた?」
「ひゃ!ちょ、テグナ…!急に身体を掴むの、やめてよ…!」
「顔真っ赤。」
「もう…!」
テグンとのダンス練習日。
なるべく身体のラインが目立たないレッスン服を選んでいたけど、テグンは目敏く見つけてしまったらしく突然ウエストを掴まれた。
素直にそれが恥ずかしくて、照れ隠しのようにテグンを軽く叩く。
するとテグンはからかうように、顔真っ赤、と指摘して来た。
彼とは恋人同士だし、もちろんすることは一通り済ませている。
だから恥ずかしさはあまりないつもりだけど、やっぱり…最近の病的な痩せ方は恥ずかしいとしか思えなかった。
テグンは気にしていないみたいだったけど、多分…劇的に痩せてしまったことには気付いていると思う。
それはSecretも。
なのに触れて来ないことは多分…優しさなんだろう。
「なまえ、何かあったら…。」
「解ってる。ちゃんと言うね。」
ああ、嘘を吐いてしまった。
テグンへの嘘は初めてだったから、胸がチクリと痛んだ。
言わなきゃいけないんだと思う。
テグンはいつも、わたしのことを心配してくれた。
だからその分、言わなきゃいけないって解っているのに…。
どうしても、言葉として出すことが出来なかった。
きっとないとは思っているのに、テグンから拒絶されるのが怖い。
「…ねぇなまえ。」
「なんですか?マネージャー。」
「最近、無理してない…?大丈夫?」
「大丈夫ですよ。」
練習を終えて、マネージャーの車で自分の事務所に戻っていた。
それはもちろん、まだ数回控えているBAPとのコラボの練習のため。
車で仮眠でも取ろうと思い、目を閉じたときだった。
マネージャーから不意に、無理していないと訊かれる。
やはりマネージャーも気付いていた。
わたしの身体の異変に。
今は誰にも心配されたくないし、ましてや仕事を中断されたくもない。
既にドラマは放送され、もう少しでテグンとテレビに出て一緒に歌を歌い、ダンスを踊ることが出来るんだから。
病院へはまだ行かなくて良い。
もう少し…。
あと一ヶ月程度頑張れば、ようやく仕事も落ち着くのだから。
芸能界に入ったからには、こんな忙しさでめげている場合じゃない。
もう少しだけ…。
あともう少しだけ、頑張って。
(おはようございます。)
(おはよ…え?)
(なまえヌナ…痩せた?)
(おいなまえ、お前…。)
(いくらなんでも痩せ過ぎだろ…。)
(大丈夫。ちょっと痩せただけよ。)
(………………。)
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