代償


今日はBAPとのコラボステージの練習のあと、そのまま本番。
だけど今日は朝から身体が気怠いし、なんとなく熱っぽい。

メンバーにバレないように、下地とファンデーションとコンシーラーで顔色の悪さを誤魔化す。
最近は汗もあまり出ないから…多分、化粧が落ちることはない。

こうなった原因は、なんとなくだけど解っている。
食べないことで、新陳代謝も悪くなっているんだろう。
どんなに激しいダンスを踊っても、わたしの汗の量は極端に少なかった。



「なまえ、はい、水。」

「ありがとう。」



メンバーはみんな、気付いている。
わたしの手に力が入らないことも、汗の量が極端に少なくなったことも。

だからメンバーは水を渡すとき、必ずキャップを外して渡してくれる。
そしてBAPのメンバーも気にはしてくれているみたいだけど、特に何かを言うような気配はなかった。

今は、それで居て欲しい。
騒ぎ立てられるのは、あまり好きじゃないから。
みんな、わたしのそれを解った上でのことだと思うけど。



「ソナ、そこのステップ、もう少し軽やかに合わせて。」

「ハナヌナ、ここはどうしたら…。」



休憩が終わり、再びコラボステージの練習が始まる。
angelは完璧だから、BAPが苦手だと言うI'm in loveとCRASHがメイン。

みんなが各自練習している中、わたしの視界はどうしてもクリアになってくれなくて。
歪んでいる視界に、嫌になる。

練習で交わされている言葉だって、何がなんだかひっちゃかめっちゃか。
視覚も、聴覚も、上手く機能してくれていないのはなんで…?



「った…、なんでこんなところに鉄の道具を置いてるのよ…。」

「ジウナ大丈夫?」

「うん、大丈…なまえ!?」

「危ないなまえ!!」



何がなんだか、解らなかった。
それは多分、栄養不足だったり疲労が溜まっていたりで、頭が上手く回らなかったことも原因なんだと思う。

最後に聞こえたのは、みんなが危ないと言ってわたしの名前を呼ぶ声。
ガッシャーンという音がわたしの側から聞こえて、足に激痛が走る。

わたしはそのあまりの痛さに、そのまま気を失ってしまっていた。






(誰か…っ!誰か救急車を呼んで!)

(なまえから血が…っ!)

(おいなまえ!なまえ!)

(なまえ!しっかりしろ!なまえ!)

(ヌナ…なまえヌナ…っ!!)

(こんなところにこんなもの!!)

(置いたのは誰!危ないじゃない!)


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