突然の来客


目を覚まして数週間。
あれ以来、Secretのメンバーはお見舞いに来ていない。

来ていない、と言うと語弊を生むかもしれないけど、彼女たちが来ないのにはちゃんとした理由がある。

わたしが、忙しい彼女たちが来るのを拒んだから。
わたしひとりが倒れたからと言っても仕事は消えないし、かと言って仕事が終わって疲れているのに来てもらうのも申し訳ない。
だからこそ、来ないで、と言った。
もちろんBAPにも。

次にみんなと会うときは、わたしが退院したあと。
それまで、わたしはゆっくりと治療に専念しようと思う。

事務所から渡してもらったわたしの携帯で、毎日連絡は取ってる。
だけど未だに…テグンからはなんの連絡も無かった。
ハギョンからも少ないから、きっと仕事が忙しくて、帰ったらすぐに寝ているんだと思う。



「なまえ。怪我の具合、どう?」

「ヒョンスニオッパ…?」



ひとりで外を眺めていると、病室の扉がノックされてヒョンスンお兄さんが入って来た。
ヒョンスンお兄さんはひとりで来たみたいで、他のメンバーさんは居ない。

怪我の具合どう?、と言いながらわたしに近付き持っていた袋を渡された。
中身は…たくさんのDVD。
しかもBEASTのライブDVDだ。



「病院って暇でしょ?これでも観て暇潰ししてね。」

「オッパ…。嬉しいけど、テレビもデッキもないから観れない、かな…。」

「あ、本当だ。」



綺麗な笑顔で暇潰し道具として持って来た、と言ってくれるのはすごく嬉しいし有り難いんだけど…。
その道具がないから、反応に困る。

そのことを素直に伝えると、ヒョンスンお兄さんは慌てることもなく、やっちゃったなー、と言った。
ヒョンスンお兄さんって、四次元と言うより天然さん、だよね。



「で、怪我の具合はどう?」

「うん。怪我は大丈夫。あとは療養するくらい…かな。」



久しぶりの来客に、わたしの心も思わず弾む。
医師や看護師さんと話すことはあっても、こういう普通の会話はほとんど無いから…嬉しい。

しばらく話したあと、ヒョンスンお兄さんは仕事の時間だと言って病室から去って行った。
少し寂しくなるな、と思ったのが顔に出たらしく、ヒョンスンお兄さんはわたしを見て何かを考えてから、さっきまで座っていた簡易イスに再び腰を降ろした。

不思議に思ってみていると、ヒョンスンお兄さんに頭を撫でられる。



「なまえが寂しいなら、僕は居る。マネージャーに頼んで此処まで来てもらうから、もう少し一緒に話そっか。」

「…ありがとう。」



自分からみんなを突っぱねておいて、いざ誰かが来たら甘える…なんて。
すごく、ワガママだと思う。

だけど嫌な顔ひとつ見せないで一緒に居てくれるヒョンスンお兄さんの優しさが、今はとても有り難かった。

結局ヒョンスンお兄さんはマネージャーさんに連絡し、ここで車が来るのを待つことに。
マネージャーさんが来たついでに他のメンバーさんも来たことは…言わなくても、解るかな。

久しぶりの大人数に、心が軽くなったような気がした。






(なまえちゃん!大丈夫!?)

(怪我って訊いて驚きました!)

(お前ら落ち着けって。)

(ちょっと、なまえに寄らないで!)

(まあまあ、ヒョンスナ…。)

(はぁ…。騒がしくしてごめんな。)

(ふふ。楽しいので大丈夫ですよ。)


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