弱い心


なまえに、距離を置こうと言った。
それは俺自身を落ち着かせるため。

なまえと、ヒョンスンさんの熱愛説が浮上して心が痛んだ。
別に浮気を疑っていたわけではなく、俺以外の誰かとそういう記事を作られることが嫌だった。

ドラマで一緒だったんだから、俺との熱愛が出たっておかしくはない。
なのに俺との熱愛説は、一切浮上して来なかった。

それは多分、事務所が守ってくれているから…なんだろう。
確かに俺たちはデビューしてから2年しか経っていないし、そんな話しが出て来たら影響もあるんだと解ってる。
だけど…なんとなく悔しかったんだ。

最初は、ハギョンに病院を訊いてもらって、少しだけ会いに行って帰るつもりだった。
具合いや怪我の状態を知るだけのつもりだったのに、なまえの顔を見たら変に言葉が止まらなくなって。

正直、本音ではあったけど、言い過ぎたと思う。

あの病的な痩せ方は精神から来るものということも、知らされていたのに。
どんどん追い込んでしまっているような…なまえを傷付けているような気がしたから、言ったんだ。
距離を置こう、と…。

あのままだったら確実に、変にギスギスしてしまう。
それに…会っても傷付けてしまうのだけは、嫌だったから。
だから、距離を置くことを提案した。



「…テグナ、ちょっとだけだったら、許してもらえるかもよ…?」

「……………。」

「病院、行く…?僕が一緒だったら危ないけど、テグナだけが一回くらいなら誤魔化せるかも、しれないし…。」



だけど、距離を置いてから…仕事に集中出来なくなっていた。
そんな俺のことを誰も怒ることはせずに、ただ、心配してくるだけ。

今もハギョンは、俺のことを思ってなのか病院に行くことを提案してくる。
俺はそれに首を振ることだけで、拒否を示した。



「テグナ…心配だったら、スッキリするなら、会うのも手段なんだよ…?」

「………もう、会った。」

「……………………………んぇ!?」



ハギョンが何度も何度も会うことを提案してくるから、言わないつもりだったが会ったと告白する。
それを訊いたハギョンは、驚きのあまりに目をかっぴらいていた。

ハギョンは俺がなまえに連絡していないことを知っている。
なまえから連絡が来るまで待つ、と言っておいたから意地を張るな、という意味で言ってきたんだろう。



「いつの間に会ってきたの?」

「……………。」

「ねぇテグナ、テグナ。」

「………煩い。」



いつの間に会ってきたの、と訊いてくるハギョンに嫌気がさして、自分の部屋へと引き篭もる。
まあ、ここはハギョンの部屋でもあるから…あまり意味はないが。

ベッドの上に寝転び、目を閉じる。
だけど目を閉じると必ず、あのときの傷付いたなまえの表情が思い浮かぶ。

なまえにあんな表情をさせたくなかったのに、と後悔の文字が出て来た。
離れたくないのに距離を置くことでしかなまえを守れないなんて、俺は誰よりも弱虫だと思う。






(ハギョニヒョン…。)

(テグニヒョンは、どうでした…?)

(病院、行ったらしい…。)

(え、行ったんですか?)

(うん。だから…何かあったんだ。)

(元気出してほしいですね…。)

(……そうだね。)


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