見守り方
「本当、お人好しだよね。」
怒ってるような、苦笑いのような。
そんな表情を浮かべたヨソプに、そう言われた。
お人好しだよね、という言葉の意味なんて、僕が一番解ってる。
練習の休憩時間に、そんなことを言われても上手く頭は働かないよ。
確かに僕は、お人好しかもしれない。
今でもなまえが好きなのに、なまえの前ではそんな素振りを見せず、いいお兄さんを演じている。
そしてレオくんには…僕が出来る限りの言葉で、背中を押してあげた。
「今でも好きなくせに…。」
「おいヨソパ、あんまり言うなよ。」
「解ってるけどさー。本当、ヒョンスナって変なところでお人好しだね。」
今でも好きなくせに。
ヨソプのその言葉が、頭の中をぐるぐると回っている。
周りの人からも解るくらい、僕はまだなまえのことが好きらしい。
隠せてると思ったんだけど…多分、なまえにはバレていないから良いか。
僕は別に、良いんだ。
なまえとレオくんの変な絆みたいなものは、もう目の前で見ているし。
付き合いが長いらしいふたりの間に割って入ろうなんて馬鹿な真似、僕には出来そうにもないから。
「俺はお前がすごいと思うけどな。」
「ん?」
「普通なら、これみよがしに奪うもんだろ。…まあ、お前は普通じゃないから仕方ないのかもしれないけどな。」
今までヨソプを宥めていたはずのドゥジュンが、急に言ってきた。
僕が、すごいのだと…。
ドゥジュン曰く、普通ならこれみよがしに奪うもの、らしい。
だけどそれは普通の恋愛ならでしょ?
いつもの僕なら、ドゥジュンの言うように奪ってたかもね。
でも、ふたりには出来ない。
きっとなまえはレオくんに冷たくされても、好きなままだろう。
現に今はもう、レオくんに会うことを目標だけにリハビリと治療にあたっているようにしか見えないから。
「今はこれで良いんだよ。いつか本当に別れちゃったら、僕が奪うから。」
「ヒョンスナらしいな。」
「そのときは応援しますよ!」
そう、今はこれで良い。
いつかもし万が一ふたりが別れたら、僕は全力でアピールする。
それまでは、見守るから。
(じゃ、練習再開するぞー。)
(えー、もうちょっと休もうよー。)
(お前のこと見直した俺の心返せ。)
(どうやって返せば良いの?)
(冗談だから本気で返すなって。)
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