お揃いの指輪


「ソナ、ジウン。これ、貰って?」

「え、なにこれ。」

「わ!可愛いー!ピンキーリング!」



ある日のこと。
宿舎に帰ってお風呂に入り、さあ寝ましょう、と言うときになまえから渡された、小さな小包み。

貰うなりジウンは袋を開けて、中に入っているものを取り出した。
出て来たものは、可愛らしいデザインの、決して安そうではない、ゴールドのピンキーリング。

なまえからのプレゼントはなんでも嬉しいけど、誕生日でもなんでもないのに、どうしてまた…。
それに、ハナオンニとヒョソンオンニには無いだなんて。
なんでだろう、とは思ったけど、なまえの小指に光るピンキーリングと、ちょっと嬉しそうなその表情で、ピンと来てしまった。

きっと、彼にもあげたんだろう。
このリングを。
そして、あたしたちと同じで、親友でもあるあの彼にも。
カモフラージュとして。



「なまえ、これ、彼にもあげたんでしょ?ピンキーリング。」



喜ぶジウンを余所に、コソッと耳打ちしたらなまえは照れくさそうに小さく笑って、コクリと頷いた。
ソナにだけ見せてあげる、と言われて見せられたのは、ピンキーリングの内側に書かれていた、レオさんの本名となまえのイニシャル。
もちろん、あたしたちの指輪には、そんなものは無い。

悪いとは思ったけどカモフラージュにチャナとヨングガにもあげたんだ、と微笑んだなまえ。
あたしたち芸能人は、お揃いのモノを持っているだけで熱愛だのなんだのと騒がれてしまう。
公表出来ない、つまりは秘密恋愛をしているなまえたちは、こうしてお揃いのモノを少しずつ増やしていった。



「こうしてたら、わたしたち同い年組は仲良しなんだってだけで、終わるでしょう?」

「そうね。」



なまえと仲良しな同い年組は、あたしたちとヒムチャナとヨングガ、それから親友のエンさんと恋人のレオさんと知られている。
まあ、レオさんはそこまで仲良しには思われていないみたいだけど。

周知の事実を使ったこのカモフラージュは頭がいいとしか言いようが無い。
へへ、と笑うなまえは本当に女の子の顔をしていて、こんな顔を簡単にさせてしまうレオさんが、ちょっとだけ憎かったりするけど。

でもまあ。
なまえが幸せなら良いか、なんて。






(あ!ソナとジウンだけズルいー!)

(すみません、オンニ。)

(オンニたちは同い年じゃないし。)

(そうそう。しょうがないわ。)

(なまえ〜!)

(ふたりも、オンニを虐めないで。)


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