誇らしい彼女


僕らのグループに存在する紅一点のお姫様は、男顔負けなほどのイケメン。お兄さんである赤西くん譲りな顔は本当に綺麗で、このグループの誰よりも整ってると思う。

そんな彼女は、この事務所異例となる、ふたり目の芸名の持ち主。芸名はミンスと言う。どうして芸名なのか、と言うと、それは彼女のワガママと社長の利害が一致したからだ。

彼女は赤西くんの妹と言われることを嫌い、あまり広めたくないようだった(今じゃもう世間中に知れ渡ってるんだけどね)。そこで社長に直談判をしたところ、社長も近年人気が高まっている隣国、韓国の知名度…それから彼女の語学力を考えて彼女をミンスと名付けたらしい。

話によると、赤西くんの妹と言われることを嫌う彼女は当たり前にこの事務所に所属する気はサラサラなく、渡韓して芸能人になり身を固めようとしていたようで。だからこそ、彼女は誰よりも悠長な韓国語を話せる。

Jr.の頃から名をミンスとしていた彼女は、別段自分の国籍を口にはしなかった。それはもちろん、事務所も然り。それは後々デビューしたときに周りから「嘘つき」と言われないようにと言うことなんだろう。事務所と彼女の入念な手回しに、こちらが驚きを隠せない。



「ゆうと、そこの振り、遅いよ。」

「え、本当?」

「うん。でも少し遅いくらいだし、あそこのポンコツBESTと比べたら全然良いよ。」

「おい!聞こえてんぞ!」

「おまえもそのポンコツBESTの一員なんだって忘れんなよ!」

「僕はキミたちとは違うから。」



まあ、彼女の芸名云々は置いといて。今日は事務所で新曲のダンス練習。彼女は事務所が誇るダンスマシーンで、恐らく事務所1のダンス実力者だと思う。きっと大野くんよりも。

だから僕たちのグループのダンス練習はトレーナーはもちろん、彼女が率先して指揮を執っていた。それに関して文句を言う人は居ない。性格を除いたら、にはなるんだけどね。



「なまえちゃんは本当に、なんでも出来るんだね。羨ましい。」

「歌以外はね。」

「歌以外は認めるんだ。」

「まあね。」



それと、僕個人で良いなって思うのは、彼女のこの、堂々とした性格。人によっては嫌がるんだろうけど、褒めたままを素直に受け止め、驕るどころかただ誇らしげにするだけ。そんなところも、良いと思う。

きっと、そう思っているのは僕だけじゃないはずだ。そうじゃないと、彼女と楽しそうに笑う年上組に説明がつかない。微笑ましいな。



「なまえ〜、今日一緒に帰ろ!」

「むり。今日はアントと帰る。」

「おい有岡!!」

「おまえら俺を巻き込むなって!!」



うんうん。光くんとなまえちゃんのやり取りもいつものことで、微笑ましいな。僕が話してたのに割り込んできたことは、正直なところすこしムカついたけどね。秘密だよ。

赤西くんに似てイケメンで、雄也よりもクールで努力家で多彩な彼女は、僕らジャンプのメンバー。それがとっても誇らしい。

彼女はきっと…ううん、絶対に望んでこの事務所に入ったわけじゃないし、ジャンプメンバーになったわけでもないと思うけど。それでも嫌だなんてことは言わずに、ずっとこの場所で努力してくれている彼女が幸せになってくれたら良いなって思う。幸せになってほしい。

なまえちゃんを幸せにしてくれる人は、いったいどんな人なんだろう。大ちゃんみたいな、分け隔てなく心優しい人なのかな?それとも、なまえちゃんにまっすぐな愛情を向ける光くんみたいな人なのかな。



「ひかるくん、じゃま。」

「ちょっと片言な日本語もかわいいなあ。」

「話し聞いてる?」



ああ、うん。光くんはないかな。


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