子供部屋


押し倒されたベッドの枕元には、可愛いぬいぐるみが並べられていて。
私が喘ぎ、身体をしならせてシーツをひきつらせる度、そのぬいぐるみたちは間抜けな姿を嘲笑うかのように小さく揺れて、くまさんが隣に転がってきたりもした。
ピンクのレースカーテンが穏やかな風と温かい陽射しを招き入れている。窓を開けっ放しにしていることに今更気付いて、はっと口を抑えた。
それを目敏く察知した美奈さんは、今更?とでも言いたげに上目で窺ってくる。
ああ、もう、恥ずかしい。
脚を閉ざそうとしたら、太股に腕が掛かって遮られる。

「ナニ弱いところ、隠してるの」

堪らず声に出たのは我ながら今にも泣きそうなくらい情けないものだった。

「も、やっぱり他の部屋がいい、やめてよぉ」

ここは美奈さんがお腹を痛めて産んだ子供の部屋だ。可愛い可愛い女の子だった。確か、いまは六歳くらいだったと思う。きっと、眠る前には絵本を読んでもらって、ぬいぐるみと一緒に、この布団にもぐり込む。
そんな神聖な場所で、どうしてこんなことをさせるんだろう。私はカタチだけの旦那さんの部屋だって抵抗はない。それこそダブルベットなのだから、勝手は良いのに。

「だめ」
「なんで、」
「貴女の嫌そうな顔が、可愛いんだもの。それに」

ぴくんと揺れる腰を抱え込まれて、意地悪な舌が割れ目を緩やかに這いずった。

「興奮してるのはどっち?」

いくら嫌々鳴いたとしても、
私はまた懲りもせずに、子供も旦那さんもいない隙を狙って逢いにくるんだろう。

幸せそうな部屋を汚しに。


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