熱帯夜注意報
※匂わせ程度の夜表現有り
暗闇が広がる部屋の中、隣で横になる小さな身体を引き寄せ額を合わせると形の整った眉が不機嫌そうに歪み閉じられていた目が開いた。
「……暑いんですけど」
「あぁ、クソあちぃな。今日の暑さやべー」
「じゃあ離れてよ」
「無理」
ぐいぐいと肩を押し返す細い手首を掴んで動けないように抱きしめる。不服だと言わんばかりに尖る唇に軽くキスすると諦めたのか1つため息を吐き出す。
「明日夜蛾センにエアコン壊れたって言わねーとな」
「真夏に壊れるなんて災難だね」
「な。扇風機だけじゃ流石にきつい」
2人して部屋の上部に位置する白物家電を見上げる。
部屋に設置されていたエアコンが壊れたのはつい数時間前の事。泊まりにきていた名前とそういう雰囲気になり夢中になって揺さぶっていた最中、エアコンからガガガっと異音が鳴ったと思ったらそれ以降パタリと動かなくなってしまった。
冷気で冷やされていたとは言え、身体を重ねていれば嫌でも辺りに熱が籠りそれに伴い室内の気温も上がっていく。だからと言って途中でやめるかと聞かれればそんなつもりは微塵もなく、欲に溺れたまま一糸まとわぬ肢体を揺さぶり続けた。
汗だくになった身体をシャワーで流した後、部屋の置物と化していた扇風機を引っ張り出す。電源を入れ風量を強に設定すると半円状の軌道を描いて気流が部屋を巡り始める。けどそれだけじゃ部屋の熱気を吹き飛ばす程の威力は無く窓を全開にしてみたが、入ってくる風は生温い。風呂上がりにも関わらずじっとしてるだけでも全身が汗ばんでくる。
――今夜は熱帯夜となり寝苦しい夜になるでしょう。
天気予報のおねーさんが言った通り深夜の3時を回っても俺らは眠りにつけずにいた。
「はぁ……ほんと暑い。ね、やっぱもうちょっと離れて寝ない?」
「お前さっきからそれしか言わねーな。無理だって言っただろ」
「せっかくシャワー浴びたのにこんなにくっついてたらまた汗かくじゃん」
「もう1回浴びればいいだろ?後で一緒に入ろーぜ。隅から隅まで洗ってやるから」
「やだ。絶対変なことしてくるでしょ」
「むしろそれ以外一緒に入る理由なくね?」
あー言えばこー言う。それはこっちのセリフだっての。そんな小言を言い合いながらも本気で離れようとしない辺りコイツもまんざらではないんだろうと思った。
「つかそんなに暑いなら脱げば?」
「嫌よ、なんでそうなるの?」
「さっきから脚モゾモゾさせてるし脱げば多少は涼しくなるだろ」
「冷たいところ探してるだけ……って、どこ触ってるの!」
寝巻き代わりに着せていたTシャツから伸びる脚に自分の脚を絡め太ももを撫でる。しっとり汗ばんだ肌が手のひらに吸い付き、質感を堪能しているとぺちっと手の甲を叩かれた。
痛てぇな、と言いつつ太ももから手を上に移動させショーツの上から柔らかい尻臀を両手で包み込む。指先に力を入れグニグニと強めに揉みしだくと甘い声が漏れ出し自然と口角があがった。
「なに、コレだけで感じんの?えっろ」
「ちょ、やめ……ッ!」
小ぶりでプリっとした膨らみを揉むとビクッと震え、逃げようと身体を捩っているが腕の中に抱えてる以上それは無駄な抵抗にしかなってない。
汗ばんで額に張り付いた前髪に小さく漏れる声。襟ぐりの広いTシャツからは付けて間もない赤い痕が覗き、さっきまでの情事が思い出され腹の奥に再び熱が帯び始める。あー、そうだ。
「なぁ、俺いい事思いついたんだけど」
「な、に?って、か手離して……ッ」
「暑くて寝れねーならそれすら忘れるくらい疲れたら嫌でも寝れんじゃね?」
「へっ?」
パチパチと瞬きをする名前の頭上にはハテナマークがいくつも浮かび上がっている。どういう意味?と困惑しているのをよそ目に名前の上に跨り両手をベッドに縫い付ける。
そこまでしてやっと俺の意図に気付いたのか焦った表情で何かを言おうとした口を塞いだ。
「ん、ぐっ……ちょっと……!」
「窓開いてるから声抑えろよ?隣に傑いるし。オマエのエロい声とか聞かせたくねーから」
「じゃあ、シなきゃいいじゃん!」
「もう勃ったから無理。挿れさせて」
「無理って、もぉ……!……勝手にして」
既に反応を見せてる下半身をぐりぐりっと押し付けると名前の目は欲を含んだ色に変わる。口では嫌がる癖に身体は正直で時々そのチョロさに大丈夫かよと心配になるが、今はその素直さにめいいっぱい漬け込んでやろうとレースを纏った水色のショーツに手を掛けた。
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