03










 後処理を済ませすっかり力が抜けてしまった彼女を胸に抱いていると、ダッシュボードに放置していたスマホが光った。ロック画面の時計は22時を示している。そろそろ家に帰す時間だが、膝の上の温もりが離れると思うと妙に心惜しい。また"らしくない"事を考えていると「あの……」っと彼女が口を開いた。

 「スグルさんって、明日お休みって言ってましたよね……?」
 「そうだけど、それがどうしたんだい?」
 「私も明日はお昼からなんです、よ……」
 「うん?」
 「だから、」

 視線を動かしながら「あの、その……」と言い淀む彼女の顔を覗き込む。

 「ナマエちゃん?」
 「あの、今日……もう少しだけ一緒にいたい、んですけど……」

 薄暗い中でもはっきりと分かるほど顔を赤らめ「だめ、ですか?」と控えめに私のシャツ引っ張る姿が可愛くて思わず頬が緩む。

 「もう少しって、どれくらい?」
 「スグルさんがもういいってなる……まで?」
 「そうなると明日の朝までになるけど、いいのかい?」
 「あした!?」

 驚いたように目を見開き少し考え込むナマエちゃんにまた笑いが込み上げる。本当、一緒に居て飽きない子だ。

「どうする?正直言って私はまだ全然満足してないけど」

 柔らかな太腿を撫でながら耳朶を甘噛みすると小さく身動ぎ、潤んだ瞳の奥にじわりと熱が灯る。

 「一緒に、いたいです……朝まで」
 「うん、じゃあ……一緒にいようか、朝まで」

 そう言うと嬉しそうに顔を綻ばせ肩に顔を埋めてくる彼女の髪の毛を撫でる。さっきまで名残惜しさすら感じていたのにそれを簡単に埋めらている自分にやはり最近の私はらしくないな、と小さく笑った。







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