柔い肉の味




 
 1日の疲れと汗をシャワーで洗い流し、ぽたぽたと雫が垂れてくる髪の毛を適当に拭きながらキッチンへ向かう。両開きの冷蔵庫を開け最上段に並ぶミネラルウォーターを1つ取りだし蓋を開けて口をつける。グビっと煽ると冷えた水が喉元を通り火照った身体の隅々へ染みわたっていくようだ。
 もう一口飲みペットボトル片手にリビングへ行くと先に上がっていたナマエがせっせとボディケアに勤しんでいる最中だった。
 
 「女の子は偉いねえ。毎日色んなところのお手入れ頑張ってて」
 「そうかな?」
 「そうでしょ」
 「まあ、確かにちょっとめんどくさいなーって思う日もあるけどルーティーン化しちゃえばやらないと逆に気になっちゃうからね」
 
 夏用に買った、と言ってた薄い青色のボトルから乳白色のクリームを手に取り足に伸ばしていくナマエを眺める。光沢感のあるネイビーのパジャマから伸びる脚はすらりとしているのに程よく筋肉があり、でも柔らかいところはちゃんと柔らかくて僕好みだ。
 本人は昔より少し太くなったと気にしているが太ももなんだから太くて当たり前じゃない?と思っている。

 ソファーに腰かけ小さく揺れる背中を眺めていると「あれ?」と疑問の声が聞こえてきた。
 
 「どーしたの?」
 「いや、こんな所にホクロあったっけって思って。ほらここ」
 
 そう言って指さした先は脹ら脛の裏側だった。確かにそこには白い肌に小さな黒い丸が浮かび指先で触れても消えないところを見るにホクロで間違いないだろう。
 
 「前までなかった気がするけど……増えちゃったのかなぁ」
 
 嫌だなぁ……と呟くナマエ。
 確かに言われてみれば前は無かったような……あれ、あったか?ベッドの中で身体を重ねる事はあってもそこまで気にした事は無かった。
 あぁ、でも前に傑がある事を言ってたな、と思い出し徐にソファーから降りナマエの背後に近づく。
 
 「悟?……って、何してんの!?」
 「うん?いや〜ちょっと確認をね」
 
 華奢な背中に覆い被さり後ろから抱きしめると明るいライトに照らされた脚へ手を伸ばす。クリームが塗りたてな肌はもちもちでしっとりしてるのに変なベタつきは無く、手のひらに吸い付く感触が気持ちいい。
 
 肌を撫であげる僕の手を抑えようとする手首を逆に掴み、耳元で「暴れないで、イイ子にしてて」と囁く。そのまま甘噛みすると肩が跳ね抵抗の力が弱まった。その隙をついて身体を抱き上げソファーに寝かせ両膝に手を添え開く。
 ずり上がったショートパンツの裾を捲ると脚の根元辺りに並ぶ2つの小さな黒い丸が白い肌に映えていた。
 
 「お、ほんとに増えてる」
 「増えてる?ってなにが?」
 「ほらココ。かわい〜ほくろちゃんが2つも♡」
 
 キョトンとするナマエの太ももを指先でつつきそのまま根元に向かって滑らすとピクっと脚が震え「んっ、」と声が漏れ聞こえる。
 元々あったほくろの隣に現れたそれは普段他の人に晒される事はない。限られた――もっといえば僕と傑しか見ることのできない秘密の場所だという優越感から欲が掻き立てられる。2つなら倍以上か。
 
 「ね、ここ噛んでいい?美味しそうだから食べたい」
 「何言って……って、脱がさないの!」
 
 ショートパンツのウエスト部分に手をかけるとペチンっと手を叩かれたが、お構い無しに膝のあたりまで引き下ろし両太ももを抱え内側に唇を落とす。
 焦った声色で「ちょっと!」と叫ぶナマエを余所目にじょじょに核心へ近付くと吐息に色っぽさが混じり始める。
 
 目の前に迫った2つの黒。ナマエの顔を見あげると恥ずかしそうに真っ赤になった顔を背けている。その反応を肯定と捕らえ伸ばした舌でペロリと舐め柔い肌に歯を立てた。
 甘噛みするたび小さく跳ねる腰を抑え、甘美な果実を貪るように唇を落としていく。
 
 「っん……っふ、」
 
 ずり上がって逃げようとする腰を引き寄せる。
 チラリと見上げると潤んだ瞳には欲情が浮かび、こちらを誘うかのように揺らめいている。こうなれば主導権はこちら側にあるも同然だ。
 
 夏の夜は短いが時刻はまだ9時を過ぎたあたり。まだまだこれからだ。せっかくだから今夜は彼女の身体に浮かぶ黒を1つ1つ数えてみようかと考えながらパジャマのボタンに手をかけた。


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