宇宙冒険記

ヤバイ。俺の目の前に宇宙人がいる。


2年に上がり氷帝学園で過ごす2度目の春がやってきた。新しいクラスになり、恒例となった自己紹介の時間。出席番号順に黒板の前に立ち、一人一人名前と所属部やら趣味などを言っていく。そして俺の前の席であった女子生徒の番となった。

「趣味は宇宙人と交信することと非科学的生命体の探索。どうぞよろしく。」

無表情にそして淡々と話す彼女に生徒はドン引きし、担任までもが口を開けて固まる。俺も皆と同じように硬直したが、それは驚きと喜びによるものだった。

オカルト話、未確認生命体、UFO etc…俺はこの手の話が大好きだ。特に最近では全世界で宇宙人の目撃情報もあり、俺の中で注目度No.1の話題。
小学生の頃は友達とよく学園七不思議などを探したりUFOを呼び寄せる儀式をやったりしていた。しかし中学に上がってからは周りが急に大人びたようになり、このような話は馬鹿にされたり冷やかされたりすることが多くなった。それからは専らひとりで本を読んだり、ネットで動画をみたりしていた。

今すぐにでも彼女に話しかけたがったが、まだクラス全員の自己紹介は終わっていない。しかもこの冷め切った空気の中、次は自分の番である。彼女は何事もなかったかのように自分の席に戻る。俺は彼女と入れ替わるように席を立ち、前へと進み出た。

重苦しくなった空気も後半には何とか盛り返し、無事にクラス全員分の自己紹介が終了した。今日は新学期初の登校日ということもあって午前で授業は終了。鐘が鳴り、帰宅する者や部活にいく者など、各々が自分の席から立ちあがる。
俺は自分の荷物をまとめながら前の席の女子生徒を見る。さっきの趣味について詳しく話を聞きたい。だが、いざその状況になってしまうと尻込みをしてしまい、なかなか彼女に話しかけることができなかった。
声を掛けようかどうか迷っていたそのとき、突然彼女はこちらを振り返った。

「なにか?」

いや、それはこっちのセリフだ。真後ろの席から見ていただけで視線に気づくものか?
突然の問いかけに心臓がトクトクと速くなる。
いや、待てよ。こいつ、もしかして宇宙人と交信して俺の考えていることが分かったとか?それともこいつ自身が宇宙人という説は……

「私は人間ですよ。」
「えっ!?」

自分の考えていたことを見事に当てられ、変な声が出た。彼女は一切表情を変えることなく、淡々とした声色で話しを続けた。

「あなた面白い人ですね。」
「はぁ!?っていうかなんで俺の考えていること分かったんだよ!」
「今日はもう帰ります。さようなら、日吉若。」
「お、おい!」

しかし彼女は俺の質問など全く無視して、自分の鞄を持ちクラスから出て行ってしまった。質問に答えなかった苛つきはあったが、それよりも彼女への好奇心が強く俺の心に残った。


部活中も彼女のことが頭をよぎる。大概のことはテニスをしているときはそれに集中して他のことを考える余裕などなくなるのだが、今日ばかりはそうはいかなかった。何せ俺が今まで追いかけてきた話題を共感できるような人物が現れたのだ。しかも、もはや彼女自身が宇宙人ではないかという仮説まで自分の中では立てられている。

「おい日吉。お前集中しきれてねぇんじゃねーのか?あーん」

練習試合中、普段なら取れるボールを取り逃してしまったところを跡部さんに見られてしまった。そのままの事を言い当てられ、恥ずかしくも情けなくもなる。こんなことで集中力が切れるとあっては、跡部さんを下克上するなど夢のまた夢だ。

「すみません」
「何か悩みでもあるのか?」

怒るよりも先に俺のことを一番に気にかけてくれる。さすがは部員200名を超えるテニス部をまとめるキングだ。この人を超える男になりたいという気持ちと共に、まだまだ自分を鍛錬せねばいけないことに気付かされる。

「いや…。ご心配をおかけしてすみません。外周行ってきます」

しかし気持ちばかりが焦ってもいい結果を出すことはできない。まずは頭を冷やさなければとグラウンドに駆け出す。跡部さんは何か言いかけたが、ため息交じりに「行って来い」と俺の背中を押してくれた。
俺が走り出した方向の空にはうっすらと黒い雲が覆っていた。





朝練を終え、昨日のモヤモヤを抱えたままクラスの扉を開ける。自分の席を見ればその前の席に静かに本を読む彼女の姿があった。クラス内では昨日のテレビの話題や、春休みは何をして過ごしたかとか、様々な会話が飛び交っているにもかかわらず、そんなことはお構いなしにと彼女は自分だけの空間をそこに創っていた。

「おはよう」
「おはよう。日吉若。」

まずは交友への第一歩と思い、朝の挨拶から初めてみる。すると以外にも彼女は今まで読んでいた本から顔を上げてしっかりと俺の目を見て挨拶をした。すぐに本に視線を戻したものの、彼女の意外な反応にわずかな希望が生まれる。もしかしたら今が昨日の事を聞くチャンスではないのか?

「おい……」
「日吉!ちょっといいか?」

話の続きようとした瞬間、ガシッと後ろから肩を掴まれ陽気な声と共にそれを遮られた。顔をゆがめ振り返れば、同じクラスの男子生徒だった。

「なんだよ」
「悪いんだけどさ、春休みの数学の課題、少しだけ写させてくんない?春休みは忙しくてさ」

へらへら笑いながら話しかけてきたこいつとは一年の時も同じクラスだったが、まともに宿題をやってきた試しがない。だが要領だけはいいのか今まで先生にはバレず”いい“学園生活を送っている。部活にも入っていないくせに、毎日何をしているのやら。当然こちらには春休み中も部活があったわけで、その部活の合間を縫って苦労してやった宿題を見せるのはあまり気のいいものではない。

しかしここで断ったとしてもこいつはしつこくお願いしてくるのは過去の経験上わかる。まぁ見せたところでこちらに損害が出るわけでもないし、将来的に困るのはこいつだと言い聞かせ、怒りを抑え、おれは鞄の中からテキストを取り出した。

「おっ!さすが日吉だぜ」
「一生懸命やれば知恵が出る。中途半端にやれば愚痴が出る。いい加減にやれば言い訳ばかり。」

それまで黙って本を読んでいた彼女が突然そんなことを言い出した。歴史好きの自分にはすぐにピンときた。この名言は武田信玄のものだ。
おれもそいつも、急に割り込んできた彼女の発言に驚いてしまい声がでなかった。そして、俺達からの返答がない事を不思議に思ったのか、本から顔を上げ今度は男子生徒としっかり目線を合わして口を開く。

「あなたに言っているのですが。一年最後の期末テスト、下から5番目だったでしょう?」
「うっ…」
「今日には間に合わなくとも、丸一日使えば明日には提出可能です。自分でやられたほうがいいのでは?」
「わかったよ」

きっとあいつは自分で課題をやろうとはしないだろう。でもさすがにこの空気に耐えられなくなったのかテキストを借りることなく自分の席へと戻っていった。彼女なりに俺を助けてくれたのだろうか。それとも本を読むには煩かったあいつを黙らせたかったのかその真意はわからない。
予鈴が鳴り、クラスの奴らもバタバタと自分の席へと戻っていく。一応お礼くらいは言っておいた方がいいだろうと思った時には、すでにまた本へと視線を戻していた。


朝の事を口に出そうにも、午前は移動教室や体育があり、気が付けばお昼休みになってしまった。
昼休み早々に声を掛けようにもクラスの男子に絡まれなかなか上手くいかない。というのもこのクラスになってまだ二日目。初めの一週間が友達を作るチャンスなのだからみんな探り探り必死なのは分かる。俺も少なからずその一人なわけだが、彼女は友人などいらないのか気付けば教室から姿を消していた。

今日は弁当を持ってきておらず、購買に買いに行かなければいけない、それを言い訳に俺は教室を後にする。とりあえず昼飯を確保してから彼女を探そうと思い、購買部へ入った際、同じ部活の鳳長太郎に会った。鳳も昼飯を買いに来たのかそのまま一緒に列に並ぶことにした。

「日吉、クラスには慣れたか?」
「まだ二日目だが、まぁまぁだな」
「そういえば、日吉のクラスに“不思議ちゃん”いない?」

鳳の口から出た“不思議ちゃん”というオカルトワード。この人物が誰なのかすぐに分かった。なぜ鳳がそんなことを卒然言い出したのだろうか。
俺の表情を見て察したのか、鳳は笑いながら話の続きをする

「俺らの学年で入試成績トップ、且つ、宇宙大好き“不思議ちゃん”。有名だよ?」

氷帝に入学してからはテニスに夢中で俺はそのような噂には全く疎かった。
自己紹介の時点で目立っているとは思っていたが、まさか成績までよかったことには驚いた。だから俺に課題を見せろと言ってきた男の成績も覚えていたのだろうか。

「一年の時同じクラスで話したことあるけど面白い子だよ。日吉と趣味が合うんじゃないかな?」

確かに鳳の言うとおりだ。ますます彼女への関心が深まる。昼休み中になんとか見つけ出し、朝の礼と宇宙人のことについて彼女を問いたださなければ。

「そうだな。でもすぐにどっか行っちまう」
「そっかぁ。あ、でも前に南棟に行く姿を見たことがあるよ」



鳳の情報を頼りに俺は買ったばかりのパンと飲み物が入った袋を持ち、南棟へと向かった。南棟はテニスコートの裏手にある。そこはいわゆる旧校舎でありほぼ物置小屋になっていて生徒はほとんど近付かない場所だ。そんな薄暗い校舎のどこに彼女がいるのだろうと思っていたが、外から南棟を見上げてすぐに分かった。屋上のフェンス近くに、両手を真上にあげ薄茶色の髪を靡かせて立つ彼女の姿が見えた。というかあの体制はもしやUFOを呼んでいるのではないのか?

俺は急いで南棟に入り、屋上への階段を駆け上る。勢いよく扉を開けると先ほどとは違い、扉を開けたすぐ目の前に彼女は立っていた。扉を開けたままの勢いで屋上へと足を踏み入れたため、急ブレーキをかければ思わず転びそうになるがなんとかその場に踏みとどまる。

息を切らしている俺の横を通りすぎ、彼女は開けっぱなしにしていた扉を閉め、こちらに向き直る。彼女の手には、おそらく手作りであろう形の悪いフェルト素材のUFOのキーホルダーが付けられた鍵が握られていた。おそらくそれは屋上の鍵なのだろう。いくら生徒が寄り付かないとはいえ、屋上に鍵をかけないなんていささか不用心である。

「ようこそ、日吉若。」
「お前に色々と話したいことがあって来たんだが」
「そうですか。でもとりあえずお昼食べたらどうですか?」

彼女は俺が手に持っていた袋を指でさし、そう言った。正直昼飯なんかどうでもよくなってはいたが、今食べなければ放課後の部活まで持たないのは確実である。
俺はその場に腰を下ろし、先ほど買ったばかりのパンを袋から取り出す。彼女も目の前に腰を下ろすが、もう昼は食べ終わったのかじっと俺の事を見ていた。

昨日から思っていたが、こいつは人をじっと見る癖がある。逸らされて話すよりはいいが、食事中にもじっと見られていればさすがに緊張してしまう。俺はそれを悟られないよう、一口ほおばったパンを飲み込んでから話を振った。

「さっき、もしかしてUFOでも呼んでいたのか?」
「さっき、とは?」
「屋上の手すりのとこで両手を上げていただろ」
「あぁ。電波を送信していました。」
「ごほっ…!」

自分が期待していた答えのくせに、真顔でこうもあっさり肯定されるとは思ってもみなかった。
パンが変なところに入り咽ていれば彼女は勝手に俺の袋の中から飲み物を出し、それを差し出す。何勝手に漁ってんだと思いつつそれを素直に受け取る。

「あなたも非科学的現象が好きなのでしょう?」

自分はすでに答えが分かっているという、俺への質問の聞き方。

「あぁ。だが、まだUFOや宇宙人を自分で見たことはない。お前はあるのか?」
「UFOはないですが、宇宙人は見たことあります。」
「マジか!」

テレビや本からの情報ではあるがUFOを目撃したことがある人は日本でも多くいることは知っていた。しかし宇宙人に会ったという人は世界で探しても数少ない。それもどこか胡散臭い情報ばかりだ。この手の話題に胡散臭さは付き物だが、彼女の言うことはなぜか素直に受け入れられる気がした。

「はい。」
「それは何時だ?どこで見た?宇宙人の特徴は?実際に喋ったのか?」

次から次へと疑問が俺の頭を駆け巡る。右手で握っていたパンが半分ほど潰れかけていることには気づいていたがそんなことはお構いなしだ。

「去年の夏に、この場所で。」

彼女はそう言って真上を見上げた。空は雲一つない青空で、それを背景に彼女の薄茶色の髪が舞った。
一瞬、その姿が儚く消えてしまうように見えたのは気のせいだろうか。

「もうすぐ授業が始まります。戻りますよ、日吉若。」

俺の疑問を全て答えないまま、彼女は立ち上がり、扉の方へと歩いていく。俺は食べかけの潰れかかったパンを口に押し込み彼女の後を追った。
屋上から戻る途中、一番大切なことを言い忘れていたことに気づき彼女を呼び止める。

「そういえば、今朝はありがとうな」
「別に。私もムカついてましたから。」

俺のためじゃなかったことは大方予想していたが、彼女からムカつくという言葉が出てきたことに驚いた。

「お昼は大体ここに来ていますので。」

彼女の素っ気ないその一言は俺にここへの立ち入りを許可したように思えた。この場所の存在をもちろん他に言うつもりはない。しかし絶対にまたここに来ようと決めた。



あの日以来、俺は度々屋上に訪れるようになっていた。毎日というわけではないが、週に1、2度、昼はここに来て彼女と一緒に過ごした。俺が持ってきた雑誌を見たり、彼女の宇宙人理論を聞いたり、自分としてはかなり充実した時間であった。
しかし、何度訊ねても去年彼女がここで見た宇宙人について教えてくれることはなかった。

「なぁ。去年みた宇宙人について教えてくれよ」
「あなたはどのような定義を持って宇宙人だと判断しますか?」

彼女は俺が持ってきた雑誌に目を通しながら全く別の話題を投げかける。
今日もいつものように例のお願いをするも、いつものように話題をすり替えられてしまった。
一見子供じみた質問のように思えるが、彼女の口からきくと哲学的な何かのように思えてしまう。しかし俺の頭に浮かんできた答えは結局は“子供じみた”ものだった。

「地球上には存在しない生物の外見で、人間には理解できない言葉を話す…とかか?」
「そうですか。」
「お前はどう判断するんだよ」

雑誌に目は向けられていたものの、俺の話を聞いていなかったわけではない。しかし、その返事は宙を舞ってどこかへ飛んで行ってしまったように思えた。
今まで読んでいた雑誌を閉じ、彼女は空を見上げる。

「人間が創り出した虚像の中に実体がある、と言ったところでしょうか。」
「どういう意味だそれ」

空から一本の糸を辿るようにして俺へと視線が向けられる。最近ではこの視線にも慣れてきたのか、俺は逸らすことなく彼女に視線を合わせた。

「見方を変えれば宇宙人なんてすぐ近くにいる、ということです。」
「はぁ」

真相に近づいたと思ったら、雲をつかんだようにするりと消えてしまう。そんな彼女との会話に俺は毎回宇宙人を相手にしているような気持ちになるのだ。





クラスにも馴染み、2年の授業も本格的に始まりそろそろ中だるみが出てきそうな5月上旬。GWと呼ばれるこの時期も、俺達テニス部は毎日練習に勤しんでいた。負けたものはレギュラー落ちという実力主義の氷帝学園テニス部において、この時期は夏の大会のレギュラー選抜に向けての大切な時期でもある。準レギュラーである自分も正レギュラーになるチャンスである。

午前の練習が終わり、午後には部内で練習試合が行われる。200名の部員をいくつかのブロックに分けて総当たり戦が行われる。壁に張り出された表を見て自分のブロックを探す。レギュラー軍はほぼ1ブロックに一人といった具合に配置されていた。しかし、自分の名前が書かれたブロックにあの人の名前が書かれていて息を呑む。

「跡部さん」
「よぉ日吉。よろしくな」

氷帝に君臨するキング、跡部景吾。夏の大会前に下克上できる最大のチャンス。今日が俺の天下分け目の戦いになると言えることだろう——





休日に開くはずがないと思っていた扉が音を立てて押し開かれる。
いつも来る屋上には茜色の空をバックに、フェンス越しにテニスコートを眺める彼女の姿があった。休日にここにいるはずがない。しかし何度瞬きをしようともその光景の中から彼女が消えることはなかった。

「こんにちは、日吉若。」

扉の方を一度も見ずに発せられた言葉。それは俺がここに来ることを知っていたかのように用意されていた言葉だった。

「ゲームセットウォンバイ跡部——」

その審判の声が耳にこびりついたまま離れない。跡部さんから1ゲームも取ることなく負けた。
1年間必死に練習をし、2年で準レギュラー入りをした。決して自惚れていたわけではないが、自信はあった。しかしキングの壁は高く、それを今の俺には破ることができなかった。結局なにも変わらず準レギュラーのまま。あの一試合が今までのどんな試合よりも自分には特別なものだった。
いつもなら、部活の後も死ぬほど練習をするのだが今日ばかりはそんな気になれず、気付けば逃げるようにここへと来ていた。

「なんでお前はここにいるんだよ」
「宇宙人から電波を受信しまして。」

いつもの俺ならすぐに食いついてしまうような話題でも、今の俺には他人事としか思えなかった。
彼女に近づき横に立つも、特に何の関心も示さなかったことを気にしたのか、俺の方を向き目線を合わせた。しかし今日は上手くあいつと目線を合わせることができず、足元へと視線を逃がす。

「去年の夏、私が出会った宇宙人はそんな顔してませんでしたよ。」
「え?」

顔を上げれば、逸らすことなく俺を見ていた彼女の目に視線が吸い込まれていった。

「試合にも出れなかったその人が、夏休み中、毎日毎日遅くまで練習をしていた。」
「見てたのか……?」
「何度負けても、いくら怪我をしても、ずっと練習をするその人は私にとって理解ができない宇宙人そのものだった。」

彼女は俺の左胸、ちょうど心臓辺りを人差し指でさし、一歩距離を縮めた。その拍子にトンっと胸に指が触れ、そこから熱が伝わるように体がポカポカしてくる。

「一番近い宇宙は私が考えるよりもずっと深く、ずっと大きく広がっている。だからあなたが私に見せてください。日吉若。」

きっと頭がいい彼女が唯一理解できないのは人間の心なのだろう。でも俺だって自分のことなどまだまだ理解できていないのだ。

「私が電波を送信した日は、必ずあなたが来てくれました。」
「そうなのか?」
「そしてあなたの電波も私は受信できました。」
「なんだよそれ」
「私たちも立派な宇宙人ということです。日吉若。」

いつものような淡々とした言葉が、少しだけ楽しそうに聞こえたのは気のせいだろうか。

宇宙なんか子供の俺達からしたら現実にはとても遠い存在。
だが、一番近くにあるこの宇宙を知れるのは、きっと今の俺達でなければできないことだ。

さぁ、これからは二人でその宇宙を解明していこう。



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