あなたの目になりたいです。
溢れかえる不必要な情報を、そこで遮断できるから。
あなたの肩になりたいです。
降りかかる宿命を、少しでも共有したいから。
あなたの小指になりたいです。
全力で戦うためには、そこが必要不可欠だから。
あなたの心臓になりたいです。
鼓動するたびに、あなたと生きていると感じられるから。
もう何も見たくない、とでも言うように風見は目を閉じた。合わさった瞼から、ほろりと雫が伝い落ちる。
ああ、なんて。なんて綺麗な涙なのだろう。
誘われるがままに眼鏡の隙間に指を滑らせ、雫を柔らかく拭った。それは棘のようにツキリと指先を突き刺す。
「……風見。もし風見が僕の身体の一部になってしまったら、僕は寂しいよ」
神様によって、ひとりの人間は男女の区別をつけて分けられた。そして、愛するという行為は、その自分の分身を見つけることだという。
「僕には風見がいないとダメなんだ」
やっと見つけられた自分の半身。それがたまたま同性だっただけだ。
そう言っても、風見は同性愛について悩み続けるだろう。
――だから今はただ、抱きしめさせてくれ。