@(安室)
「何してるんだい?早くおいで」
褐色の色をした手が誰かを招く。
端麗な顔立ちは誰もが見惚れるだろう。
黒いスーツを着ていた彼の目線にいるのはただの少女である。
少女は彼の瞳をただじっとみているだけであって
何も語ろうとはしなかった。ただただ、彼を見るだけ。
まるで、この時間だけ切り取られているようであった。
「…花子」
「…お兄さんは、私のおにいさんになってくれるんですか?」
「…そうなるかな?」
か細い彼女の声に彼―――安室透はうなづいた。
金髪の髪の毛に褐色の肌となると夜でもかなり目立つ存在だった。
対して彼女、花子は黒い髪の毛に紫の瞳。夜にはあまり目立たない
が声がただただ闇に響く。
彼女…花子は招かれた手を、握ったのだった。
*
*
*
帝丹小学校に転校してからというもの、小学一年生の
花子は毎日がまるで退屈であった。
ただ、図書室にいる時間は苦ではなく帰りに何冊も借りていくことが
日課になっている。
今日も借りて帰るか、と思っていた矢先に廊下は花子と同じ
子供達が盛り上がっていた。終わったので友達と遊ぶ約束をするものや
学校の校庭でサッカーをするという約束の声も聞こえてくる。
その中で、ひときわ目立つ声を彼女、花子は感じた。
「じゃあコナンくん!あとで博士の家でね」
「ああ!わかった!」
コナン・ドイルと同じ名前の彼に、花子はピクリと耳が動いた。
目がねをかけている少年に視線を送ると彼も気が付いたようで
女の子に声をかけた後「えっと」と困った声を出されてしまった。
「…あ、ごめんなさい」
「いや、っていうか今から図書室行くのか?」
彼が笑って指をさしたのは花子の手に入っている本である。
3冊、手に収まっている本に興味があるようだ。
「うん、そう返却しようとおもって」
「へえ。本って面白いよな。オレもたまに見るけどさ!面白い本が
あったら教えてくれよ…確か1年C組だよな」
「そう。沢口 花子っていうの。江戸川コナンくんだよね」
「あ、ああ。知ってたのか」
「有名人だもの」
そういうと彼、江戸川コナンは苦笑いをしていて変な感じである。
彼の事は、何となくだが、知っていて、違うクラスの
花子でも噂は聞いていた。
少年探偵団というグループを組んでいて、名探偵、だそう。
彼はさっさと行ってしまったので、花子は図書館で何冊か借りて
学校から離れて行った。
「遅かったね。」
「…兄さん、今日は早かったんですね」
「ああ、今日は喫茶が早く終わってね。花子も今日は
学校が早いと聞いていたからマスターから帰れっていわれていまおやつを
作り終えたところさ」
鍵を開けて部屋に入って見ればこの時間には珍しい相手がいた。
褐色の肌、金髪に青い瞳の男、安室透が帰ってきていたのだ。
しかもいい笑顔である。
しかもテーブルにはお皿に乗っているのはパフェであり
フルーツたっぷりである。
そのお皿が一つしかないのに関しては、花子専用であるのだろう。
「…ありがとう」
「今日は学校は楽しかったかい?」
「はい。でもちょっと退屈…」
ランドセルからプリントが何枚か出てきたが小学生のテストも
入っていた。
それをたまたま安室は見ると目を見開いた。
「すごいじゃないか、百点満点だ!」
「…足し算と引き算ですだからです」
「そうと知っていたらおやつをもうちょっとバージョンアップするべき
だったかな」
「!これだけで!十分です!」
笑って言う安室の言葉に即座に振り返って見せる彼女の顔は
真っ赤になっていた。
椅子に座り、彼が作ってくれたパフェに手を伸ばす。
スプーンを手でもち、てっぺんについている生クリームを一口。
甘い、ふわふわとした食べ物につい頬が緩む。
テスト用紙をもっていた安室はその用紙を机に置き
向かいの椅子に座り、頬杖をつきながら目の前にいる
彼女をみた。
小さい、小さい、彼女は美味しそうにパフェをたしなんでいる。
「そんなにがっつかなくても、いつでも作ってあげますよ」
ただ、この時間は休息。
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