01
「山岳!!」
「ごめん、ごめん」


遅刻して入ってきた山岳こと真波山岳を怒るのは委員長。
あの2人は、いつもあんな感じだ。


「また真波君に絡んでるよ、委員長」
「好きってバレバレだよねー」

俺の周りにいる女の子が口々に委員長を見ながら言った。
そんな彼女たちに視線を向けて、俺は自分の唇に人差し指をあてて微笑む。

「君たちの口からそんな言葉、俺は聞きたくねぇな」
「う、うん」
「ごめんね、みょうじ君」

慌てて口を閉じた女の子たちから視線を2人に戻す。

なんて、言っても…
俺もそう思うけど…

「みょうじ、昼飯どーする?」
前の席の友人がくるりとこちらを見た。
「学食。一緒に行くか?」
「おう。お前、相変わらずモテるな」

周りの女の子を見て、彼は溜息をつく。

「チクショー、なんでお前性格いいんだよ!!嫌いになれねぇだろ!!?」
「嫌いになんなよ。寂しいだろ」
「本当に完璧人間だな」

友人を混ぜて女の子と話をしていると、また委員長の怒る声が聞こえる。

「ホント、飽きねぇよな。委員長」
「そうだな」
「そういえば、みょうじ君ってみんなと仲良いのに2人とだけは喋らないよね?」

女の子の一人が言ったことにみんな賛同する。

「そう?まぁ、なんだろ…触れちゃいけない空間な気がしねぇ?」
「あ、それわかるかも」
「だろ?だから、触れねぇの。わざわざ、話す必要もねぇだろ?みんながいるから俺楽ししい」

笑顔で言うと、キャーと女の子が顔を紅く染めた。
「タラシ」
「違うよ」

チャイムが鳴ってそれぞれが自分の席に座る。

「話す必要なんて、もうどこにもねぇんだよ」
くるりとペンを回して呟いた。

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