02
放課後、部活をしていない俺は1人宿題を教室でやっていた。それを偶然先生が見つけ、パシられたのだ。
「早く帰ればよかった」
手の中のプリントを見つめて息を吐く。
「あ、みょうじ君!!」
笑顔を見せながら手を振ってくる部活中の女の子に手を振りかえす。
「頑張れよ」
「うん!!また明日」
「またな」
何回かこんなやり取りをして、1つの部室の前で足を止めた。
「自転車競技部…」
誰かに、預けてさっさと帰ろう。
アイツに会わないように…
部室のドアをノックしようとしたとき足音が背後で止まった。
「ナァニしてんノォ?」
「自転車競技部の人ですか?」
後ろに立っていた先輩がそうだケドォと間延びした感じの答えが聞こえた。
「山岳…じゃなくて、真波を知ってますか?1年の」
「不思議チャンなら、知ってるぜ」
「これ、渡していただけます?」
プリントの束を先輩に差し出して微笑む。
「しょうがネェな」
「ありがとうございます」
「不思議チャンの友達ィ?」
先輩の言葉に首を横に振った。
「もう違います」
「ハァ?」
「それじゃあ、失礼します」
頭を下げて、そこを離れる。
荒北視点
「さっき持ってきてくれたぜ」
「え?あ、ありがとうございます」
「…喧嘩でもしてンノォ?」
真波は首を傾げた。
「誰とですか?」
「これ、持ってきた奴。お前のこと、一度名前で呼んだのに友達じゃねェってよ」
「女の子じゃないんですか?持ってきたの」
真波の言葉に男だけどと返すと目を丸くした。
「……綺麗な顔してました?」
「まぁ、イケメンだと思うケドォ?」
どこか焦った顔の真波に首を傾げた。
「大丈夫カァ?」
「へ、平気です。ありがとうございます」
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