05
次の日学校に行くと女の子が恐る恐る俺におはよう、と声をかけた。「おはよ。昨日はごめん。怖かったよな?」
「す、こし…だけ」
「ごめんな、怪我ねぇ?」
「平気だよ」
いつもみたいに笑った女の子に俺も微笑んだ。
「よかった。昨日、言えなかったけど、髪型変えたんだね。似合ってると思うよ」
「ありがと」
女の子たちが安心したように集まってきた。
「昨日、ビックリしちゃった」
「あ、これ。昨日落ちちゃった本」
「あぁ、ありがと」
ページの折れ曲がった本を見て、溜息をつく。
「まだ、あの事引きずってるの?」
昨日言われた言葉が頭の中でグルグルと回る。
まだって何だよ。
自分も同じ気持ちを味わってみればいいのに。
そしたら、わかるよ。
「お前も、失ってみろよ」
「何か言った?」
「いーや。ちょっと、トイレ行ってくるわ」
教室から出て、屋上に足を進めた。
「………はぁ…」
フェンスに背を預けて、ズルズルと座り込む。
別に引きずってるかどうかなんてどうでもいいだろ。
幼馴染だからって、俺の中に入り込んでくるなよ…
俺は真波みたいに何でも受け入れてやる気は全くない。
「慰めの言葉も、同情もいらない」
握りしめた左手を後ろのフェンスに殴りつける。
ガシャンと、フェンスが弱々しく泣いた。
「……やっぱ、アイツらと同じ学校になんか来るんじゃなかった…」
所詮、俺らは幼馴染。
まぁ、山岳とはもっと違う関係だったけど…
親も仲が良くて、俺が他の学校に行くことを親は許してはくれなかった。
「あの時、反発してでも…」
今更すぎる呟きは、誰の耳に届くこともなく憎たらしいほど青い空に吸い込まれた。
アイツらの顔を見れば嫌な過去がよみがえる。
委員長は容赦なく人の傷を踏みにじる。
「あー、いたいた。みょうじ」
俺に手を振る友人に首を傾げる。
「どうした?」
「女子が探してたぞ。みょうじ君が帰ってこないってよ」
「あ、マジで?悪いことしちゃったなー」
ヘラッと笑って友人のほうに歩いていく。
「お前、昨日キレたんだろ?」
「ちょっとだけなー」
「俺も見たかった」
肩を組んで笑う友人につられて俺も笑う。
「見せれねぇわ。カッコ悪いし」
「たまにはカッコ悪いところもみせろよ、馬鹿!!」
全部、忘れられれば良かった。
それでこいつらと出会えればきっと幸せだったのに…
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