「なんだあれ?」
「高三の子達…みたいですね」

本部のラウンジにある人集り。
たしかに高三の連中が集まっているらしい。

「なにしてんだ、お前ら」
「あ、諏訪さんと堤さんか。見りゃわかるよ」

荒船がそう言うと体をずらし道を開けてくれた彼ら。
それに甘え、中心を見れば見慣れた後ろ姿があった。

「粕谷くんですね」

正面に座るのは王子と水上。
彼らの間にはチェス盤と将棋盤がある。

「…同時に相手してんのか」
「プラス携帯ゲームもやってる」

確かによく見てみると雅久の視線は携帯の画面に釘付けだ。
いつもやってるバトルのやつ。

「…チェック、」
「はは、嘘だろ?」
「水上も、もうないだろ」

負けました、と水上が頭を下げ 携帯の画面にもでかでかと表示されたWINNERの文字。

「はい、おしまい。あー、疲れた」

ぽい、と携帯をテーブルに放り投げ彼は突っ伏した。

「なんでこうなったんだ?」
「この間月見さん主導のオペレーター講習みたいなのあったらしいんだけどな」

たしかにオサノもそんなこと言ってたっけか。

「それにこいつも呼ばれてたんだと」

突っ伏した雅久を突っつきながら当真が笑う。

「並行処理の先生役ってね」
「へぇ…」

あの月見に呼ばれてたなら実力は本物だろう。

「米屋からその事知って、やらせてみた」
「触るな当真」

手を払って雅久は顔を上げた。

「頭が痛くなるから嫌いなんだよ、これ」

顔を上げた彼はたしかに顔色が悪い。
オペレーターがやってくれてるそれとは少し、違うのかもしれない。

「寝る」
「ここでか?」
「今は何もしたくない」

再び突っ伏したかと思えば、規則的な呼吸の音。
当真がまた突っつくが今度は反応がなかった。

「寝たな」
「寝たね」

ご飯食べに行くのにどうする、と彼らはか顔を見合わせる。

「起きるまで俺が付き添っててやるよ」
「諏訪さん、いいんすか?」
「堤、ミーティングここでやってもいいか?」

大丈夫ですよ、と彼が答えれば 安心したのか皆帰る準備を始めた。
その音も雅久の耳には届いていないようだった。





「…………」
「お?起きたか?」

顔を上げれば何故か諏訪さんと堤さんがいた。
自分を囲んでいたはずの同級生の姿はない。

「…大丈夫か?」
「頭痛い…」

体を起こせばずきり、と頭が痛む。

「それ、普通のじゃないよな?」

怪訝そうな諏訪さんの言いたいことはわかった。

「オペレーターがやってる並行処理とは別モン」
「さて、なんのことだか…」

とりあえず帰ります、と立ち上がる。
そういや飯行こうとか言ってた気がするけど、今日はやめよう。
痛む頭を抑えながら、重たい足をなんとか家に動かした。