「べっつに」
どうしたの、というわたしの問いかけに対し取り繕っているつもりであろう言葉とは裏腹に、やたら視線は泳いでいた。
ポケットに入っているシルバーのリングのことも、加古さんに色々聞いていたこと、私が知らないとでも?
数分前に吸っていたはずのタバコの箱に手を伸ばす諏訪の背中をこっそりと盗み見る。それを吸い終えるまでは知らないふりしてあげる。
171119
▽
index