19 被害者と加害者
飲みすぎた、それに気付くのはいつもあのと祭りになってからだ。
止まりそうにない嗚咽と一緒にやってくるのは悲鳴を上げたくなるような頭痛、うまく機能しない脳を振り絞って早く家に帰らなければとふらふらと壁づたいに歩いていたら何かにぶつかって転んだ。
「ウブオエッ!」
その拍子にゲロを吐いた。いや俺じゃなくて。相手が。
「ギャアアア」
「すいませんごめんなさいすいませ…やばいまたゲロ…」
再びゲロの臭いを纏わらせながら平謝りする女の背中をさすり、なんでこんなことしてるんだろうと考える。自分より重症な奴がいると冷静になるアレだ。
「すいません…本当すいません…あの、ごめんなさい」
「いやすいませんとごめんなさい並べられてもドミノは倒せないしね。大体君何でゲロ吐くときピンポイントで俺のほう向くの?」
「え、ああ、ほら、犬って電信柱にオシッコするじゃないですか。同じです間違えたんですたぶッ」
初対面の人物をグーで殴ったのは初めてだった。
(150728)
▽
index