決して離れない


 ただいま、と声が聞こえて玄関へと向かった。おかえりなさい、と応えようとしたら目の前に紫色がひろがった。突飛なことに驚いてしまい数秒程身体が固まる。
「……今日はちかちゃんのお誕生日だよね?」
 自分の誕生日かと一瞬思ったが、二週間程前にお祝いをして貰った。その時もお花をもらった。その花は花瓶に生けて、毎日かかさず手入れをしているためまだ華やかに咲き誇っている。
「これが僕にとっての一番嬉しい誕生日プレゼントだから」
 微笑んでいるちかちゃんの手には藤の花の花束が握られていた。





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