うーん、すき


「今夜、共に寝ないか。」
俺がそう告げれば彼女は酷く嬉しそうに頷いた。

ゆったりとした服装、まだ少し濡れた髪、抱き締める手触りのよく、可愛らしいデザインの猫のぬいぐるみ。まるでお泊まり会のような気分で彼女は俺のベッドの上で寝転んでいた。
「えへへ、お泊まり会なんて初めてー」
「……そうか。」
「サンダルフォンどうしたの?元気ない……?」
ネガティブスイッチが一切入っていない彼女は俺の表情を見ても一切気付かない。いつもなら的確に当ててくるというのに。
「……いや何も。疲労が溜まっているようだ。寝るぞ特異点。」
ベッドに上がり、毛布を被る俺に続いて心配そうな表情の特異点が入ってくる。
「えっ今日のセレストそんなだった……?」
「……そういう訳では無いが。」
静かに抱き寄せて腕の中に入れてやると少しだけ不思議そうにしていた。
「えっと……何か不満があるなら、すぐ言ってね。」
「俺に珈琲を飲む時間さえくれたら構わないよ。」
ぽんぽんと頭を撫でてやれば悲しそうに目を伏せられる。
「……サンダルフォンと戦えるから、強いんだよ、私。」
俺のインナーを握って呟く姿はとても愛らしい。
「まだまだ俺の足元にも及ばないさ。」
「むー……いつか絶対越えてやる」
「楽しみにしているよ。……おやすみ。」
「おやすみなさい、サンダルフォン」
誘いには失敗したがこういう日も悪くない。