縛られしもの
2023/11/05
杉山紀彰という役者が好きだと常々言っている。
のにも関わらず、まともに杉山紀彰という役者の演技について話していなかったなぁと思った。
しかし、演技の畑の者でもないこんな若輩者がプロの演技を語るのも如何なものか…とも少し思ったのだけど、好きは好きで変わらないのだし、私の畑のどこが好きでどこが良くて、と語ってくれる海の航海者がいたとしたら、私はきっと好意しか持たないなとも思ったので、結局語ることにする。
(注:ネタバレを含みます)
第五話 「縛られしもの」
ジンベ
Xでも某サイトのアンケートでも何度でも言っているのだけど、私は本当にこの演技が大好きでしかたがない。私にとってNO.1はこの演技かもしれないというほどに。
杉山さんに惚れていながら、杉山さんが出演しているとも知らずにただこの作品を見ていた。
夏目友人帳の切ない温かさが純粋にすごく好き。人や花や時間が、とても愛おしくなる。
この回は、切なくて愛おしくて物悲しい、夏目友人帳らしさのあるとても心に染み渡る良い回。
恐ろしい恐ろしい災いが来るぞ。来るぞ。
それはそれは恐ろしい災いだ。
それはそれは恐ろしい災いだ。
手違いで入れなくなった我が家、
主に閉め出されたと思った式神。
見事打ち払ってみせるから。
そうしたら、もう一度お家にいれて。
タクマ。タクマ。
そうしたら、もう一度お家にいれて。
タクマ。タクマ。
もう自分の姿を見てはくれない主。
一所懸命に話しかける式。
噛み合わないふたつの焦点。
きっと、きっと、役に立ってみせるから…
共に過ごした人に触れられない喪失
その瞳にうつらない孤独
もう声が聞こえていない寂寥
ただあなたと………
思いとしては純粋すぎる。感じる思いを言葉にしてあらわすには私はあまりに人間で、まだ生きて短い。
式神のジンベが主のタクマに渡そうとする言葉から伝わる感情の困惑するほど静かなリアルさに、息を呑んだ。
イヤホンをつけてすらいなかった。
夜中だったから、スマホの音量設定も小さめだった。
それでも、零れることなくひとつひとつの音が耳を打ち、夏目の息遣いと風に撫でられた雑草の音すら聞こえてきそうなほどに惹き込まれた。
観終わったあとに息が苦しかったのは、結局、何がどうしてだっただろう。
余韻から抜け出せないままにエンディング曲を聞き、流れるキャストロール。
呆然と感傷に浸りながらも、あんなにも私の心を惹きつけたら演技をどんな役者さんがしていたのかしっかりと確認しようと思った。機会があれば手紙などで感謝したいと本気で考えるほどには心に染みた、妖の声だったから。
と、そこで初めて知った ジンベ 杉山紀彰 という事実。
今度は開いた口が塞がらない。
たしかに、“演技が好き”という感覚を初めて知ったのは、イギリスの明るさで、うちはサスケの強さで、ウィリアム・T・スピアーズの真面目さで、杉山紀彰の声だったけれど。
なぜか、とても嬉しかった。
私の好きな役者さんは、本当に素敵な演技をする。
私の好きな役者さんは、きっと何度でも私の心を動かしてくれる。
杉山紀彰という役者さんに、私は何度でも惚れていく気がする。
運命的だとすら思うほどに、私は、杉山紀彰という、杉山さんという役者の演技に惚れているかもしれないな。
本当に、ジンベの呼ぶ「タクマ」がいつまでも愛おしくて切ない。
ただ一言、名前を呼んでいるだけなのに。
その一言が、たまらなく忘れられない。
役に立てたら、また、そばに来てもいいでしょ…?