Kitten’s yard

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愛をこめて


2024/03/09


杉山さん、お誕生日おめでとうございます。
杉山さんの演技が大好きです。



愛をこめて。






初めて役者を好きになったのが、杉山さんだった。

ヘタリアのイギリス。私がよく「坊ちゃん」と呼ぶ子。
“イギリス” と名付けられた人を “子” と呼ぶだなんて、なんてこった…と今突然に気がついたけれど、あまりに可愛らしさが強く、おまけに童顔で小柄に見えるので、私は彼を子と呼びたくなる。
ただの(元)ヤンキーでもただのツンデレでもない、可愛いのだ。だからまぁきっとしかたない。

坊ちゃんは、杉山紀彰という役者の名前を知ったキャラクターだ。
『ルパン三世』という作品が好きで、そこから声優という職業を認知し、三代目 石川五ェ門役の浪川大輔さんを知った。世界史苦手だし…と思いながらヘタリアを見始めて、イギリスに惹かれていった。

後から考えると、元々BGTというイギリスの番組が好きだったから、イギリスという国の紳士で朗らかで落ち着いた明るさは好みだったのかもしれない。
でも、一年ほど前にあった戴冠式は、坊ちゃんに出会っていなかったらちゃんと見ることはなかっただろうと思う。坊ちゃんというキャラクターが生まれたその内側を知ってみたいと思って一通り見た。
曇天の中でも美しい白馬に、気品ある王家の方々、集う人々。
とても不思議な気持ちで、新鮮に興味深かった。世界は広いね。

何にせよ、私は今、いつか必ずイギリスという国に行きたいと強く思っている。
坊ちゃんというキャラクターを更に詳しく知れるし、坊ちゃんだってきっと私がイギリスに足を運ぶことを喜ぶと思う。
「別に…」とか言いながらも、可愛い顔で口元は緩んでいるのが想像つく。逆に、「ほんとか!?」と目をおっきく開いて喜んでくれるかもしれない。
この愛おしさが、杉山さんが私にくれた坊ちゃんの姿だ。
ほんとに、杉山さんの坊ちゃんはとてもかわいい。




坊ちゃんをきっかけに杉山さんについて知ったその後、ファンになったという意味で杉山紀彰という役者にのめりこんだのは、あの子だ。
うちはサスケ。
彼を何とあらわすべきか私は未だにわからないのだけれど、プロフで彼を紹介する文では、こう書いた。

愛に飢え、愛に溺れ、愛に愛された子

サスケの道は、愛に飢えて飢えて溺れたからそう進むしかなかった険しい道だと思っている。でも実は、サスケの歩んだ道すべての時間が誰かの愛の中にあったから走っていけた道で、サスケという子はずっと誰かの愛に守られて生きていた。
冷たさ、クールさ、悲劇、無表情、時には非人道的、そんな中でもサスケに愛を寄せるファンがいるのは、まさにうちはサスケという子から切り離せない特別な魅力をあらわしていて、作中で何人もに憎まれながらまた何人もを虜にしてきたサスケは、こちらの現実でもまた同じようにある人に恨まれある人の愛に守られてきたのだろうと思う。

口下手ゆえに感情や考えの表面しか言葉にならないサスケ。それでいて、時に胸を抉られたかのような心の悲鳴を撃ち放ち、また時に繊細な器から溢れてこぼれた優しさのひとすくいを誰かに置いていく。
彼の心の幅は横ではなく縦に深く、複雑なように見える単純な純粋さを持っていて、杉山さんの発する言葉から感じ取れるそのささいな感情がたまらなく苦しく愛おしかった。
彼は、まぎれもない愛の子である。

サスケの戦う姿は、格好良い反面、どこか胸が痛くなることが多かった。ボコボコにやられて士気が上がって強くなったり、途中から捨て身で本気になるというわけではなく、いつもいつも捨て身のように、それこそ命を懸けてるのかと思うくらい懸命に戦ってる気がした。
そこに添えられる杉山さんの叫び声や呼吸。杉山さんが時に魂を削ったかのような強かさで伝えてくれるサスケの叫びを、荒々しくも決して折れないサスケの息遣いを、何度も傷つきながら何度も優しく聞いた。
杉山さんの演技なくして、アニメでのサスケの人生はあそこまで懸命なものにはならなかったとすら思う。

杉山紀彰という役者を知らない人に彼はどんな演技をするのか伝えるならば、私はまず最初に『NARUTO』を渡すだろう。
世界に誇る日本を代表する作品の中でこんなにも素晴らしい演技をして作品を彩る、世界最高峰の忍であると。



続きである『BORUTO』はほんの少しだけかじっている。
私が見た大人のサスケは、子供のころ以上にどうしようもなく魅力的だ。
「サラダ」と娘の名前を呼ぶ声が、たまらなく優しい。
あのサスケが、こんな優しい声で愛だけを送り込んだ優しさで人の名前を呼ぶのだ。なんて、なんてことだろう。
時を経て穏やかでまるくなった大人のサスケは、もう本当に嬉しくてたまらないほどに優しい瞳をしている。燃え上がる炎だった赤い瞳は、いつしか愛を守り照らす灯火になった。
サラダに話しかけるあの声の優しいこと優しいこと… “愛おしい” とはあの声にこめられた気持ちのことをいうのだ。きっと。

とはいえ、サスケは優しい頼れる大人になったはなったけれど、相変わらず言葉は足りないし説明も足りないし、突然にいなくなったり現れたりする。その、大人になってもどこか未熟な感じが腕っ節の強さとアンバランスで魅力的で好きだ。そして、ちゃんと素敵な大人になったサクラが隣にいることでなおさら少年感が消えない。
杉山さんの声にも変わらず少年のようなサスケが残されていて、そこにただ少し成熟した大人な姿と丸くなった穏やかさが加わっている。本当に素敵な大人なのだ。サクラと二人して素敵な夫婦で、サラダと三人であまりに素敵な家族。
ちなみに私は、サスケに残る未熟な少年感は、ある意味彼がサクラに甘えている証拠だと思っている。愛おしいね。




ウィリアム・T・スピアーズ。我らのウィル。
なんて言ったらウィルは「私はあなた方のものではありません」とか言いそうだ。「私は死神派遣協会管理課のものです」ってね。
イギリス、うちはサスケ、石田雨竜、…とその後の順序は忘れてしまったけれど、いくつか杉山さんの演技に触れて、もうだいぶ杉山さんの声をわかってきたかなと慢心していた所で、突如 私の首を掴んだのがあの高枝切りばさみだ。
『黒執事』にcv.杉山紀彰のキャラがいると知って見始めたはいいものの、全く気がつかなかった。声は既に聞き馴染んだ大好きな声であるのに、まるで知らない人にしか聞こえない。

杉山紀彰のキャラはみんなうちはサスケに聞こえるなどと言う人をたまに見かける。サスケの所が雨竜だったり士郎だったりすることはあれど、そう呟く人を見かけるのは同じだ。
よし、たまには口調の強いことを挑発的に言ってみよう。

そんなわけがあるかい!!!

そのうちしっかりと文章にするつもりではいるが、杉山さんの演技にはしっかりとしたキャラクターごとの呼吸がある。
それに気がついたのが、ウィルだった。

冷涼で凛とした話し方。堅く真面目な物言い。
プライドが高くも実直な落ち着いたまっすぐさ。
あの冷ややかさを纏う声は私の知った杉山紀彰であるのに、ウィリアム・T・スピアーズという男はまるで知らない冷たい風を吹かせて闇夜の中高い電柱の上に立ち、私を見下ろしていた。
見下ろされているにも関わらず、圧がない。
皮肉を口にしているにも関わらず、あまり嫌味を感じない。
同僚を雑に扱って足で踏んづけているにも関わらず、怖くない。
涼し気な雰囲気であるにも関わらず、軽々しいものではない。
冷ややかな空気であるにも関わらず、寒々しいものではない。

とにかく不思議な感覚だった。
しかもおまけに彼は謎の色気やら謎の可愛らしさやらまで持っている。意味がわからない。
完全に、自分の好みどストライクである杉山紀彰の声を把握した。
私はこれが特に好きなんだ。刺さる声とはこういうことか。
ウィルでまた一段と杉山紀彰という役者の虜になった。




さあ、最後はまた、あの子ともあの人とも彼とも呼べないあのキャラの話をしたい。
私が最も愛する演技。

『夏目友人帳 陸』 第5話『縛られしもの』
ゲストキャラの、ジンベ

声優 杉山紀彰の代名詞というようなツンデレもクールも叫びも泣きも色気もない。ただ、どうしようもなく温かく寂しく儚く、それでいて心という美しさを感じられる。
表情も動きもほとんどないシンプルさなのに、杉山さんの声だけでそのひとつの絵に音が聞こえて、感情の波を感じる。
私が杉山紀彰という役者を愛する理由が全てつまっている気がした。
杉山さんの演技の特に好きなところが、きっとあの一瞬に込められている。

呼吸ひとつで言葉にならない揺れをその空間に残し、音ひとつでその裏にあるかもしれない思い出を香らせ、魂そのものを見ているかのように繊細で丁寧で柔らかく澄んでいる言葉の落とされ方。

本当に何度でも言おう。
この演技が大好きで大好きでたまらない。
あの感動はいつまでも忘れない。
何度でも忘れない。
本当に、良かった。





杉山さん演じるキャラに共通すること。
それはよく “ツンデレ” と言われる。
けれど、個人的には “自意識が強い” が近い気がしている。
劣等感、使命感、自己犠牲心、自己卑下、プライド。
そういった自分自身のことを強く意識していて、自分の心のありのままや現状のありのままを受け入れられずに何かがねじれた人が多い印象なのだ。
そしてそれは理解され難い。
“自分を意識している自分” を周りは分からないから。でも本当は、ただ純粋に感じていて、それを純粋に受け止めたくなくて、それならと純粋に逃げようとしたけど逃げちゃいけないんじゃないか、そう考えて変な風になってしまう。ツンデレもまたそのひとつ。

そういう、“ひねくれてる” と切り捨てることができる人たちを「愛おしい」と思わせてしまうのが、杉山紀彰という役者の持つ隠し味なんだと思っている。
考えてみれば、サスケにしろ雨竜にしろイギリスにしろウィルにしろ、オルーバさまや島崎だって、みんなまともに素直にものを言うことなどほとんどない。嫌みやら皮肉やら冷たさやらが強い。よくよく考えたら思考が極端にぶっ飛んでいたり、それかなり自己中な願望では?と感じることをするキャラは多い。
それでも愛おしく思えるのが、杉山紀彰という役者が命を分け与え魂を吹き込んだキャラクターたちなのかもしれない。
杉山さんが生かすキャラクターたちは、とても愛おしい。






杉山さんの演技が大好きです。

そう伝えたら、杉山さんは何と仰るだろうか。
少し照れながらも「ありがとうございます」と微笑む姿が思い浮かんだ。
あの方はいつもそうして謙虚で控えめで、それでもきちんと私たちの愛を受け取ってくれる。

杉山さんが大好きです。
出会えた奇跡に感謝を、杉山さんのこれまでに感謝を、
そして、杉山さんのこれからにもずっと期待を。

杉山紀彰さんが大好きです。