人気トップモデル、トラファルガー・ロー電撃結婚
そんな見出しが新聞や雑誌を賑わせた。
撮影を終え事務所に戻るローの元には連日取材陣が殺到した。
家に帰るのですらパパラッチに追われる始末だ。
押し寄せる取材陣を躱してなんとか迎えの車に乗り込んだローは苛立ちを吐き出すように溜め息を吐いた。

「流石ローさん、人気者っすね。」
「ペンギン、それは皮肉か?」
「いやいや、褒めてるんですよ。」

奥さん大丈夫ですか?車を運転しながらペンギンは後部座席でぐったりと座るローに話しかける。

「大丈夫もなにも、あいつは家から出ねぇよ。相変わらずずっとゲームしてる。」
「ははっ、流石人気クーチューバー。稼ぐなぁ。」
「ホントにな。広告収入だけで凄ぇ額だ。」

そう言うとローはポケットからスマホを取り出し何やら操作しだした。

「それにしてもどっから漏れたんでしょうね?結婚したこと。」
「さぁな。こっちが聞きてぇよ。」

ミラー越しにローを盗み見たペンギンはスマホを見ながら一瞬ニヤけたローを見逃さなかった。

「ジャンヌさんですか?」
「あぁ。」
「いい報告ですか?顔がニヤけてます。」
「夕飯は刺し身と豚カツだと。」

いいなぁ美味そう、ペンギンの言葉にローは家で夕飯を作るジャンヌの姿を思い浮かべた。
どんなゲームでもあっという間に上達し上手く動画に収める彼女は家事全般もあっという間に上達し器用にこなした。
そもそもモデルのローとゲーム実況者のジャンヌが知り合ったのは年に一度、数日間開催されるゲームの催し会場で彼は作品のキャラクターモデルとして、彼女は製作者からのオファーでプレイヤーとして顔を合わせたことがきっかけだった。
当時のローは彼女の動画は見たことなかったが裏の待機場所で誰とも話さず静かにスマホを弄っている姿にきっと動画でもそんな感じなのだろうと勝手に思っていた。
しかしどうだ、いざ表に出たマスクをつけた彼女はゲームのデモプレイ中は会場に響くくらいの悲鳴や思わず釣られてしまうくらいの大爆笑を上げていた。
ゲームの感想を述べる時も笑顔で楽しそうに会話していた。
そんな彼女のギャップに興味を惹かれたローはその日の打ち上げで彼女の隣を奪取しなんやかんやで連絡先をゲットしたのだ。
あれから3年、付き合って2年、そろそろ頃合いかと先週プロポーズをし晴れて入籍して1週間。
内密にしていたはずなのに、結婚式は3ヶ月後に控えているのに、こんなはずではなかったと頭を抱えた。

幸いなことに相手が誰であるかに関してはまだバレていない、それだけがローにとっても彼女にとっても幸運だった。
ローの住むマンションから暫くまともに出られないと悟ったジャンヌの行動は早く買い物は全てデリバリーサービスを駆使し、必要な買い物は通販に頼った。
だがどうしても避けられない外出の中でも2人で決める結婚式の段取りなど、彼女は必ず1人で向かい先に式場へ、その後出先からローが後から合流するという流れがお決まりだった。
周囲に結婚式の準備だと悟られないよう会場だってレストランバラティエにしたのだ。
それなのに…

「普通にバレたな…」
「バレましたね。」

この後はどうしますか?次の仕事まであと余裕見て3時間はフリーです。
ペンギンの言葉にローは後ろを振り返り付いてくるパパラッチのバンに溜め息を吐いた。

「アレを撒いて、バラティエに。」
「了解です。」

そう言うとまっすぐ事務所に戻り車を停め一度ローを事務所に入れると事務所の裏から出られる地下駐車場から再びローを乗せてバラティエに向かい車を走らせる。良く出来た男だとローは毎度毎度手際の良いペンギンに感心する。
パパラッチ1人として追跡させずにバラティエに辿り着いたローは3時間後にとだけ言い残し帽子を目深に被り颯爽と彼女の待つであろう店内に入っていく。
ガラスの扉を開けると来客を知らせる鈴の音が響き店員が近付いてくる。

「よぉ! 疲れた顔だなロー、奥でプリンセスがお待ちだぜ。」
「黒足屋、後でコーヒーを貰いたい。」









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