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▽2019/03/03(Sun)
四男とさよなら
「……いちまつ、ここまででいいよ」
「…………ホームまで、送る」
「……ありがとう」
いつもは繋いでくれない手。
一松の手のひらって、こんなに暖かかったんだ。
小さい時から隣にいたはずなのに、なんか、へんなの。
「駅弁買う?」
「ううん。松代さんがお弁当作ってくれたから」
「……そ」
「たのしみ」
ざわざわと人が行き交うホームで、手を繋いで、電光掲示板をちらりと盗み見る。
「あとどれくらい?」
「15分くらいかな」
「…………そう」
一松、意外とまつ毛が長い。
色白いなあ。
「……なんか変な感じ。お前がどっか行くなんて考えたことなかった」
ぽつぽつ呟く一松は、今何を考えてるんだろう。
「お休みになったら、帰ってくるよ」
「……次は、いつ?」
「うーん……お盆休み、貰えるかなあ」
「……8月」
「うん」
ぎゅう、と、繋いだ手に力がこもる。
「……すぐだよ」
私の言葉は、震えてなかったかなあ。
どれだけ名残惜しんでも、時間は無情にすぎてく。
目の前のホームに列車が止まって、長い列を作った人が乗り込んでいく。
「……行かないと」
ばいばい。
私、笑えてるよね。
一松の意外と大きな手を離して、ホームを歩く。
乗るまでわたし、泣かないって決めてる。
「…………ぁ、」
後ろから紫の手が二本伸びて、ぎゅうと思いきり抱きしめられる。
「また、こんど、」
さよならって言いたくなくて
ぐるぐる追いつかない頭でやっと零れた言葉。
振り返った一松は困ったように眉を下げて、小さく笑う。
「また今度」
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うたかた